すずめ の戸締まり…映画を見て
東北人として
あの震災から既に11年の時が過ぎました。
私は内陸に住んでいるので
津波の被害はなかったけれど
数分おきに起こる余震や電気のない暮らし
生活物資も乏しくなり
とても不安だった日々を
忘れてはいけない。
地震が起こる度に
沿岸部に住む友人にLINEやメールで
安否確認する日々は今でも続けています。
でも、年々「あれから何年か〜」
と、思い出すだけの日々である事も確かな事です。
忘れたわけではないけれど
3.11からの数年間の
切羽詰まったような感覚は薄くなったのも
確かな事です。
「すずめ の戸締まり」を観て来ました。
映画の中で鳴り響く
地震を知らせるアラームの音で
忘れていたはずの感覚が
私の身体の中にまだ残っていたことに驚きました。
日本の国土は
大きなプレートがジグソーパズルのように
組み合わさって出来た上にあります。
地震の多発する国としても有名で
だからこそ自然を神として祀り
崇め、奉る文化が古代からありました。
映画中に登場する
閉じ師としての草太が唱える祝詞は
「かけまくもかしこき
日不見(ひみず)の神よ
遠つ御祖の産土よ
久しく拝領つかまつったこの山河
かしこみかしこみ
謹んで
お返し申す」
日不見とは何か?
の問いに私の友人は「地下の世界」と教えてくれました。
祝詞は神さまをあげ祀る言葉であり、
貴方様をあげ祀るので、どーか私の願いを聞いてください。
という神さまに通じる言葉の事をいいますが、
この祝詞の意味は
声に出して言うのも畏れ多い、日不見/ヒミズの神よ。
先祖代々の土地の神よ。
長い間借りていたこの山や河を
(最大限に畏れ敬い)恐れ多くも、謹んでお返しいたします
私は日不見をひふみと読みました。
ひふみ祝詞は
鎮魂歌としての役目もあります。
なにより言葉には魂が宿るという
日本古来の風習の言葉でもあります。
ひ=光、太陽(光があり、太陽が生まれた)
ふ=風(風が吹いた)
み=水(水が世界を包み、海が生まれた
よ=命、世(こうして世界が誕生した)
い=出現(そして、原始的な生命出現した)
いろんな事を思い出させてくれる映画でした。
新海誠監督の映画は
今までも沢山ありましたが
この「すずめ の戸締まり」だけは
何かに急かされるように
早く観に行かなくては行けないという
不思議な思いが湧き上がりました。
この映画が今公開された意味は
なんなのでしょうか
あの震災をわすれてはいけない
その思いが私には強い印象として感じました。
閉じ師というとてつもない仕事を
淡々とこなす宗像草太
それを助ける岩戸椿芽
あの3.11の前に
静かにその仕事をこなしていた人物が
この日本にも確かに居たように
私は感じています。
テレビやマスコミなどには
一切関わりのない場所で
静かに日本を護る人が居る。
わたしはそれを信じています。
だからこそ
日本人としての優しさや温かな心
思いやりを大切に生きる事が
大切なのだと思います。
良い映画でした。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?