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②発達障害児の転居・進学:小学校1年生

小学校は1年生から「自閉症・情緒障害の特別支援学級」を選びました。

【計画的転居と小学校への進学準備】
 ユキが保育園の年長で発達障害を指摘され、K式の発達検査及び、小児精神科で診断を受け、療育(作業療法と言語聴覚)を受けるに至ったときには、もう年長クラスも夏から秋に差し掛かっていました。 私たち家族は、夫の転勤で大阪に来ていたため、ユキが小学校に入学して間もなく、また転勤で転校するようなことにならないように、夫の会社、私の会社それぞれに事情を説明し、ユキの入学のタイミングでホームタウンである東京に戻してもらえるよう働きかけました。


【関西と関東の発達検査の違い】
 そこで、壁になったのが、関西と東京で採用されている発達検査の違いです。関西では「K式(けーしき)」という発達検査をしますが、東京では「WISC(うぃすく)」という検査で程度を判断します。K式は実年齢に対して、「発達が実年齢と比較して、何歳何か月分マイナスか」で結果を表示されますが、WISCはいわゆる「IQ」が示されます。

 引っ越し先は、実家のある東京の郊外に決めており、住所ももうあったので、管轄の教育委員会に相談することになったのですが、医師の診断書は大阪でとったものが利用できますが、「発達検査について、WISCを受けなおす」必要があるとのこと。とても不思議なのですが、2017年当時の関西(大阪・京都)では、WISCの検査を実施している医療機関がほぼ無かったんです。仕方が無いので、年長の秋に、転居先のK市にWISCの検査をするために母子で訪問。このころは、引っ越し先の件や、ユキの進学準備ために、大阪と東京を月1回、行き来していました。


【大阪の小学校と発達障害児童】
 大阪で私たち家族が住んでいたのは吹田市。ユキの4年上の姉が1年生の夏から4年生の終わりまで通った吹田市立の小学校は、児童数1000人規模のマンモス校でした。1年生の2学期に大阪の小学校に初登校した時、もう始業時間をとっくに過ぎているのに、のんびり通学路を歩いている子供や、教室に入らずに、これまたのんびりと廊下を歩く子をチラホラ見かけるのが印象的でした。 変わった事につい首を突っ込みたくなる私は、学校の廊下をふらふら歩いている子供に、声をかけようとしたのですが、どこからともなく大人がやってきて、その子と一緒に歩きはじめます。教室ドアは基本、授業中も開いていて、覗くと、加配(発達障害の子のサポートをする)の先生かな?という方を多く見かけました。 そして多くの子供たちは、教室から出てしまう子が居ても、授業に上の空な子が居ても、それが日常といった感じで授業を続けています。その様子を見て「大人しいユキだったら、ここで皆さんに迷惑かけずにやっていけそうだなぁ…」と思ったものです。


【東京に転居して「情緒支援級」へ】
 一方、私の地元の小学校には、「変わった子は、皆で更生させよう!」という無言の圧力があると感じていました。私の小中学校時代は、まだ不良グループがいたりした「昭和」の時代なのですが、小学校は1000人規模のマンモス校でありながら、割とお行儀が良く、都内でも学校全体の成績が良いことが先生たちの自慢でした。地味な街ですが、クラスメイトは一流企業のサラリーマン家庭が多く、新しい一戸建てに住んで、自分の部屋がある。そんな地域では「変わった子」の肩身はかなーり狭かった記憶が…。その頃はADHDの子が教室から脱走するたびに、担任が自ら探しに行くからクラス全員が自習になってたし、先生や全体のノリに合わせないとクラスで浮いちゃう存在に…。そんな学校、窮屈だしマジで嫌。わが子には、行ってほしくない。
 しかし、私の頃とは違って、地元には市内に1カ所だけ「情緒支援学級」ができていました。1年生から6年生までの知的な遅れがない・発達障害の子供を対象にした「支援学級」で、子供8人に対して教員1名の少人数制です。この「情緒支援学級」が設けられている小学校は、市内でも校舎が一番新しく、一般教室はオープンスペース型、図書室は床暖房。さらに大きな公園に隣接する立地にあり、学ぶ環境としても、とても良いと感じました。この地域の公立小中の雰囲気が好きでなかった私は、ユキの小学校について「校区外の情緒支援級」一択で進めました。


【そして入学。情緒支援級(特別支援級)で良かったこと・悪かったこと】
 入学式は、普通級と一緒でした。同じ学校には「情緒支援級」とユキは初めての場・緊張する場に疲れてしまい、式が終わったとたん、廊下にお尻をついて立ち上がらず…(汗)。普通学級じゃなくて正解。。。
 その年の情緒支援級1年生はユキともう一人の男子2人だけ。そして、そのまま3年生まで、1学年2人だけでした。翌年は1年生が6人も入ってきたので、その年によるようです。ユキの場合、学年の児童数が2人だけなので、
まるで「全校児童数30人。同学年2人の田舎の分校」のような、アットホームな学習環境でした。

◎情緒支援級で良かったこと。
・教科書は普通級と一緒。
 体育・音楽・図工・家庭科の実技科目は普通学級とは別メニュー。
・主要教科は実質、先生1人に生徒2人だったのでとても贅沢。
・とにかく教員の数が多いので、生活面も個別に指導・サポートが入る。
・書くのが苦手な子が多いので授業ではノートを使わず「プリント」。
・宿題の量や内容を、子供に合わせて調整してくれる。
・自分は「ダメな子」「能力が低いバカな子」と思わずに過ごせるので、
 鬱などの二次障害に成りにくいと思います。

◎情緒支援級で困ったこと。
・テストを実施しないので、学習の理解具合が分からない。
  後から知ったが、1つ下の学年は保護者が先生にお願いして、
  普通級と同じテストを実施していた。
・2段階、3段階の成績表がつかない。(各教科毎に文章で達成具合を記載)
・校区外に通ったので近所に友達ができない。
・同学年の普通の発達の子の中で揉まれる経験ができない。
・勉強ができる子とできない子の差が激しい。IQはとても高いASDや
 繊細過ぎての場面緘黙の子も居れば、計算ができない子も居る。


次回、4年生になって「全国統一小学生テスト」をやってみた。に続きます。



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