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【掌編】ある秋の日に

羽田から飛行機が飛び立つ。

若洲の風車が回っている。

ここ数日は天気も悪く、部屋に籠もりがちだった。
しかし休日の今日、束の間の秋晴れ。置き忘れている気持ちを拾いに、いつもの公園へやってきた。

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今越えられない距離がある。
心は自由だと言うけれど、飛んではいけない。まるで時が止まっているような気がして焦る。

せめてこの風が、ずっと遠く繋がっているような気がするから、時は流れていると感じられるから、ここへ来た。

今もあの人はあの真っ直ぐな姿勢で、同じように遠く空を見ているだろうか。
なんか、そんな気がしている。

それを思うだけで、この距離の緊張感が少し緩むよう。あの人も追い詰めた孤独を、その視線の先に飛ばしているのだと。

すっかり自信がなくなったけれど、私はまたあの人を追いかけたい。あの美しい背筋の後ろをついて行きたい。

どうか私にまた力を。

あなたの視線の先が私と交わりますよう。




END

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