『起業のすすめ』を読んで。

佐々木紀彦さんの「起業のすすめ さよなら、サラリーマン」を読んで、心に残ったところを書き残していきたいと思います。


起業の醍醐味とは何か

(本文より)
起業家になる醍醐味とは何か?それは、自分の人生の「独裁者」になれることです。自分の責任で、自分で決断して、自分の大義のために生きることができる。

普通に働いていると、人は、自分、会社、社会の矛盾に迷い、戸惑いながら生きることになります。確固たる価値観、ビジョンのある人ほど、その軋轢は大きくなりがちです。

私はサラリーマンからのセカンドキャリアを「起業」ではなく「独立」の道を選びましたが、その先には起業も視野に入れています。ただ起業にせよ、独立にせよ、代表になればすべてのことを自分で意思決定できるようになれる。それが今、とても心地よく感じます。

サラリーマン最後の1〜2年は私自身の価値観、ビジョンが明確になっていたため、その分周りと波長を合わせるのができず本当に辛かったように思います。今思えばもっと早くに独立すべきだったんでしょうが・・・組織や上長との軋轢が大きくなり組織が合わなくなった経験が、「変化できない前時代的な風土はなぜ出来上がるのか?」「なぜ組織は変われないのか?」を理解することができたため、結果的には今の仕事に役立っていたりします(余談ですが)。


40代から始まる“サラリーマン倦怠期”

(本文より)
サラリーマンとは職種というより、ライフスタイルであり、マインドセットです。リクルートでは“圧倒的な当事者意識”という言葉がよく使われますが、“ほどほどの当事者意識”しか持てないのが、サラリーマンマインドセットなのです。

私がことさら、サラリーマン化を揶揄するのは、それが個々人のポテンシャルを奪い、起業のポテンシャルを奪い、日本全体のポテンシャルを奪っていると思うからです。企業も慈善事業ではありませんので、今後はサラリーマンマインドセットに浸った社員を見放していくでしょう。

私は12年間サラリーマンをしていましたが、起業家や独立した人と比べるとやっぱりサラリーマンはどんな企業でもぬるく感じると思っています。だってどんなアウトプットをしても「給与がもらえない」ということは(業務委託以外)あり得ないので。

私自身もサラリーマン時代は土日も関係なく働いてはいましたが、結局は固定給でもらえる額は一定だったため、どこかでセーブして働いていたんだな、と独立して初めて感じました。独立前はMAXがんばっている!と思っていましたが、独立後の方が働いているし、もっと努力していると思います。結局、「守られているという意識」「天井が見えてしまうこと」が努力をやめてしまう原因になると感じました。


起業家とサラリーマンの3つの違い

(本文より)
①不確実な状況下で成功する能力
(サラリーマン→確実な状況下で成功する能力)

②プロジェクトをみずから始め、自分のものにする強烈な願望

(サラリーマン→既存のプロジェクトを引き継ぎ、会社のために成長させる願望)

③他人を説得できるというかけがえのないスキル

(サラリーマン→社内を説得できるかけがえのないスキル)

イントレプレナーでも成長できるかもしれませんが、私の場合は退路を断つことで成長できたと思っています。ここでの退路とは「前職からクライアントを持ち出さない」「安パイな案件(私でなくてもいいもの)を受けない」「内部の意味不明な根回しや調整などを行わない(成果に向き合う仕事をする)」のことを定義しています。

不確実な状況・案件を成果に向かってひた向きに続けることこそが起業家にとっても大切なことなのだろう、と理解しました。


お金がもたらす3つの自由

(本文より)
①クリエイティビティの自由
「私生活にかかわるストレスを減らせるほど高額な報酬がもらえると、社員は非常にクリエイティブになる。しかし追加のボーナスがもらえるかどうかが定かではないと、クリエイティビティは低下する。イノベーションを後押しするのは成果連動型ボーナスではなく、高額の給料だ」

上記の言葉はNetflixのNo Rulesからの転載だと思いますが、考え方としてはプロスポーツ選手と同じようなイメージなのかな、と思いました。初めから高い報酬を提供する代わりに高いパフォーマンスを期待する。もちろん、パフォーマンスが下がれば当然給与も下がる。給与は成果に連動するのではなく、まず先行投資することで期待とプレッシャーを授ける、みたいな感じ。


(本文より)
②インプットの自由
ミニマリズム全盛時代に、旺盛にお金を使うのは流行りません。とはいえ、そういう人が少ないからこそ、美意識のある散財ができることが、他の人にはない武器になるのです。脳や体や心に入れるものを最高のものにできれば、自然とアウトプットも高品質になる。良いインプットが、良いアウトプットを生むという「愉悦のサイクル」を生み出せると人生と仕事が一体化して楽しくなります。

個人的に「美意識に散財すること」というのがとても刺さりました。有形資産だけではなく、意識や心に投資するという考え方はとても大切だと思います。それもできるだけ一流と呼ばれている人たちの優れたものをインプットすることで、自分自身も良いアウトプットができると思っています。

人はその場の環境や人付き合い、目や手に触れるものによって、価値観が醸成されると思っているため、意識したいポイントです。


(本文より)
③チャレンジの自由
危機のときに必要なのは、火事場のバカ力よりも、むしろ冷静な判断力。『失敗したら自己破産』という危機感よりも、『失敗しても年収1000万円』という安心感の方が、経営者の正しい判断を促すはずです。逆説的ですが、『やりたいことをやれ』という勇ましいアドバイスより、『足元を固めろ』という現実的なアドバイスの方が、結果として、リスクに挑戦する人間を増やすことになるのかもしれません。

私も独立当初は手持ちのお金がなさすぎたので国からのコロナ融資を受けました(無利子・無担保で返済は1年後でOKのもの)。お金がない、というのは本当に精神的に参ってしまうため、借りたものであっても手元にキャッシュがあるだけで安心します(ホントに!)。なので最低限「死なないライン」を自分でつくった上でチャレンジすることはとても大切だと身をもって実感しました。

またリスクヘッジとして撤退基準を明確に設けることも大切だと思います。ズルズルと負け戦をして精神を蝕まれるよりは、「ここまで落ち込んだらもう潔くサラリーマンに戻ろう」という気概を持って取り組むことは大事だと思います。


「会社のプロ」から「仕事のプロ」へ

(本文より)
「『仕事のプロ』となると何が得られるかというと、純粋な仕事としての充実感だ。会社にいると、ともすれば課長よりも部長のほうが偉いというヒエラルキーが、そのまま『仕事の充実感』となってしまう。しかし、『仕事のプロ』の場合はそうではない。『社会に対して自分が何を成し得たか』が充実感となる」

これはサラリーマンであっても、起業家であっても、フリーランスであっても、仕事のプロは一定数いると思いますが、その比率は「サラリーマン<フリーランス<起業家」なのかな、と思っています。起業家であればまぁ多いのはわかるのですが、フリーランスはもうちょっと多いのかな?と思ったら案外そうでもありませんでした。

期日を守らない、返答が遅い、アウトプットが要件と違う・・・など、結構ピンキリな印象なので、仕事のプロになるだけでも全然生き残っていけるように思います。


起業型キャリアの5つのタイプ

(本文より)
①成長志向スタートアップ型
②プロフェッショナル独立型
③スモール&ミディアムビジネス型
④スタートアップ幹部型
⑤大起業イントレプレナー型

本書では起業の方法について5つの「型」が説明されていました。細かな説明は本書を読んでいただくとし、私自身が当てはまっている「③スモール&ミディアムビジネス型(=地方企業・地方コミュニティの課題解決)」にフォーカスしてみたいと思います。


(本文より)
「一般的なビジネスは、『マーケットニーズは何か、これから大きく成長する市場はどこか』を探して事業領域を決めていきます。つまり、マーケットニーズが起点です。それに対して社会起業家は、『マーケットニーズがあるからここでやる、ないからやらない』ではなく、解決すべき社会問題があるところで起業します。そのうえで、利益が出るように工夫していく。彼らがつくっているのは、社会ソリューションであって、あくまでも『ビジネス』は手段にすぎない。社会起業家は、ビジネスという手段を使った社会活動家なのです

「③スモール&ミディアムビジネス型」の説明の一説に上記の言葉があるのですが、私自身が感じている違和感を見事に言語化してくださっている!と感じました。というのも、私自身が事業成長やスケール化についてあまり興味を持てず、「成果を出し、死なない程度に生き残れる」という状態を望んでいたため、とてもしっくりきました。

特に「マーケットがあるかどうか?」よりも「解決すべき社会問題に向き合い続けた」結果、いまの仕事があるような気がするからです。地方はこれから一層、人口が減少し高齢化し、公共事業が行き届かなくなり、民間サービスも一部撤退するところが出てくると思います。

その中でスケール・成長!というよりも、脱成長・非経済を軸にした「地方ブランドが生き残るためのマーケティング・ブランディング論」を見つけていきたいと考えもがいています(まさに今)。


起業家の4つのスキル

(本文より)
WHY:ビジョンを考えるスキル
HOW:ビジネスモデルを考えるスキル
WHAT:商品を開発するスキル
WHO:顧客を考えるスキル

起業家には4つのスキルがあると言われていて、すべてを兼ね備えている人は僅かだと思うので、自分が不足している部分を補える人と組めるのがいいのかなぁと感じました。

WHYは想い優先、熱量高めのTHE 起業家という感じですが、営業や人前で話すことが得意な人が向いているんじゃないかと思います。HOWはビジネスを具体的に組み立てられる人。COO的なポジションとして収益構造を理解して実務的なタスクに落とし込める人。WHATはデザインやエンジニアリングのように、モノやコトをつくり出せるコンテンツメーカー的な役割だと思っています。最後にWHOはマーケターですね。消費者を理解し、マーケットを鑑みながらプロダクト・サービスをアジャストしていくような役割。

私はWHOメイン、サブでHOW・WHYって感じなので、WHATの人と組むのが相性良さそうだな、と思案していました。なのでデザイナーかエンジニアの人がいたら積極的に仲間にしていきたいと思います(笑)。

以上、最後までお読みいただき、ありがとうございました!!


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