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三方良しPR朗読 『空白の日々』
花山・酒門の会 限定流通商品(日本酒) 喜楽長『三方良し』(滋賀) のPR作品です 日本酒に興味がない。よくわからない方に この商品をしってもらいたく 試行錯誤した結果、思いついたPRが 日本酒×恋愛 というPR方法でした 最初は、ポエムとイラストだけだったのですが もっと深く興味をもって頂きたくて ポエムからインスピレーションした 恋愛小説を書き朗読で聞きやすい物にしてみました 今回朗読をお願いしたかおさんは 配信アプリで朗読をされているのを聴き スカウトさせていただきました 編集・BGMを担当したいちいは、 大学時代からの親友で作曲、DJ活動をしていたのを 知っていたので依頼しました いちいを抜いては、脚本を担当した徳地も 朗読を担当したかおも 素人です お聞き苦しい点もあるかと思いますが 楽しんでいただけたら幸いです _________________________ 空白の日々 君は、交差点に立っている ただ、静かに何者にも揺らぐ事の無い凛とした ただずまいで ふとした時に君と目が合った 君は、にっこりと微笑んだ 僕は、ドキドキして目をそらしてしまった 君の笑顔が見たくてもう一度見返したら 君の姿は、消えていた 僕の心に余韻だけを残して 「おはよ」 「おはよ。さっき交差点にいたでしょ?」 「いた」 「私もいたの気づいた?」 「うん。お見舞いだろうなと思った」 「なんだ、目がそれたから気づいてないのかと思って 先にきちゃった」 彼女は、毎日の様に病院に通っていた 僕も通っていた タケルの見舞いだ タケルは、彼女の彼氏で僕の親友でもあった 彼女と僕とタケルは、高校からの付き合いで 高校卒業でバラバラになると思っていた 彼女と僕は、上京して大学へ タケルは、彼女との結婚資金を貯める為に就職して 上京し彼女と一緒に住んでいる 彼女と僕の大学は、電車で何駅かの距離で 大学が近いのもあり下宿の最寄りの駅は、一緒だった 3人、同じマンションに住む予定が大学がギリギリにきまり 空き部屋がなく別々の下宿先にし最寄り駅だけ一緒にした 親友3人近くにいるのが普通でこれからも一緒は、暗黙のルールの様になっていた 3人とも新生活になれ都会にもなれたころに事件は、起きた ある、雨の日、タケルは、少し家を出るのが遅くなった 遅刻しても歩いていくべきだという彼女の忠告を大丈夫とあしらい いつものように原付で通勤した 下宿のある住宅街を抜け大通りの道に出る手前で事故が起こった 通学中の小学生がふざけて歩道の仕切りの上を歩き足を滑らせ道路に横転 その小学生がタケルの運転する原付の前に横転しタケルは、小学生をよけ道路に大きく転倒し雨のせいもあって道路を転げ滑った 滑った先が対向車専で運悪く住宅街に入ってきた車に跳ねられてしまった それから一週間、寝たきりで意識が戻らない 彼女は、毎日、病院に通った 僕は、どんなに悲しくても大学に行くように説得した きっとタケルも同じ事を言うんじゃないかと説得した結果、大学には行くようになった 「少し、疲れてないか? 顔色悪いぞ」 彼女は、透き通る白い肌で血色のいい頬をしていた それが目の下にクマができ濃く強調された二重の目は、今にも閉じそうな程に重く見えた 交差点での距離で気づけなかったが近くでみてハッとした 「最近、不眠症みたい お医者さんからも心配されて睡眠薬をもらってるの」 彼氏が突然の事故で意識不明と言われたことが計り知れないほどの衝撃だったのだろう 「飯、食ってるか?」 「まー食べたり食べなかったりかな。。食欲もなくて」 田舎から上京してこの状況で部屋に一人だと気が滅入るのだろう 「よしっ!タケルが起きるまで俺が一緒に住んでやるよ!! じゃないと次にお前が倒れるだろ!! これは、強制だ!決定!! じゃ!僕は、荷物まとめてくるから後でな!!」 彼女の返事を聞かずに病室を飛び出した 部屋に帰って自分が彼女に言い放った内容にモヤモヤした われながらぶっ飛んだ提案だ しかも強制した なにさまだ 準備ができ彼女に連絡すると 家の近くまで帰ってきたから いつでも来ていいと言われた 僕のモヤモヤもお構いなしに いつも通りの声だった 部屋につくと出迎えてくれた 「おじゃましまーす」 「ふふふ。変なの。気を使う仲じゃないでしょ」 女性要素と男性要素の入り交じる部屋に何とも言えない感覚を味わった いつきても慣れない 「あっ。晩御飯、何する?ここ、近くにスーパーあったよな?」 長年の付き合いの良いところは、変なところで気を使わないところだ キッチン周り冷蔵庫の残り物を見ながら彼女に相談した 「スーパーあるよ 歩いて15分ぐらいかな?」 「よし。晩飯の材料買いに行くぞ!」 そういって彼女を連れ出した 僕は、修学旅行の自由行動の様に気分がようようとしていた 上京して泊まりに来ることなど何度かあった タケルがいないという新しい状況に少し浮き足だっていたのかもしれない この感情を正当化して誰かに説明するならきっと僕は、『気分転換』と説明したのだろう 帰りの荷物をどっちが持つかで討論になり最終半分半分で持とうという会話は、カップルになれた気がして浮き足だつ僕の心をどんどんワクワクさせた 「うん。旨かった!意外とできるじゃん」 買い物、料理に少し気分転換できたのだろう彼女の顔が少し正気が戻り口調も 元に戻ってきた 「独り暮らし、してたら嫌でも料理の腕あがるよ。お粗末様です」 「お風呂、先に入りなよ 洗い物しとくよ」 「いやいや レディーファースト、はいれ入れ」 「何その優しさ。気持ち悪いなー お客さんは、先に入るもんなの! あっ。洗面台にタケルのスエットあるから着ていいよ。っていつも着てるんだから言わなくていっか。 さっさと風呂に入ってこい」 彼女に押しきられて入ることにした 毎回、ノリで泊まるのでタケルのスエットを借りる事などいつものこと 僕も気にしなかった お風呂には、男性用のシャンプーや石鹸があり肉体労働のタケルの 体臭を消すためだった 毎回使っているのでためらうこともなかった 「おっ先ー」 「久しぶりにかいだなこの匂い。。。」 ふと、彼女が近よりおもむろに嗅ぐ 「タケルのスエットだー この匂いも懐かしい。。。」 そのまま彼女が抱きついてきた どこかで気を張ってたのだろう 愛しい匂いに緊張がほどけたようだ 「おい。大丈夫か? 抱きついたのが俺でよかったけど 他の男なら危なかったぜ」 「あーごめんごめん 少し安心て寝そうになっちゃった 私もお風呂入るわ」 ホントに抱きついてきた相手が自分でよかったと思った 無防備で虚ろな顔で抱きつき胸に顔を埋める姿は、甘えて来ている様に見えて 可愛くいとおしく思えた 他の男なら即押し倒しただろう 自分の心臓の鼓動を心配になった 彼女が風呂から上がり提案をしてみた 「いつも、タケルとこのベッドで一緒に寝てるんだろ?」 少し小さな部屋にシングルベッドで二人で寝ている 結婚を誓ったカップルだからこそ狭くてもそれがいいとスパイスになるのだろう 「今回は、俺と一緒に寝ないか? 不眠症のお前が俺のシャンプーの匂い嗅ぎに抱きついたとき、少し眠かったんだろ?案外、添い寝したら不眠症なおるかもよ?」 なかなか、賭けでバカっぽい提案だ 「確かに。。試してみる価値は、あるかな。。いいよ!」 こいつ、俺の事、男と思ってねーな ベッドで添い寝できるのは、 昔ながらの親友の特権 そう自分に言い聞かせた その度、少し心に穴があいた気がした 彼女が小柄なのもありシングルで十分ゆっくり寝れた 胸の前で腕を丸めて寝る彼女は、 彼女なりの配慮なのだと思った 僕と彼女のボーダーライン 初日は、お互いに気を使い抱きつく事もなく寝た お互いに寝れば寝る程、ボーダーが甘くなった 寒いときなどは、積極的に彼女から抱きついてきた お互いに何も起きない何かを起こそうという考えも起きない まるで幼稚園でのお泊まり会の様な心境にいた 少なくとも彼女は、そうだった 添い寝案をだしてからも睡眠薬は、飲んでいた ただ、最初に比べて飲む量は、減っていた 彼女は、スポーツ系の明るい性格をしていた さすがに彼氏が意識不明で 上京して一人の生活への不安から ストレスを感じていたのだろう 僕が側にいる様になり寂しくなくなったのだと思う 前までの彼女とまでは、いかないが 少し落ち着いた振る舞いに見える程に元気を取り戻していた ただ、タケルと一緒にいた時のような明るさは、 まだ、戻らない 側にいるのに自分では、役不足なのだと 時々、チクチクと感じた それでも今日も添い寝をする 腕枕をしてみたり背中に抱きついてみたり 寝相が悪いふりをして足を絡めたり チクチクする分、彼女と触れあうことで心を満たした 大学に行ってお見舞いに行って彼女と合流して買い物をして そのまま彼女の家に行く タケルのいたところに自分がいると 錯覚する程に溺れそうな彼女との楽しい時間 心のどこかで思っていた タケルなど起きなければいいのに と考える時もあった それでも現実は、残酷だ 彼女からの突然の電話 「どうしたの? 今、講義中で」 「タケルが起きたの!!目を覚ましたの!!」 「え。。。。」 複雑でめまぐるしい思いで意識が遠のく いつ授業が終わったのかもいつ病院に着いたかも覚えてない ただ、気づいた時には、病室に入っていた はぁーはぁーと酸素マスクの音を荒あらしくならしながら タケルは、「よっ」とだけ返事をした 「おいっ!大丈夫なのかよ!! 僕たちがどんだけ心配したと・・・」 「おう、悪いな・・すぐに元気になるから・・ 心配すんな・・・」 うつろな目で心配かけまいとすこし笑う顔が痛々しくみえた いたたまれなくなり 「僕、ジュースかってくるわ!」 と病室を飛び出した 自動販売機のあるラウンジで彼女と出会った 彼氏が目覚めた割には、ぱっとしない表情 「よかったな!タケル目覚めて! あいつ、いつ退院するんだよ?」 「様子見だって経過をみて退院を考えるだって」 「そっかー早く退院できたらいいよな!」 「私、まだ、言えてないんだーあんたが泊まりに きてる事・・・」 「まーまだ、起きたばっかだからな 理解できねだろーけど俺がお前の事が心配で泊まって たんだから問題ねーだろ」 「まーね・・・」 「心配なら今日で最後にしよーぜ お前も睡眠薬、使わずに寝れる様になったし タケルも目が覚めて心配事もねーだろ」 「うん。そうだね」 「なんだよ!その暗い顔は! 僕たちは、やましいこと何もしてねーし 起こりもしねーだろ!!ほら、タケルが待ってる 病室に戻るぞ!」 「今日で最後」 自分で言った言葉が心にひっかかる いつもの様に買い物をしていつもの様に 彼女の部屋に行く なぜだろう少し気まずく感じる どことなく会話も笑顔も少ない いつもの様にベッドに入り今日は、背中に抱きつく 暗がりのなか少し緊張した声で 「抱いてもいいよ?」 彼女の声が聞こえた 聞こえる様に少し小さな声で 「なんで?」 と問いかける 「あんた、私の事、好きでしょ。 好きじゃないにしても男女なんだから ドキドキは、してたと思う 私は、友達として抱きついてたけど あんたは、そうじゃなかった・・ 心臓の音が・・今でも背中から伝わってくる・・・ 好意を持ってくれているそれをわかってて 私は、その心臓の音が心地よくて抱きついてたんだ 悪い女だよね・・・我慢させた分、抱いていいよ」 バレていたのだ 口に出さなくても血流から伝わる鼓動の早さで 彼女にバレていた そして、彼女もまた 僕と同じ様に心にさわるチクチクを抱えていたのだ 結婚を約束した彼氏がいながら古からの友人というデフォルメに 隠した自分に思いを寄せる男を生殺しにいている事に 今の今まで生殺しにした分、 自分を抱けばいいと そして、彼氏がいながらも他の男に すがる自分が許せなくて傷つくことを 選んだ 裏を返せばお互いにこの話は、なかった事にしようという 暗黙の契約 彼女は、他の男、しかも大事なお互いの親友と寝る 僕は、大事な親友の彼女、 しかも彼女は、自分にとっても 親友として大事な人 重い念い想い楔ですべて なかった事にする 彼女が選んだ対価は、あまりにも重く お互いの身を焦がす選択だった それがわかっていても このチャンスを逃してなるものかと 心が震えた 今の今まで彼女を思ってきた タケルが彼女が好きだと自分に告白しようと 彼女と結婚すると打ち明けられた時も 僕が選んだのは、どんな形でも 彼女の側にいることだった この思いに彼女が気づいて 自分の側からいなくなる事に 恐怖を感じ 誰にもうちあけまいと 自分の真実に蓋をして 何度も何度も心に釘をさした そんな思いを今、開け放っていいと彼女から言われた 彼女の言葉は、いままで打ち続けてきた理性と言う名の釘をすべて吹き飛ばした 背中しか見えない彼女を正面に向き直させ 彼女の唇を奪おうとした 唇が触れよとした時に気づいた いつもより息が荒く 少し震えている さっきまでとは、 違う恐怖が彼女を襲っていた 「どうしたの?・・・ なんで、やめたの?」 恐怖と寂しさを隠しながらも 彼女の盛れ出す思いは痛々しく思えた 口では、強がって 重しの全てを背負う覚悟でいる様な口調だったが 目の前の恐怖にたじろいだようだ 彼女は、きっと 僕は、彼女の親友だ タケルの親友だ 僕 に男要素などない きっとこの提案を 笑い飛ばしてくれると 心のどこかで高をくくっていたのだろう 現実などそんなに甘くない どんなに親しくても僕らは、 男女で僕は、彼女が好きだった 「バカかお前は!! キスすると思ったか!! しねーよ!それに俺が好きなのはな もっとナイスバディーな 巨乳なんでよ!! お前みたいなちんちくりん 興味ないわ!! 心臓の音が早いのは、 体温高いからだろ! 勘違いにも程があるわ!! わかったらさっさと寝んぞ 寝たらアホみたいな考えなんて 忘れちまうよ」 そういって彼女を強くだきしめて 僕たちは、眠りについた 僕たちは、何もなかったかの様に 朝を迎え いつもの様に振る舞った 振る舞ったは、おかしいかもしれない自然だった そして、荷物を持って僕は、 自分の家に帰った それから3週間後にタケルは、 退院した また、仲良し三人のそれぞれの 生活がスタートする 彼女が好きな僕と タケルが好きな彼女と 彼女が好きなタケル それぞれに何かを抱えながらそれが 自分だと納得し 僕と彼女の2人の生活を空白にして また日々を過ごす