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奈良県知事の感染症対策への職務怠慢に県民が憤慨、集団訴訟の動きも

フジテレビ系列報道番組「とくダネ!」は、4月20日午前、新型コロナウイルスにまつわる悩み事等をツイッターで募集した。「#とくダネコロナSOS」に寄せられた3000件超のツイートのなかで、複数名のユーザーが奈良県知事・荒井正吾氏の感染症対応について、職務怠慢のために感染者数が激増していると怒りをあらわにした。

新型コロナウイルスの脅威を過小評価して初動が遅れた荒井知事

かねてより奈良県庁は、パンデミックの発生初期段階から県内の小康状態まで詳細にわたってフェーズ別の対応を検討し、平成29年には新感染症が発生した場合の訓練を実施していた。今回の感染症対策においても、「県内発生早期」から「県内感染期」へとフェーズが一段階上がっていたことや、16日に緊急事態宣言が全国に拡大されたことに鑑み、県庁としては「県内での感染拡大をできる限り抑える」ための休業要請を早急に発出することが求められる時期にあった。ところが荒井県知事は、17日の知事定例記者会見において、県内で新型コロナの感染は広がっていないとの見方を変えず、県民の権利と自由に対する制限を必要最小限にとどめる姿勢を示した。そのうえ、PCR検査数が少ないことを理由に、「新型コロナウイルス感染症の影響は分からない」「国の専門家会議を信用できない」として、厚生労働省が示す感染者数の予測データに従わないように県庁に指示をしていたことが判明した。

事業者への経済対策は「ご自由に考えてください」と発言

こうした荒井県知事の意向のもと、奈良県庁は、他府県民に対して「お住まいの地域で、休業要請が行われている施設(遊興施設、遊技施設等)への府県境を越えての利用は控えていただきたい」とした一方、県内の事業者に対しては17日の時点でもなお、休業や営業縮小の要請をしなかった。西村経済再生担当相が「もはや大都市だけの問題ではない」と全国で足並みを揃えていくことを求め、全国知事会もそれぞれの都道府県が一致団結して対応する決意を示すなか、奈良県だけが取り残された。

荒井県知事は、県内で最初の感染者が発表された2月5日、県内における新型コロナウイルスの影響は限定的なものであるため、観光政策を積極的に推進している奈良県としては、観光業への風評被害を鎮静化させるための感染症対策を考えていくと表明していた。すでに国が、緊急事態措置での休業要請の対象施設を明示しているにも関わらず、荒井県知事は休業要請について「ニュートラルに検討中」で、「緊急事態宣言の全国拡大により知事が対応を迫られるものはない」と17日に述べた。

奈良県庁の本来の対処方針は?

奈良県では、平成25年4月に「新型インフルエンザ等対策特別措置法」が施行され、「新型インフルエンザ等」を対象とした行動計画の作成が義務付けられたことから、平成25年6月に国が作成した新型インフルエンザ等対策行動計画に基づき、「奈良県新型インフルエンザ等対策行動計画」を作成した。今回の新型コロナウイルス感染症は、「全国的かつ急速なまん延のおそれのある」新感染症に該当するため、当該計画を参考に対策を検討・実施することとしている。

感染症対策の基本的な考え方として、奈良県は「過去の知見等も踏まえ最も被害が大きい場合を想定し、強力な対策を実施するが、常に新しい情報を収集し、対策の必要性を評価しさらなる情報が得られ次第、適切な対策へと切り替えること」を提示した。また、県民の生命および健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある感染症への対策について、「不要不急の外出自粛要請、施設の使用制限等の要請、各事業者における業務縮小等による接触機会の抑制など」を、積極的に検討することに重点を置いている。県内で感染が拡大した段階では、近府県とも相互に連携して、県民の生活・経済の維持のために最大限の努力を行う必要があると述べた。

驚くほど愚直な荒井県知事

複数のマスメディアが奈良県の対応を問題視したことにより、4月20日午後に県庁及び荒井県知事の対応が一転。遊興施設や劇場等に対して、4月23日からの休業を要請した。そして、「緊急事態宣言の全国拡大により知事が対応を迫られるものはない」とした先の発言について、同会見で対応が一転した理由を報道陣が尋ねたところ、「対応は変えていません。今まで様子を見て検討しておりましたので、その延長です。」と述べた。荒井氏は結果として、マスコミの追及によって知事としての対応を迫られたように見える。陰では、事務方の説得もあったと思われる。

Yahooニュースのコメント欄では、休業補償をしたくないから休業要請を先延ばしにしたとの憶測が広がっているが、奈良県民からは「荒井さんは、なにか意図がある訳じゃないですよ 何も考えてないだけです 知事になって長いですが 組織票で当選してるだけですから ほんとになんにも考えてない人なんです」との声が寄せられた。奈良県庁ホームページの「こちら知事室です」で荒井県知事は、座右の銘であるという「無私愚直精進」を掲げ、単純さと素直さが自身の取り柄だとした。筆者は、奈良県民の生命及び健康を本気で心配している。


(参考URL)

奈良県 対処方針(4月17日更新)
http://www.pref.nara.jp/55124.htm

奈良県新型インフルエンザ等対策行動計画
http://www.pref.nara.jp/34828.htm

新型コロナウイルス感染症に関する報道資料の一覧/奈良県公式ホームページ http://www.pref.nara.jp/55062.htm

知事定例記者会見
http://www.pref.nara.jp/27992.htm

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