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三体を超え、福音を伝える?

民間企業が火星旅行のプロジェクトを立ち上げて、志願した社員たちにテスト用施設で2年間の隔離生活をさせてるらしい。火星に行って帰るのに、だいたい2年。人間が精神的に、そんな長期の隔離に耐えられるか、検証するんだろうね。

火星の赤い土を先に踏むのは、民間会社か、中国か。もし中国だったら、いきなり領有を宣言するんじゃないか、と心配になる。自分的には、火星と言うと、光瀬龍のSF小説に出て来る「東キャナル市」だけど、それ以外の作家のSF小説でも、だいたいの流れとして、数百年後に火星植民者が、横暴な地球に怒って、独立宣言へ、という展開になるんだよね。これは、新大陸発見からの世界史を、宇宙に投射してるんだろう。投射と言えば、これは、商社なのに武装して植民先の現地政府と戦争した東インド会社がヒントになっていると思うんだけど、小川一水のSF小説『天冥の標』では、ロイズ保険会社と伝染病患者団体が武装化し、宇宙船団を保有して、戦争するんだよね。

人間って、そうやって、どこへ行っても、武装、独立、戦争して、広がって行く存在なんだろうかね。悲しい。

SFの別の展開では、人間が宇宙に出て行った先で、異星人に遭遇し、協調融和したり、やっぱり戦争したり、侵略したり、されたり、というストーリーがある。異星人。。。穏やかな異星人から、三重連星にぶん回される惑星で育った三体人みたいに凶暴な異星人まで。。。いるんだろうかね、ほんとのところ?

米軍が戦闘機で撮影したUFOの動画を先月ぐらいに公開してたけど、とても自然現象とは思えない飛行物体が、けっこう目撃されてることは、事実だよね。数日まえ、仙台市上空でも、謎の白いバルーンがUFOとして騒がれた。あれも、いくら調べても正体がわからないらしい。いったい、なんなんだ?

今日の聖書の言葉。

もろもろの天は神の栄光をあらわし、 大空はみ手のわざをしめす。
詩篇 19:1 口語訳

もし、異星人が高度な文明を築いているなら、地球と同じように、大量の電波を宇宙の全方向に発信しているはずだから、巨大な電波望遠鏡でくまなく探査すれば、類似の電波を拾えるはず。。。というジェット推進研究所のカール・セーガン博士のアイデアで、ずーっと電波を探し続けているそうなんだけど、いまだ「文明の証し」と思える電波は、見つかっていないらしい。あまりにも見つからないもんだから、文明が発達すると核兵器を発明し、核戦争になってしまうので、他の星の文明とのコンタクトに成功する前に、絶滅してしまう。だから電波が飛んで来ないんじゃね? という悲しい説明理論もあるぐらいだ。

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もし異星人と出会ったら、クリスチャン的には、その異星人に福音を伝えるべきか、どうか、ということを、考えてしまう。そのためには、まず、言語での意思疎通に成功しないとねー。そこで、両者のあいだの共通言語として機能すると思われるのが、数学だ。どういう脳の構造をしていたとしても、宇宙のどの部分に住んでいたとしても、数学の公理や定理は変わらないはずなので、そこをとっかかりにコミュニケーションをスタートし、数学で共通理解を確立したら、だんだん数学以外の話題へ広げて行く、という戦略らしい。セーガン博士なんかは、あの電波望遠鏡で素数のビープ音をえんえんと宇宙に発信すれば、知的生命がいつか捉えてくれるはず、と言ってた。1、2、3、5、7、11、13。。。

意思疎通ができるようになったら、いよいよ福音を伝えるわけなんだけど、最大の課題は、これだ。

宇宙の創造者である神が、地球という特定の惑星だけを選んで、その住民のひとりとして受肉した、それがイエス・キリストで、それは宇宙の歴史の中で一度かぎり生起した出来事、それが繰り返されることはないし、ほかの惑星に類例もないはずだ。。。というキリストの独自性・唯一性・排他性だ。

異星人との対話で、話題がここに及んだときに、どういう展開になるのか、まったく想像がつかない。フィリップ・ホセ・ファーマーのSF小説『恋人たち』では、非常に厳格な改変キリスト国教会「スターチ」の信徒である星間植民者が、異星人と恋愛関係になる、というストーリーなんだけど、彼は異星人に福音を伝えよう、なんて考えはなくって、ひたすら植民し収奪する視点しかないんだよね。。。まあ、この改変キリスト国教会というのが、福音とは似て非なる律法主義、政教一致の国家教会であって、これから数百年先、キリストが「再臨」し、ふたたび地上を去った後(おいおい、また去っちゃうの?)に生まれた体制教会なんだけど、その再臨キリストの言説に合うよう改変された修正新約聖書を正典としつつ、再臨キリストの後に出現した「後駆者」というイスカリオテのユダ的存在を常に敵視し、警戒している、非常に禁欲的な宗教なんだよね。スターチ(ステート+チャーチ=国家と教会の合体社会)では、信徒ひとりひとりに「守護天使」という宗教警察官が配属されていて、24時間365日はりついて、信徒の言動を監視し、違反があれば、所持している鞭でもって、しこたまブッ叩くという。。。Black Lives Matter で平和的にプロテストしている市民を警棒でボコボコにする最近の映像を、どうも思い出してしまうんだけど。。。で、『恋人たち』の主人公は、星間植民者として地球を離れることで、「守護天使」の監視から解かれ、その結果、タガが外れたみたいになっちゃうわけなんだよね。。。

異星人に福音を伝える、ということは、それが、ほんとうの「福音」であるかどうかを、問われることになると思う。

その福音を、あなたは、どう生きていますか? 福音によって、あなたの住む社会・世界は、どんな姿になっていますか? 福音を、わたしに伝えようというあなたの意図は、どこにありますか? 征服するため? 収奪するため? 支配するため? 純粋な善意? ほんとうの愛? 福音は、あなただけにとっての福音ですか? ほんとうに、わたしにとっての福音でもあるのですか?

これだけのことを。。。UFOのハッチが開いて、異星人が目の前に立つまでの数分の間に、ぜーんぶ完璧に、自信をもって、よどみなく答えられるよう準備するのは、不可能だよね。

なので、異星人に福音を伝えることができるよう、今日、いま、この瞬間に、クリスチャンみんなが、ほんとうの愛を生きていないといけない、と思う。

出会って、福音を語って、そのあと、雑談になって、こんな展開になったら、いやじゃん。。。

異星人「そういえば、あのBLMのときの警官、ひどかったですねー。あんなに叩くことないのにね」 

地球人「えーっ、あれ、見てたんですか? どうやって?」 

異星人「だって、地球って、あらゆる電波を宇宙の全方向にダダ洩れさせてる唯一の惑星ですからー(笑)」

人種、国籍、宗教などによる差別を わたしたちの間から取り除いてください。すべての人の権利が守られ、あなたの子として生きる自由が与えられますように。キリストを信じる人々が一つに結ばれ、悪と戦い、あなたの国のあかしとなることができますように。
『教会の祈り』(時課)「年間第12主日・前晩の祈り」共同祈願


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