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福祉職員は「仁徳のある人」なのか?

※このコラムは個人的な意見がありますので、読まれることで不快に思われる方もいるかもしれません。ご了承ください。

 仁徳とは「弱い者・困っている者に心から援助の手を伸べてやる、博愛の美徳」とある。

 また、福祉職は「優しく」「福祉のことに詳しく」というイメージがあるかもしれない。
 実際にはどうだろうか?
(1)「優しく」
 福祉職員は「優しい心の持ち主」なのは、間違いないとは思いますが、「優しくなくてはいけない」というのはどこからきているのだろう?と考えました。
 法律?(社会福祉士及び介護福祉士法)
 その中には「誠実に」とは載っているが、「優しく」とは載っていない。
 倫理綱領?
 社会福祉士の倫理綱領の中には「暖かい関心を寄せ」とは載っているので、これかもしれない?
 介護福祉士の倫理綱領やホームヘルパーの倫理綱領の中には、載っていないかも?
バイステックのケースワークの原則にも載っていない。

 こうやって悩んでいると、「福祉職だから優しい」のか「優しいから福祉職」なのかが疑問に思えてきた。
 優しくなくては福祉に関われないのか?そういうわけではないと思う。厳しそうに見える職員でも、利用者から頼られることもあるし、逆に優しすぎると、ちゃんと支援してくれないと思われてしまうこともあると思う。

(2)「福祉のことに詳しく」
 何でも福祉のことを知っていると思われると辛い時がある。
「相談員でしょ」と言われても・・・分からないことはもちろんある。
 それと、専門的に学んできたことでも福祉制度の変化に追いつけずに、質問されたときでも自信がない時がある。
 利用者も「分かっているから答えてくれる」という前提で話されてしまうと、期待外れと思われてしまう。
 でも、福祉のこと以外でもある程度知っていないと、この仕事はできないなと感じます。極端なことでは、最近のアニメのこと。
 また、専門職であればあるほど、他のことに無頓着だったりすることもある。(福祉職でなくても思い当たることは誰でもあるはず)

 福祉職は「いい人」とも思われてしまうけど、どうだろう。
「いい人」の定義は、ここでは触れず。
 生まれてから100%の善人もいないと思うし、100%の悪人もいないと思う。
 最近では、福祉職員が事件を起こすこともある。
 利用者に意地悪をしてしまうことはあるし、叩いたり、つねったり、大声を出したりしてしまったこともある。さすがに、新聞記事になるようなことはしていないけどね。逆に、利用者から意地悪されて「イラッ」としても我慢しなければならず。けんかとまではないけれど、言い争ってしまうことはありました。怒ってしまっては、これまでの信頼関係が崩れてしまうと思ってしまう。逆に言ってしまえば、利用者からも言いたいことを言えて、職員もちゃんと叱れるというのはいい関係なのかもしれない。信頼とは、お互いに良いところも悪いところも認めて、前に進める関係なのかな、とも思っています。

 では、事件を起こしてしまうような状況とは、どこで狂ったのか?
 理想を抱いていたけど、現実を感じとってしまい、でも「何とかしたい」と、もがいた結果みたいにも思えています。
 また、「ストレスが溜まった」みたいに記事に書かれていることもあるけれど、どの職業でもストレスは溜まります。そうなると「人の本質」というか「人ってなんだ」ということを、多くの利用者と接すれば接するほど分からなくなってしまうこともあるのではないか。どの利用者にも「平等に」接しようとしているうちに、どうしても支援に差が出てしまうことへのモヤモヤ感もある。
 「こうしなくてはいけない」と勝手な思い込みを、自分のなかに浸透させて仕事をしているのか、周りから影響されているのか、なんとも言えない。
誰かから刷り込まれているのか?
 そして、利用者も「福祉の職員は優しい」ということを、どこからか分からないが、刷り込まれているかもしれない。

 もう一つ考えてしまうのは、利用者は、福祉・介護職員にどのように接してほしいのだろうか、ということ。
「優しく」接してほしいのか。
「厳しく」接してほしいのか。
「指南するように」接してほしいのか。
「さらっと」接してほしいのか。
 利用者によって、場面によって変えるとは思うのだが、実際はどうだろう。
僕としては(こういう答え方はいい加減と思われてしまうが)
「僕の言ったことを絶対だと思わなくていい」
「信用できなければ、それでいい」と言っています。
利用者はそう言われて否定しないことが多い。

 こうやって書いた僕ではありますが、これまでの自分なりの支援を変えようとは思ってはいません。利用者の個別支援があるのと同じように、職員にも一人ひとりの支援の方法があると思いますので。
 ただ言えるのは「目の前にいる『人』と真剣に向き合う」ことが大事ということ。そして、これからも悩みながら「人」「人生」と向き合っていこうと思います。


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