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詩のまとめ

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2021年11月の記事一覧

ぼくの

広くて青い。
暗くて明るい。僕の宇宙。涼しくて暖かい。僕の箱庭。
さんざめく流星が頬を照らす。

ひとりも気楽でいいものだ。
どうしてここに居るのかどのくらいここに居るのか、ただのひとつも思い出せないけど。

今日も星を眺める。
明日もきっと星を眺める。
悠長なものだ。誰かに叱られないか一瞬不安になるがここには誰もいない。

ひとりだけど独りじゃないから。

一等明るい星が流れた時、微睡む君の横顔

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煙はいつもの席で吐く

私は煙草を吸わない。
あなたはいつもベランダで煙草を吸っている。

あなたは本を読まない。
私はいつもソファで一人本を読む。

私は映画を観ない。
あなたは私を置いて映画館に行く。

あなたは音楽を聴かない。
私は共感をしたくても出来ないまま。

あなたと私は違う人間。
違うものが好きで違うものが苦手。

それでもこの気持ちは同じ。
同じ?

同じであるといい。
そしてあなたもそう思っていて欲しい

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milk tea

牛乳を沸騰させてロイヤルミルクティーを作る。
あなたに教えてもらった作り方。
ミルクティーが好きな私にあなたが教えてくれた作り方。

どんどん私が教えたものと、あなたが教えてくれたもので溢れればいい。
段々溶け合って紅茶とミルクのように。

この思いが届くのか分からない。
ただ夢を見るだけ。

早く会えたら。
次は私がミルクティーを作ってあげたい。

勿忘草

言葉が陳腐なものに変わる瞬間を初めて知った。

髪を撫でた柔らかなぬくもりに抱かれる心地良さですべて許されたような気がしてしまった。

拒まないよ
拒まないで

忘れないよ
忘れないで

君を忘れることを怖いと思った。

教えてくれた歌、わたしにくれた言葉、一緒に過ごした時間を、君の熱を思い出す。

会いたいよ。
痛いよ。

私を忘れないで

藍色、哀色。

青い錠剤を1粒飲み込む。
ベッドに入ってからもこの錠剤無しでは寝付けないから仕方がないのだ。

身体の中で溶ける青。
ぐにゃりと歪む世界。
それを見ると安心する。これでやっと眠りにつける。

柔らかな布団に包まれ夢の中へ心地よくおちてゆける。
あの人の笑った顔にまた会える。

秒針の音が心臓の音より遅い。
空気が冷たくて鼻が冷える。
窓の外では雨が降っているようだ。
どうりで寒い訳だ、と納得をする

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風の中で君を見たんだ

灰色の風が街に吹いた。
その風が凪いだ時君に伝えたかった言葉が過ぎった。
寒いから温かいココアを買って一口啜る。

今更か、今だからか。分からない。
伝えたい言葉が思いが沢山あった。
積み重なって押し潰されそうになったから曇り空の下でこの風と一緒に飛ばしてしまおうか。

君が君の歩むべき道を選んだことを祝福している。
ただちょっと感傷的になっているだけだ。

君の言葉を思い出す。
何度も何度も繰り

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異邦人

現実に苛まれることは私にとって日常茶判事だし、それらと戦うのは仕事みたいなものだ。

今日も戦う。
自分と。世界と。勝ち負けは私が決める。
そうやって〝生きる〟をする。

時々分からなくなるから、煌びやかなものに触れて唾を吐いて生きてみる。
本物がなんなのか確かめたいだけだ。

嫌われたって構わなかった。
虚像以外を抱き締めていられたなら、それだけでいい。

私に似ていて似つかない君へ

愛おしい

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エバーグリーンとアイスクリーム

『寂しい』を飼い慣らす。
『寂しい』に依存する。

私は今までそうやって生きてきた。そうやってしか生きられなかったから。

きっとそのうち『寂しい』に食い潰されてしまうよ。

〝『寂しい』を君と分け合って溶け合って同じ人間になれたら〟

だなんて、考えるだけ無駄だよなあ。

くだらないことを考えながらベッドからぬるりと這いずり出てもこもこのパーカーを羽織る。

常温の水は冷たかった。

私の頬にも

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しゃべるピアノ

僕は楽器。
甲高い声金色の声を夜に響かせる。
溶けるような柔らかい声はもう出ない。
さながら哀切な声で主人を待つ犬のよう。

僕は楽器。
朝霧にまた銀色の声を漂わせるだけ。
幸せな甘い空間を劈くが如く叫ぶ。
待ち人の指先すらもう思い出せぬほどに。

僕は楽器。
柔らかな真昼の月に啼く。
届かぬ思いすら白光に透かしてももう消えてしまうようで。

僕は楽器。
僕は楽器。

壊れる前にもう一度、僕を楽器

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君に贈る火星の

摂氏-63℃の赤い惑星。

小さな青い惑星を出てからどれ程経ったのか分からない。
分からなくてもいいと思う。

そこに降り立つ僕と君。僕ら以外に生命体は居るのか居ないのか。
そんな事、どうだっていい。
今日は素晴らしい日なんだから。

きっと僕らふたりきり。多分きっと、恐らくそう、ふたりきり。

世界はここからはじまる。
僕と君で今からはじめる。

笑うのも泣くのも怒るのも僕らがはじめる。

この

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