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飛行機に乗るのが怖くなる映画「非常宣言」

※ネタバレご注意下さい

1月6日公開のソン・ガンホとイ・ビョンホンのダブル主演の新作!(という言い方もどうかと思うが)の映画「非常宣言」を観てきたのでファーストインプレッションをnoteしておきます。

年末に予告編で観て、
「あ、ソン・ガンホだ!飛行機のパニック映画なのか!?すご!」
それだけで観に行こうと決めていた。

ジャンル的には航空パニック・バイオテロ映画という感じか。
某多国籍製薬会社の元研究員がこっそり持ち出していたウィルスをハワイ・ホノルル行きの機内に持ち込みバイオテロを実行する。
機内上空ではウィルス感染者が続出し、犯人自身も死亡してしまう。
さぁバイオテロにあった航空機は無事に着陸することが出来るのか?
また、ワクチンはあるのか?乗客・乗務員は無事に帰国することが出来るのか?

上映時間141分と長めだが、まぁ飽きさせることなく、物語も二転三転、無事に解決か!?と思ったら次の展開が。
そして予算が邦画とは桁違いで、まるでハリウッド映画みたいやんというスケールの大きさに圧倒。
途中、機長もウィルスに感染して急死してしまい機体が墜落寸前になるところでは、機内が365度回転して落ちていくので、乗客が飛び回るシーンがあるのだけど、どうやって撮影しているんだろう?怪我人出なかった?と心配になるくらい。

この手の大作はもはや日本では作れないよな、韓国には勝たれへん
というのが正直な感想。
いいんだよ、別に。
邦画は登場人物の心の機微を描いた繊細は小品を作れば大丈夫だから。

それにしても、韓国映画って僕らの(僕だけ?)感覚で
「もう、これで終わりだよね」
ってところで終わらずに、さらに引っ張る引っ張る。
え、まだあるの?というところまで引っ張る。
時に、そこはいらなかったかなぁ、と思うことも多い。
「パラサイト 半地下の家族」も最後のシークエンスは冗長かなと思ったけど、今回も無事に着陸したところで終わってもよかったのになぁ、と思った。
どうしても、というなら一番最後の上空から機体を撮影したシーンだけ繋げて終わるくらいで。
このあたりは、余白や余韻を楽しむ邦画の感性か、隅々までしっかりくどいくらい見せまっせ!という韓国映画の国民の違いがあるのかもしれない。

そして、ソン・ガンホはいつものソン・ガンホ。
家族のために一生懸命、傷だらけになりながら最後まで諦めないで闘う。
こんなお父さんがいれば心強いよね。

この人どこかで観たことあったよな?
と思っていたら、そうだよ!まさかのイ・ビョンホン。
アクションバリバリの役柄ではなかったので気づかなかったけど、やっぱり最後に全部持っていく。

到着予定地のホノルル空港では、バイオテロなんで直陸許可しません、となってまたUターンして戻るのだけど、次の緊急着陸に成田空港を目指すというところが終盤にある。
お、日本か!最初は型どおり、一応着陸拒否するのだが、
と言っても人道的な観点から最後は着陸許可されるんだろうな
と思っていたら、意外や意外、戦闘機まで出てきて領空侵犯だからと威嚇射撃するシーンになって、ちょっとドン引きした。
そこまでやるのか?って。
あぁ日韓関係が。。。。と当事者の日本人としてはかなり見ていて気まずかった。
だけど、その後「やっぱり韓国まで戻ろう」となるんだけど、
なんと!韓国内世論的にも、着陸反対!の方が賛成を上回り空港でデモとか起きたりして、政府も「やっぱり着陸は反対やで!」とか言ったりして。
同じ国内でもそうなのね、とちょっとホッとしたというか。

この辺のところは、 2020年1月に船内で集団感染が発生したダイヤモンド・プリンセス号の事件を思い出したりした。
パンデミックを経験した後なので、人為的なウィルス散布などのバイオテロが発生した場合に、同じようなことになるんだろうか?
今作内では、機内でのバイオテロは前例がなかったので方針が決まっておらず右往左往するというシーンがあったのだけど。
今は対策マニュアルとかはもちろん整備されているんだろうか?という心配もしてしまった。

1つだけ苦言をあげると、タイトルの「非常宣言」が実際には全然機能していなかったということ。
映画冒頭に字幕で、何らかの理由で航行不能になった場合に出される「非常宣言」は何ものにも最優先され緊急着陸が出来る、というような説明があったのだが、実際話の中でも非常宣言が出されるのだが、
「いや、バイオテロなんで原因とかはっきりしてないと着陸拒否するわ」
とたらい回しにされるシーンがある。
結局、非常宣言て何なん?意味ないやん。
というモヤモヤは最後まであった。
別のタイトルでよかったんでは?

やっぱりいつもの韓国映画みたくラストの絞め方がちょっと冗長かなぁ、と思ったり、タイトルがあまり内容と合っていなかったりとか、いくつかのマイナスポイントはあったけれど、全体的には圧倒的に面白いエンタメ映画で、まさに「手に汗握る」というそんな映画でした。

そして、あまりにリアル過ぎたので、

「あ〜、もう二度と飛行機には乗りたくない〜!」

と思ってしまいました。


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