マーティン・スコセッシ監督最新映画 『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』
今日は2本立て、午前中に1本観て、2本目に本作。
最初は映画館で観るつもりなかったんです。
Appleオリジナル映画なのできっとすぐにApple TV+で配信されるだろうし、上映時間 3時間26分なんて無理だし笑、みたいな。
しかし、むしろ長尺の映画だからこそ、しかも史実モノも圧倒的な迫力のスコセッシ映画でしょ、やっぱり映画館で没頭した方がいいんだろうな、と思い直して初日に行ってきました。
原作があるというのと、史実として凄惨な事件があった、というくらいしか前情報がなくて観ましたが、これはこれ、映画世界としてまったく問題なかったです。
タイトルの『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』もどういう意味だろう?と思ったんですが、原題(英語)ままだったんですね。「花殺しの月の頃」
なるほど。
このあらすじを読む限りでは、確かに同事件をモチーフにしているんでしょうが、焦点を当てている事件とか発生順とかは違うような気がします。
ストーリーとして明らかに描いていた殺人はモーリーの縁者5人くらいだったような。
ネイティブ・アメリカンの人たち、苦難だったんですね。
住んでいた土地を追い出されて、そして流れ着いた土地で石油が出たら、あの手この手で法律を作って介入してきて、それでも足りないなら闇で殺して土地・財産を奪ってやれ、なんて。
ゲルマンだかアングロ・サクソンだか分からないですが、白人って極悪非道だなと思います。黒人奴隷も酷い話だし。
金のためなら、犬や猫を殺すより簡単に殺してしまう。
そんなアメリカ初期の暗部をこれでもかと暴いてくれる映画です。
それにしても、デ・ニーロ演じるヘイル=キング、こんな奴多かったんだろうな。
いかにも親身になっているような好々爺の顔をして、裏では平気で殺しを依頼しているような奴。
それに乗っかり利益を享受する石油会社の重役達。
強いものに巻かれろで正義感なんてぶっ飛んでいる保安官たち。
そして、権力者にいいように使われても、そんなに疑問を持たずに、良い面=自分の信じたい面しか見ていない一般人。
土地に根ざしているのも良いことばかりじゃない。
長きに渡って手にした権力はやがて腐敗していく。
土地の権力者には誰も逆らえないから、人にキングと呼ばしている時点で碌なもんじゃない。
あれ?これって昔のアメリカだけの話じゃないね!
今のアメリカだって、
そして今の日本でも各地で見れる構図やん!!
怖っ。
しかしデ・ニーロ上手い。上手すぎる。
アイリッシュマンでは、根はいいやつなのに悪事に手を染める役で、
今度は根は極悪非道なのに、虫も殺さないような顔をしている役
そして、やっぱりディカプリオ。
彼が出てくるとディカプリオ映画になるんだな。
だけど、かなり年齢的に無理なかったか?というのも正直な感想。
最初戦争から帰ってきてアンクル・ヘイルを頼ってきた時は何歳くらいの設定だろう?
20代くらいでしょ?
ちょっと無理あったかなぁ。。。ま、いいや。
ディカプリオ演じるアーネストは、根は悪くないのに、学がないからなのか、ただただ純朴=バカなので、本人も罪を感じないまま妻の縁者達も死に至らしめる。
いや、こんな人も今でも多そうだ。
やっぱりね、悪の権力者を作るのは愚民なんだよ。
きっとそんなことをスコセッシは描いているんじゃないかな。
モーリー役のリリー・グラッドストーンはじめ、ネイティブ・アメリカンの血を引く役者の皆さんも良かったです。
上映時間の問題も色々と心配していましたが大丈夫でしたよ、前評判通りあっという間でした。
展開の速さもあるし、ストーリーテリングの巧みさでグングン引っ張って行かれるから。
それにしても、圧巻の映画でした。
まさに映画を観た!
という感じ。
<了>