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マーティン・スコセッシ監督最新映画 『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』

今日は2本立て、午前中に1本観て、2本目に本作。

最初は映画館で観るつもりなかったんです。
Appleオリジナル映画なのできっとすぐにApple TV+で配信されるだろうし、上映時間 3時間26分なんて無理だし笑、みたいな。

しかし、むしろ長尺の映画だからこそ、しかも史実モノも圧倒的な迫力のスコセッシ映画でしょ、やっぱり映画館で没頭した方がいいんだろうな、と思い直して初日に行ってきました。

原作があるというのと、史実として凄惨な事件があった、というくらいしか前情報がなくて観ましたが、これはこれ、映画世界としてまったく問題なかったです。

タイトルの『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』もどういう意味だろう?と思ったんですが、原題(英語)ままだったんですね。「花殺しの月の頃」

1920年代、禁酒法時代のアメリカ南部オクラホマ州。先住民オセージ族が「花殺しの月の頃」と呼ぶ5月のある夜に起きた2件の殺人。それは、オセージ族とその関係者20数人が、相次いで不審死を遂げる連続殺人事件の幕開けだった――。

私立探偵や地元当局が解決に手をこまねくなか、のちのFBI長官J・エドガー・フーヴァーは、テキサス・レンジャー出身の特別捜査官トム・ホワイトに命じ、現地で捜査に当たらせるが、解明は困難を極める。

石油利権と人種差別が複雑に絡みあう大がかりな陰謀の真相は? 米国史の最暗部に迫り、主要メディアで絶賛された犯罪ノンフィクション。

Hayakawa Onlineより
https://www.hayakawa-online.co.jp/shopdetail/000000013884/

なるほど。
このあらすじを読む限りでは、確かに同事件をモチーフにしているんでしょうが、焦点を当てている事件とか発生順とかは違うような気がします。
ストーリーとして明らかに描いていた殺人はモーリーの縁者5人くらいだったような。

ネイティブ・アメリカンの人たち、苦難だったんですね。
住んでいた土地を追い出されて、そして流れ着いた土地で石油が出たら、あの手この手で法律を作って介入してきて、それでも足りないなら闇で殺して土地・財産を奪ってやれ、なんて。

ゲルマンだかアングロ・サクソンだか分からないですが、白人って極悪非道だなと思います。黒人奴隷も酷い話だし。

金のためなら、犬や猫を殺すより簡単に殺してしまう。
そんなアメリカ初期の暗部をこれでもかと暴いてくれる映画です。

それにしても、デ・ニーロ演じるヘイル=キング、こんな奴多かったんだろうな。
いかにも親身になっているような好々爺の顔をして、裏では平気で殺しを依頼しているような奴。
それに乗っかり利益を享受する石油会社の重役達。
強いものに巻かれろで正義感なんてぶっ飛んでいる保安官たち。
そして、権力者にいいように使われても、そんなに疑問を持たずに、良い面=自分の信じたい面しか見ていない一般人。

土地に根ざしているのも良いことばかりじゃない。
長きに渡って手にした権力はやがて腐敗していく。
土地の権力者には誰も逆らえないから、人にキングと呼ばしている時点で碌なもんじゃない。

あれ?これって昔のアメリカだけの話じゃないね!
今のアメリカだって、
そして今の日本でも各地で見れる構図やん!!
怖っ。

しかしデ・ニーロ上手い。上手すぎる。
アイリッシュマンでは、根はいいやつなのに悪事に手を染める役で、
今度は根は極悪非道なのに、虫も殺さないような顔をしている役

そして、やっぱりディカプリオ。
彼が出てくるとディカプリオ映画になるんだな。
だけど、かなり年齢的に無理なかったか?というのも正直な感想。
最初戦争から帰ってきてアンクル・ヘイルを頼ってきた時は何歳くらいの設定だろう?
20代くらいでしょ?
ちょっと無理あったかなぁ。。。ま、いいや。

ディカプリオ演じるアーネストは、根は悪くないのに、学がないからなのか、ただただ純朴=バカなので、本人も罪を感じないまま妻の縁者達も死に至らしめる。
いや、こんな人も今でも多そうだ。

やっぱりね、悪の権力者を作るのは愚民なんだよ。
きっとそんなことをスコセッシは描いているんじゃないかな。

モーリー役のリリー・グラッドストーンはじめ、ネイティブ・アメリカンの血を引く役者の皆さんも良かったです。

上映時間の問題も色々と心配していましたが大丈夫でしたよ、前評判通りあっという間でした。
展開の速さもあるし、ストーリーテリングの巧みさでグングン引っ張って行かれるから。

それにしても、圧巻の映画でした。
まさに映画を観た!
という感じ。

<了>

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