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映画「LAMB/ラム」〜羊男と因果応報

こんにちは、makoto です。

今日は絶賛上映中の北欧摩訶不思議映画「LAMB/ラム」のファースト・インプレッションをnoteします。

この映画は、アイスランド・スウェーデン・ポーランドのホラー映画(R-15指定)という事ですが、
まずホラー映画ではないですね(キリッ)。
R-15指定については止む無しというシーンが若干ありますが、それでもみんな大好き「ソウ(SAW)」シリーズより全然グロくもないですよ。
僕、「ソウ」は未だに観たことないですし、多分これからも観れない。とにかくツラそうなルックが。。。

さてこの映画、舞台は北欧でいかにも地味そうなのですが、確かに地味です。めっちゃ地味です。
登場人物も人間に限って言えば、3人しか出てきません。

販促ポスターにも1人出ている主演のノオミ・ラパスは日本でもそれなりに有名な女優さんです。
リドリー・スコット監督のエイリアン後日談というか前日段「プロメテウス」や、本家スウェーデンドラマ版の「ミレニアム」シリーズでリスベットを演じていて、どちらも強烈な印象を残しています。

ノオミ・ラパスはこの映画では主演だけでなく製作総指揮もしているそうなので、まさに彼女の映画ですね。

(ここからネタバレ入ります)

***

映画はアイスランドの山岳地帯で暮らす羊飼いの夫婦が体験した不思議な出来事についての話です。
なので、羊がとても大きな役割をしています。
というか羊が主役です。

羊のことはよく知らないですが、
地域に合わせて進化して色んな種類がいるらしいとか、
飼育しやすく、繁殖しやすいとか、
そうなのか?でも確かに小川一水さんの超大作「天冥の標」でも未来の宇宙では羊が大事な食料源として飼われていましたね。

カバー画像はみんなのフォロギャラリーから「羊」で検索してnobodyさんの画像をお借りしたのですが、
日本で「羊」といって思い浮かぶものは、
まさにカバー画像の羊(なんて言うんでしょ?)とか、
顔が真っ黒になったサフォーク種とか、
彼らは草をもぐもぐと食む紳士なイメージがあります。

ところがですね、この映画の羊は角がびよーんと飛び出ている、図体も大きくいかにもいかつい羊達です。
舞台はアイスランドの山岳地帯ですし、立派な巻き角なのでアイスランディックシープという種ではないでしょうか。
アイスランディックシープは千年近い大昔にヴァイキングがアイスランドに連れてきたと言われていて、それ以来アイスランドの家畜羊といえばこの種だそうです。

で、この映画は一言で表すと、羊男の話です。
しかも、僕らのよく知っている村上春樹の小説に出てくる羊男ではなく、北欧の羊男はもっと粗野で畏怖すべきものとして描かれています。
そんな羊男の血筋を受け継いだと思われる子羊を、ある日羊飼いの夫婦が取り上げます。

その生まれたばかりの子羊を見た瞬間、2人は驚いたような顔をします。
そして、何故かその子羊だけ母屋に連れていき、一緒に生活します。
それからしばらく、映画は子羊の頭(顔)しか映しません。体はお包みで隠されているのですが、まるで人間の赤ん坊のように育てています。
だんだんと「これは体が人間なのでは?」と想像をするのですが、そうなるとどうして頭が羊で胴体が人間の子羊(?)が生まれたのだろう?と不思議に思います。

最初は夫が羊を相手に禁忌をはたらいたのかと、ちょっとグロテスクな想像をするのですが、妻の表情を見ているとそんな訳でもなさそうです。
そして、羊の血がいくらか入っているので、人間よりものすごいスピードで大きくなっていき、人間でいうと3−4才くらいまで一気に育ちます。

最初、どうして映画のタイトル(原題はスウェーデン語かなにか北欧の言葉っぽうので分かりません)がSHEEPじゃなくて「LAMB/ラム」なのかと思いましたよ。
ラムって羊肉じゃないのか、って。
そうしたら、ラムって1才までの子羊の意味もあったんですね。
なので、彼?(アダといいます)は立って歩いていますが、1才にもなっていないんですね。
ということは、主役はアダ(子羊男、変な言い方)です。

そして、物語の中盤、夫の弟が夫婦の家にやってきて、登場人物が全員揃います。そして、完全に彼?アダの姿もはっきりと映されています。
総登場人物 3人+0.5人です。
そして、どうやらこの夫婦にはアダという名前の娘がいたこと、そして何らかの理由で彼女は幼くして亡くなってしまったのだと分かります。
そして、妻はアダが天からの授かりものだと信じているのだと理解します。
(夫の禁忌ではなくてよかった、いやマジで。それは流石にドン引き設定)

物心ついてきたアダは水面や鏡に映る自分の顔を見て、どうやら自分は両親とは違うようだと思い始めます。
一方、アダの産みの母羊も母屋のアダの眠る部屋の下にきて、毎夜アダを呼ぶかのように啼きます。
そうなると、妻も母羊のことが疎ましくなり、ある夜母羊をライフルで殺して埋めてしまいます。

夜といっても、白夜なのでずっと明るいまま物語は進んでいくので、これが昼間の出来事なのか、夜中のことなのか、観ている僕らもちょっと感覚がおかしくなってきます。
これは実は全部夫婦の見ていた夢なのか?と。
しかし、弟もアダのことを「人ならざるもの」として認知しているので、リアルに起きていることでしょう。

そして、物語は終盤になり、壊れて放置してきたトラクタを修理するために夫がアダを連れて出かけます。
そして、ライフルの銃声とともに突然それは起きます。

次のシーンでは、アダの実父だとしか思えないでかい羊男がライフルを構えて夫を銃殺しことが分かります。
その前兆は、飼い犬が突然悲鳴とともに何かに殺られたことを示唆するシーンが少しだけ映されます。
そして、久しぶりにお酒を飲んで羽目を外していた両親と弟の目を盗んで家を抜け出していたアダもどうやらこの場面を目撃していた様子が描かれていました。
そして登場したこの羊男。とにかくデカイ、怖い。野生の一言。
アダを含めて、彼ら羊男はどうやら言葉を話さないようです。
声帯は羊だからかな。
その代わり、喉の奥で獰猛な唸り声をあげています。
物言わず、うわ、マジか。と映画を観ていて声が出ましたよ。

そして、羊男はアダの手をとって、山奥へ歩いて消えていきます。

そう、羊男はアダを取り戻しに来たついでに、母羊の仇をうちにきたんだと思います。
残された妻は何者かに銃殺された夫の亡骸を抱え、いなくなったアダを想い泣き叫ぶだけです。
まさに因果応報。

それにしても、ノオミ・パラスはどうしてこんな摩訶不思議な映画を撮ろうと思ったんでしょう。
途中まで山岳地帯の静かな景色に反して、何か起きそうな不穏なムードと音楽。
一転して、画面のトーンが明るくなり子育てを楽しむ夫婦。
その子供が普通ではない異型のものだという点だけを除き。
そして、時々インサートされる怒りの長毛の羊達の瞳、
そして飼っている犬や猫のアダを見つめる瞳

ずーっと、一体僕は何を観せられているんだろう?と考えていました。
そして、途中から考えるのは止めて物語に身を委ねればいいか、と思い直します。
そして、ラストの展開。
うん、やっぱり北欧の羊男一族と因果応報の話だ、と納得します。
だから何だ?ということなのですが。

羊男かぁ。
彼は何を象徴させられているんでしょうね。
もう1回観たいな。

今回は、ノオミ・パラスが主演、総制作指揮の映画「LAMB/ラム」のファーストインプレッションをnoteしました。

それでは!

***

翌朝追記

・アダは男の子と書いたけど、女の子かも?
 花で作ったティアラを冠せてもらうシーンがありましたね。あれは男の子の遊びではないな。
そして、亡くなった娘のアダの生まれ変わり?と思うとしたら、アダは男の子より女の子という方がしっくりきます。
そもそも、アダって女の子の名前なのかも。
どうして、男の子って思ったんだろう。観ていて、自然にずっとそう思っていた。

・アイスランドも日本と同じようにお風呂に浸かるんだな。

・ガス、電気、水道のインフラとかどうしているんだろう?

・子羊の意味?
調べたら、イエス・キリストを表現する言い方に神の子羊があるらしい。人間の罪の贖いとしてイエスが生贄の役割を果たすことからきているらしい。
この辺りに物語のベースとなる何か意味があるのだろうか。

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