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歴史を彩る無名戦士に花束を

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明るい話より皮肉な話、調子がいい人より道草を食ってる人。歴史に埋もれた色んなストーリーをお届けします。
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歴史を彩る無名戦士に花束を④小山田信茂

歴史を彩る無名戦士に花束を④小山田信茂

筆者は2008年から10年間、新聞記者をしていた。経済系の部署で企業を取材することが多かった。その経験からいうと、倒産する企業、ヤバくなる企業には1つの特徴があった。

退職者が相次ぐのだ。

とあるIT企業は半年間で財務責任者が3人交代したあげく、最終的に廃業においこまれた。融資していた金融機関は「話ができるひとがいない」と苦りきっていた。

別の上場企業では、ど派手なプロジェクトを打ち上げる社

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歴史を彩る無名戦士に花束を③細川忠隆

歴史を彩る無名戦士に花束を③細川忠隆

子は親を選べないーー。いまから400年前、ひとりの青年武将が父との関係になやみ、苦しんだあげく、ある決断をくだした。かれの葛藤がきょうのテーマだ。振れ幅の激しいかれの人生には、読み明かしたあと、一晩眠れぬ短編小説のような磁力がある。

戦国末期に生まれた御曹司きょうの主人公の名は細川忠隆(ほそかわ・ただたか)という。1580年、山城国(現在の京都府南部)で生まれた。ちょうど戦国時代の末期、織田信長

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歴史を彩る無名戦士に花束を②孕石主水

歴史を彩る無名戦士に花束を②孕石主水

きょうの主人公の名前をただしく読める方はそれほど多くいないだろう。

孕石主水(はらみいし・もんと)という。戦国時代の武将だ。

戦国の雄、徳川家康(とくがわ・いえやす)の人生を長編小説にたとえるなら、家康とわずかに交わりがあった孕石に関する記述は、数行といったところだろう。とるにたらない存在といえば、そうだ。だが、筆者には、孕石のたどった軌跡が妙に気になる。

孕石を紹介するまえに、家康の幼少時

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歴史を彩る無名戦士に花束を①高遠頼継

歴史を彩る無名戦士に花束を①高遠頼継

戦国武将にとって「諏訪」(すわ)という言葉には、背筋がピンと伸びるような、格別の響きがあったのではないだろうか。なにしろ諏訪の神様は「戦いの神様」だからだ。

日本最古の神社の1つである信州の諏訪大社(長野県諏訪市)は、全国各地に1万以上ある諏訪神社の総本社で、古代より祭神は「日本第一大軍神」とあがめられていた。信州・諏訪より勧請した分社で戦勝を祈願したのち、合戦におもむくのが戦国の武将たちのなら

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