「ここらで広告コピーの本当の話をします。」を読んでみた

ここらで

【書籍】
著書:ここらで広告コピーの本当の話をします。
著者:小霜和也

■はじめに

コピーライター、クリエイティブディレクターとは何をする人なのか。
それは、「商品をいじらずに、言葉を使って商品の価値を上げる人」と言えます。
コピーライターやディレクターの仕事を、企業の商品の内容を伝えることだと思っている人も中にはいますが、そんな単純なことではないのです。
価値が上がるように伝える」というのが仕事です。

また、そもそも広告の役割とは何かというと
それは、「モノとヒトとの新しい関係を創ること」です。
だから広告制作のことを「クリエイティブ」というんです。
つまり、広告のクリエイティブとは企業商品との生活者の関係をクリエイトすることを指します。

「言葉を使ってモノとヒトとの新しい関係性を創り、商品や企業の価値を上げる」
これが広告コピーによる広告クリエイティブということです。

■広告として成立するコピーと成立しないコピー

コピーを書く時の大事なこと。
そのうちの一つは、
「商品の広告コピーは成立するが、カテゴリーの広告コピーは成立しない」ということ。
商品の具体的な情報、競合商品との違いがわからない状態で広告コピーは書けません。
例えば、「サントリー天然水サーバー」の広告制作を担当したとき、「水」「ウォーターサーバー」というカテゴリーに属す、具体的な情報や競合商品との違いに基づいて、コピーは書きます。「水とは○○である」というコピーを見てこの商品を買う人はいません。

あなたは人間というカテゴリーに属しています。
だからといって自己紹介するときに、「人間とは○○である」という話をすするでしょうか?しませんよね?
自分独自のこと、他の人との違いを意識して話すはずです。
「水とは」といったコピーを書くのは、自己紹介で「人間とは」を語るのと同じです。

■モノの価値とは、ヒトとの関係性で決まる

もし、今あなたの目の前に現れて、「このグラス一杯の水道水、百円で買いませんか?」と言ったら、あなたは「頭大丈夫ですか?」って言うでしょう。
でも、もしあなたが砂漠で避難し難して飲み水が尽きていたら、1万円出してでも買ってくれるんじゃないでしょうか。
普段はバスを使う人も、暑いとき、疲れている時、急いでいるときは高いお金を出してもタクシーを使おうと思います。
これが価値というものです。
価値はモノとヒト(の置かれた状況)の関係性で決まるのです。

■「キャッチフレーズ」と「タグライン」

例えば、スーパーにある水に「熱中症対策に!すぐ飲める常備水を、お子様のカバンに」などというPOPが貼られていたら、百円ぐらいならと買っていくお母さんがいるんじゃないでしょうか。
中身はただの水、でも「常備水」というコピーによって今までとは違う価値を持つ商品になることができるわけです。
この「定義づけ」に特化したコピーを「タグライン」と呼びます。

キャッチフレーズの役割は、あくあでもターゲットの関心をキャッチすること。タグラインに関心を持たせるために興味を引くコピーです。

コピーの最も重要な役割である言葉を使ってモノとヒトの関係を創る、企業や商品の価値を最大化するのはタグラインであると覚えておいてください。

「電動アシスト自転車のコピーを書いてください」
仮にこの商品のUSPが「競合よりもパワフルなアシスト力」だとします。
この場合、育児で疲れてるお母さんとかはターゲットに相応しいと思います。
ではタグラインはどうなるか。
「お子様載せても坂道ラクチン!」
べたすぎると思った方もいると思いますが、タグラインは「わかる」ことが何より重要です。

タグライン、キャッチコピーを分けて考えることが重要です。

■まとめ

コピーを考えるときに、最も重要だと述べられている「商品の具体的な情報、競合商品との違いを考えること」という点ができていないと本書を読んで感じました。
どういう人が買ってくれるのか、どういった固定観念があるのかといったペルソナのリサーチに時間はかけますが、競合情報のリサーチ、競合と比べてどこがUSPとなるのかといったリサーチに時間をかけれていなく、なんとなくのイメージで広告文を作成してしまっていたと思います。
商品の価値は「モノとヒト(の置かれた状況)の関係性で決まる」ということを意識できていれば、市場から見てその商品の魅力はどこなのか、そのうえでどこの層に訴求していくかといった思考になると思います。
煽り訴求や共感訴求など訴求別に広告文テストをしてみようといった形で広告文の検証をしていましたが、そもそもの前提が抜けていたと思いました。

また、本書には「考える時間が9割、書く時間が1割」と書いてありました。
今後はもっとリサーチし考える時間に重きを置き、「競合や市場を分析したうえで商品の価値を見出す」という点を意識し、広告文の検証をすすめていきます。


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