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独自研究メモ

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聖書を読んでて気づいたことや調べたこと、また教会の兄弟と議論したことのメモ。聖句引用は多くの場合は口語訳より。 ※思想や解釈には変化がありますが、いちいち過去の文章を訂正できない… もっと読む
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2018年6月の記事一覧

[メモ]受難と復活の女性証言者たち

【マタイ福音書】

@十字架(遠く)27:55-56

・ガリラヤから従って来た女たち
◉マグダラ者なるマリア(Μαρια η Μαγδαληνη)
●ヤコブの者なるマリアそしてヨセの母(Μαρια η του Ιακωβου και Ιωση μητηρ)
●ゼベダイの子らの母(η μητηρ των υιων Ζεβεδαιου)

@埋葬 27:61

◉マグダラ者なるマリア
●他のマリア(

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[メモ]主の兄弟(2)ユストの系統

バルサバの称号が主の兄弟ユダの家系に継がれたというストーリーを仮定した上で、話をユストの称号に戻そう。

ヨセフ・ユストからヤコブ・ユストに継がれた、祭司職との繋がりを暗示させる「ユスト」の称号は、エルサレム教会の指導者の地位自体とも密接に関わるものであったかもしれず、バルサバ以上に重要な称号と思われる。

新約聖書中で「ユスト」と呼ばれる人物はヨセフのほかに二人登場する。

"しかし、彼らが

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[メモ]ヘロデ朝下の祭司家系

ハスモン朝の衰退後、大祭司はヘロデ朝の権力で生前に交代させられることが続き、多くの大祭司が任に就いた。有力な大祭司家系がいくつかあったようである。ヘロデ朝の興隆から神殿崩壊までの大祭司は以下のようになっている。(https://en.wikipedia.org/wiki/List_of_High_Priests_of_Israel

1. Ananelus, 37-36 BC
2. Arist

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[メモ]主の兄弟(1)バルサバの系統

https://note.mu/makojosiah/n/n0bea90ffb3d6

上記メモでは、「アリマタヤのヨセフ」=「イエスの養父ヨセフ」=「バルサバ・ヨセフ・ユスト」という比定をした後で、さらにタルムードに登場するラビ・アキバの岳父ベン・カルバ・サヴァをバルサバ・ヨセフと比定できる可能性について述べた。

しかし冷静に考えてみると、イエスの養父はイエスやほかの大部分の使徒たちより前の世

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[メモ]使徒言行録年代復元(1)パウロの宣教旅行

※2021/4/4加筆 この記事の執筆時点から、いくつか大きな見解の変化がありました。詳しくは新しい記事でまとめていく予定ですが、主には次の2点です。 ①ガラテヤ書の「第14年」の起点を回心時点と解釈し、そこでの描写を使徒11-12章の時期のことと解釈する蓋然性を感じていること ②第二コリント執筆の根拠としている「パウロがアトスに行った」という解釈は、僕が小アジアのアソスとマケドニアのアトスを混同

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エチミアジン写本229におけるマルコ16章エピローグへの付記

上記リンク先の22番目の画像がエチミアジン写本229(Matenadaran 2374)のファクシミリである。

アルメニア語聖書は始めシリア語聖書から訳されたが、5世紀前半にコンスタンティノープルから得たギリシア語写本をもとに改訂が行われた。

エチミアジン写本229(Matenadaran 2374)は989年に、5世紀の写本から写されたと考えられている。

そのマルコの福音書16章8節と9節

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[メモ] 四福音書の証言者(1)ヨハネ福音書の影の著者

上記の一連のメモでは、エマオ途上のイエスの顕現について、登場人物のうちクレオパでない方の使徒がシモンであると推測し、またクレオパが「イエスの養父ヨセフの兄弟クロパ」および「使徒マタイの父アルファイ」および「使徒マッテヤ」と同一視されると推測した。

この関係性から、マタイの福音書は、使徒マタイが執筆者であると共に、エマオ途上のイエス自身の講解説教を聞いたクレオパが影の監督者・証言者となっていること

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[メモ]四福音書の証言者(2)ヨハネ福音書の匿名の弟子

ヨハネ福音書の著者が複数いたとして、それが誰なのかは明示的にはわからない。しかし一人の著者はイエスの愛された弟子で、数多くの古代教父の証言からその名がヨハネであることがわかっている。ヨハネはヨハネの福音書中で一貫して匿名であり、「愛された弟子」などと呼ばれる。やはり、著者は誰か、というのはこの「匿名の弟子」や「愛された弟子」に着目するのがまずは良いだろう。

ヨハネ福音書に登場する匿名の重要人物を

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