[メモ]四福音書の証言者(2)ヨハネ福音書の匿名の弟子

ヨハネ福音書の著者が複数いたとして、それが誰なのかは明示的にはわからない。しかし一人の著者はイエスの愛された弟子で、数多くの古代教父の証言からその名がヨハネであることがわかっている。ヨハネはヨハネの福音書中で一貫して匿名であり、「愛された弟子」などと呼ばれる。やはり、著者は誰か、というのはこの「匿名の弟子」や「愛された弟子」に着目するのがまずは良いだろう。

ヨハネ福音書に登場する匿名の重要人物を●で示す。主観的に今回の議論とは関係ないと思った匿名の重要人物は・にしている。

また「愛された」と言及される人物を◎で示す。

またヨハネに特異的な記事であり目撃者が少ないと思われるエピソードは、それを証言した人物(その場に実はいた or エピソードの主人公から話を聞ける人物)がこの福音書の著者として有力となる。この場合の暗黙の証言者を〇で示す。

●洗礼者ヨハネの二人の弟子のうち、アンデレでない方(1:35, 40)

・カナの婚礼の花婿(2:1-2)(イエス親子が婚礼に呼ばれている。親戚?)

○サンヘドリン議員ニコデモとの会話の証言者(3:1-)

○洗礼者ヨハネの語りの証言者(3:22-)

●サマリアの女(4:1-)

〇サマリアの女との会話の証言者(4:1-)

・カファルナウムの王の役人(4:46-)(これが二回目のしるしと証言されている)

・ベテスダの池の病人(5:1-)(三十八年間病気に苦しんでいた)

・五つのパンと二匹の魚を持ってきた少年(6:9)

・イエスを信じていない兄弟たち(7:3-)

〇ニコデモら指導者たちの会話の証言者(7:45-)

・姦通の女(8:1-)

・シロアムの池へ行って癒された盲人(9:1-)

◎イエスが「愛して(φιλεω)おられる者」、ベタニヤのラザロに関するマルタの発言(11:3)

◎「イエスはマルタとその姉妹とラザロを愛して(αγαπαω)しておられた」福音記者による説明(11:5)

◎「どんなにラザロを愛して(φιλεω)おられたことか。」人々の発言(11:36)

○サンヘドリンでのカヤパの預言の証言者(11:45-)

◎「弟子たちを愛し(αγαπαω)、この上なく愛し抜かれた(αγαπαω)」(13:1)

◎胸元に寄りかかったイエスが愛された(αγαπαω)弟子(13:23)

●大祭司の知り合いでペテロと共にいた「もう一人の弟子」(18:15)

○ピラトの尋問の証言者(18:28-)

◎イエスの母が託された「愛された(αγαπαω)弟子」(19:26)

◎ペテロと墓に走った「イエスの愛した(φιλεω)もう一人の弟子」(20:2)

○マグダラのマリアへの顕現の証言者(20:11-)

●ティベリアス湖畔での顕現の七人の弟子のうちの二人(21:2)(他はシモン・ペテロ、ディディモ・トマス、カナ出身のナタナエル、ゼベダイの子ら)

◎ティベリアス湖畔で「主だ」と言った「イエスの愛した(αγαπαω)あの弟子」(21:7)

◎死なないという噂のあった「イエスの愛した(αγαπαω)弟子」(21:20-)(=胸元に寄りかかった人物)(福音書の証言者であり執筆者)

●イエスの愛した弟子が福音書の証言者であり執筆者であることを証言している語り手(21:24)

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