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まこ
2023年3月14日 18:48
少し眠るわね、まるで気のないようにおまえは髪を切り落とした燃える赤がハラハラリと妖精のように空を舞い地面に波紋を描くそれから膝を抱えて動かなくなった小さな火種のそのまた前ぶれようなかすかな呼吸音だけがそこに残った
2023年3月14日 18:46
本の背表紙が色を淡くした中から文字が溶けて透ける呼吸をするように微かに発光している本棚に咲く花は濃い芳香を放っている君はそれを摘みあげて積み上げて明後日と一昨日と5年前と2年先とを音もなく反復する窓も開けていないのにレースカーテンが揺れている
2023年3月14日 18:45
都会には人知れず空洞があるビルの隙間に側道の中に公園の裏手に誰にも気づかれない空洞がある風の線を伝って私はそこに辿り着と体を譲って纏った何かを振り落とす空洞はそれをものの数秒ですっかりと飲み込んだそしてまた次の空洞を探す
2023年3月2日 12:53
ゆっくりと夏を脱ぎ去るようにあたたかい雨が降っている湿った空気が皮膚を撫でて頬杖をついたまま目を閉じて窓の外へじっと耳をすませる私もこのままやさしい夜の黒に薄く溶けていけたらいいのに