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感覚統合のこと〜母の目線から〜

前回、感覚統合について書くと決めてから数日。
どうやって書いたらいいかなとだんだん私は迷いはじめた。
感覚統合って本当に奥が深いし、簡潔になんてまとまらないし。
ましてや、その道の専門家の方の書いたわかりやすい書籍やブログなどは山ほどあるから、何も今さら私が綴るまでもないかと。

ただ、それでも私が伝えたかったのは何だったのか。

それは、やっぱり「感覚統合の偉大さ」についてだ。

そんなわけで、今回の記事では、感覚統合に関わる中で、私が「母的目線」で感じたことをあるがままにかけたらいいなと思う。
あくまでも主観なので、わかりにくかったり、偏りがあったりしたらごめんなさい。。。

まず、感覚統合とは一言ずばりでいうならば...

「わが子を、野原に勝手に咲くタンポポではなく、温室の蘭として育てよ」

ということではないか。
これに尽きると思う。

発達障害のあるこどもは、いろいろな難しい感覚を抱えている。
その「難しい感覚」は主に3つの感覚に起因する。

「触覚」
主に皮膚で感じる感覚

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「固有感覚」
からだを思うように動かすための感覚
情報を汲み取る力

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「前庭感覚」
ざっくりいうと平衡感覚
バランスを感じ取る力

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この3つの感覚は、もともと小さいこどもは発達していなくて、だから当然小さいうちはみんな、いろんなエラーに遭遇しやすい。
でも、定型発達のこどもたちは、日常生活の中で自然とそれらの感覚を鍛えたり、新しい感覚に慣れていったりすることができる。

例えると、
できなかったスキップがある日できるようになったり
ゆるゆるにしか絞れなかった雑巾が硬く絞れるようになったり
ママ以外の人と手を繋ぐのが苦手だったけど、いつしかお友達と手を繋いでダンスができるようになったり...

そういう感覚を日々の暮らしの中で、なかば当然のこととして自分で勝手に(あるいはほんのちょっとのサポートやお友達の真似をすることで)鍛えていっている。

では、発達障害のこども達はどうやってその感覚を鍛えていくのか?

まず、これをちょっと眺めて欲しい。

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このピラミッド型の下の部分、つまり生きていく上でいろんなことの土台になる部分は、先ほどの定型発達のこどもたちであれば「無意識に」「勝手に」自分で成長させていく部分である。


しかしこの「無意識に」「勝手に」というのは、発達障害のこども達には当てはまらない。
なぜなら、発達障害のこども達は、何かを見たり聞いたり、あるいは何かに触れたり誰かに触れられたりする時、その入ってきた刺激なり感覚を脳でうまく交通整理することが難しいからだ。
そして混乱したり、落ち着きがなくなったり、泣いたり、場合によってはパニックになったりする。

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だから、定型発達のこども達なら自然に成長させるこの「土台」は、発達障害が疑われる場合には、大人が意識的に丁寧に「土台作り」に関わってあげる必要がある。

が、そうは言っても。
その「土台作り」に関わる、という部分が、大変に難しく、手間がかかる。
「土台」は生きる力そのものだから、言い換えると、発達障害のこどもを育てるということは、その生活全てに丁寧に関わってあげるということなのだと思う。
感覚統合というのはつまり、そういうことだと私は理解している。

それは例えばこんな感じだ。

すぐに寝っ転がってしまう
→筋緊張が強いか弱いか、体幹のコントロールが難しい
→姿勢のあり方がよくわかっていない、そもそも背中の認識がない
→背中をマッサージしてあげることで背中があることを認識させてあげる
落ち着きがない
→周りの刺激に敏感で、必要以上に影響を受けてしまう
→目から入ってくる情報を少なくする
→目の前にはひとつのものしか置かない
→静かな環境を作る、場合によってはイヤーマフをつけてあげる

こんな感じで、ひとつひとつの事象がなぜ起こるのか、その時の状況と、こどもの特性に合わせて、丁寧に紐解いていく。

それから、例えばその事象が「好き嫌い」だとこんな感じ

牛乳が嫌い
→本当に牛乳が嫌い?
→もしかしてストローの感覚が苦手なのでは?
→もしかして紙コップの匂いが苦手なのでは?
→もしかして生ぬるい牛乳だから苦手なのでは?

そんな風に食感、温度、かたち...いろんな角度から検証してみる。

それから、例えば抱っこだとこんな感じ

抱っこすると嫌がる。ママのことを受け入れていないのかな...
→抱っこされてそっと撫でられる感覚が苦手なのでは?
→この子の触られたくない場所は?
→どんな触り方なら嫌じゃないのかな?
→関節をぎゅっと握られるみたいなのは嫌じゃないみたい。
→それなら、一緒に寝っ転がって、膝や肘を、歌遊びしながら握ることからスタートしようかな。
そうやって、ゆっくり時間をかけて触れられることにことになじんでいってもらおうかな。。。

あー、キリがないです。
奥が深すぎて...。
いつゴールが見えるかわかりません。

でも、そういう丁寧な関わりを何十回、何百回繰り返す中で、息子は本当に変わっていきました。

書き出したら時間がいくらあっても足りないけれど、もしお子さんとの関わりで「?」となった時は、近くにいるOTさんに相談してみるといいと思います。
親の立場で常識的に生きていると見落としがちなところをキャッチして、きっといいアドバイスをもらえるはずです。
そして何でもいいから1冊、自分と相性の良さそうな感覚統合の本を読んでみてください。
奥が深すぎて全部は理解できなくても、ひとつかふたつ、毎日の生活に取り入れられる工夫があれば、それで大成功だと思います(あんまり無理し過ぎずに!)。

ちなみに私は「木村順」先生の本が好きです。

この本は、どちらかというと教科書的な本かなぁという感じです。
まず基本的なことを知るにはとてもよい本だと思います。

触れられることが大嫌いだった息子は、今、マッサージされることが大好きになりました。
きっと脳の中で交通整理がうまくできるようになったのだと思います。

ゆっくりでも「生きづらさ」ってちゃんと軽減されて、個々の成長を遂げていくんだなーと、私も身近でたくさん感じる今日この頃です。

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全てに丁寧に関わるなんて到底無理な話ですが、それでも

「この子は、温室の蘭みたいに、丁寧に育てていこう!」

その意識だけで、本当にずいぶん違ってきます。
感覚統合のこと、息子の成長に合わせて私もこれからもずーっと勉強していくんだろうな...と思っています。


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うちのハイビスカスです。
寒い冬に備えてそろそろ家にいれてあげようと思います。
そうすると…冬でもたくさん花が咲きます( ´∀`)

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