『蓋は内側から閉められるように』
結果としてこういうことになったのは
ほんとうに謝ります
でもわたしは彼を
心から愛していました
「えぇ、そうですねダブルベッドくらいの寸法で」
だって彼は
わたしのことなんて見向きもしないから
身勝手な発想だということも
承知しています
「はい、蓋は内側から閉められるようにお願いします」
なかば錯乱していたわたしが
彼を手に入れるためには
このような
倫理に反した手段しか
ありませんでした
彼を殺して
わたしも死ぬ
だからこうして
二人いっしょに眠ることのできる
棺桶を
発注したのではありませんか
許してくださいね
かみさま
おやすみなさい
みなさま