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『深い森の入口にあるコテージで』


深い森の入口にあるコテージで

私はひとり

秋の訪れを噛みしめていた


この宿は初めてだが

なかなか悪くない


豪奢なつくりではないが

大変静かで

物思いに耽ることができるし


食事も豪華とまでは言わないが

味は至高だ


景色は言わずもがな


テラスから右手を見れば

林道が山の頂きに向かって伸びており

色とりどりのハイカーたちで賑わっている


いっぽう左手は

鬱蒼とした手つかずの森

いわゆる樹海と呼ばれるエリア

壮大な景色が広がっている


いったん足を踏み入れれば

方位磁石も狂い

二度と戻ることはできないという


またそれを逆手にとって

つまり

自ら尊い命を絶つ連中がいるというから…


そんな樹海の入口

道もないところを

ひとりの男が

ダークグレーのスーツを纏い

革靴に革カバンといういで立ちで

踏み込んでいくではないか


あぁ思えば昨夜

このコテージで私と同じように

ひとり夕食をとる男がいた

あの男に間違いない


従業員を呼び寄せて

穏やかならない出来事を

目撃した旨を伝えた


従業員はニヤッと笑い

あの男ならば問題ないという


そんなわけがあるか

ハイカーならともかくと伝えるも

ご心配なくとだけ応える従業員


警察に直接届けようかとも思ったが

私は厄介ごとを好まない

多少の罪悪感は残れど

私はさきほどの光景を

見なかったことにした


あくる朝

朝食をとりにカフェテリアに向かうと

例の男がラフな服装で

パンを頬張っているではないか


安心と同時に

私は動揺した


そしてつい気になって

不躾を承知で問い立ててみた


「あいすみません、昨日、樹海のほうへ入っておられましたか?」

「あ、昨日?仕事だったんすよ」

「差し支えなければ、どのような?」

「---


※突然ですがここで筆者です


オチが4つほど浮かんでるので、A~Dお好きなのをお選びください

A「磁場を狂わせる機器が置いてあるんすけど、その点検す」(続編

B「個撮ってわかります?首吊る社畜っていう需要あるんすよね」(続編

C「あ、仕事は都会でね。アパートが樹海の中にあって。独り身だからココで飯食うんすよ」(続編)

D「…ってそもそも…俺の姿見えるんすか?」(続編




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