『「ええ、そうなんです画面にはっきりと…」』

「ええ、そうなんです画面にはっきりと…」

思い出すのも恐ろしいといった風で

"被害者"の女性は語る

「仕事に遅刻するわけにもいきませんし…」

その日も

いつも通りスマホのアラームで目覚めて

ストリーミングを観ながらメイクなどを済ませ

SNSをチェックしつつ朝食を詰め込み

いそいそと自宅を出ようとしたという

「靴を履いている途中にいきなり…」

突然の出来事に焦燥しつつも女性は

最寄りの駅まではなんとか

スマホから目を離すことなく

向かおうと試みたらしい

「充分気をつけてはいたんですが…」

赤信号に気づかず横断歩道を渡り

自動車に跳ねられて女性は

帰らぬ人となった…

ように思われたが

奇跡的に一命を取り留めて

「意識が遠のくなか、あぁ天罰かなって…」

意識を取り戻したときには

女性が握りしめていたスマホは

元の待受画面に戻っていたという

「車に跳ねられてもスマホを離さないなんて…」

なんとも情けないといったこころのうちを

吐露する女性

「でも、体験したらわかります」

回想する女性の表情は

ふたたび恐怖に満ち満ちて

「だって急に画面にメッセージが…」

どのアプリのものでもなく

電源を落としても消えないというその文字

「"画面から目を離したら、死ぬ"って…」