『眠みに耐えるブブミ』

結果からいうと耐えられずに寝落ちした

重い瞼を押し上げられなかった

ブブミはもうことし３９

しんだもどうぜん

ブブミはシュールという言葉が嫌い

ブブミはよく周囲の人間に

シュールだって言われる

別にシュールを気取ってるわけじゃないのに

そんなことを言われるから

ほとほと飽きているし苛立つばかり

ブブミはだいたい昼過ぎに起きて

ナイターのために肩をつくり

テレビの前にスタンバイする

電話で呼ばれればオカモチを担いで

球場へ向かいたいていの場合

三者連続三振に仕留める

ただその日はつい試合開始前にビールを飲んで

元々アルコールに強いタイプでないブブミは

睡魔に襲われて監督からの電話に出られなかった

でもチームにはというか球界には

ブブミを超えるリリーフ投手がいないから

一回くらいの寝坊による無断欠席くらいじゃあ

お咎めはないわけだった

ブブミはこの冬もさらに年俸を上げるつもりでいる

でも球場と自宅の往復はこれからもずっと

自転車で行こうと思っている

プロやきうは遠征があるんだけど

ブブミのばあいそれは免除されている

あといまどき珍しく自宅が特定されていて

連日ファンが詰めかけるけど

ブブミの所属するチームのファンは皆行儀正しいので

ひっそりと電柱の陰からアパートの灯りが点いたかどうか

チェックするとかその程度

たまに差し入れで茹でたとうもろこしとかを頂くブブミ

なによりの好物で喜んで食べるそうだけど

いちどファンからの差し入れで食あたりして

その晩の試合にめちゃくちゃ打たれたことがあった

それでもブブミはファンを大事にするから

サインをすると言っても自分の名前を色紙にではなく

そのファンの名前をびっしりと背中一面に彫る

おかげで風呂無しアパート住まいのブブミは

銭湯にいけない

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（あとがき）
こういう日もあります。