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studio_hideka
『実はこっそりと俺』
気づいたときには
もう手遅れだった
きのうは部下のNさんにだいぶ乗せられて
こちらも調子が良くなり
あまりに飲み過ぎてしまったようだ
記憶がない
Nさんはいま俺の横で
静かに寝息を立てている
それだけは間違いなくて
つまり俺は
詰んだということだ
妻と
それと小6の娘からの着信が
エグイほどある
メッセージも読む気になれないが
もうそれはたくさんで
ほんとに浮気をしていたのは
妻のほうだった
実はこっそりと俺
興信所へ依頼をかけていたんだ
妻は自分が若い男と一緒になるために
俺を切り捨てて
うまいこと慰謝料まで手に入れようと
たくらんでいたようだ
思ったとおり
裁判には勝った
娘には年齢なりに理解できるよう
そして傷つけないよう
うまく説明をして
いちおう解決
妻とのことは決着がついたが
こんどはこちら
部下のNさんは
妻から小遣いをもらって
バイト感覚で加担していたらしい
俺はあの晩
Nさんとは何もなかったはず
ところがしばらくののち
妊娠をしたと打ち明けられた
検査をした
間違いなく
俺の子を妊娠していた
DNA鑑定書は
捏造されていた
実はこっそりと俺
興信所へ依頼をかけていたんだ
Nさんのお腹の子の父親は
妻が一緒に逃げた男らしい
思ったとおり
裁判には勝った
娘には年齢なりに理解できるよう
そして傷つけないよう
うまく説明をして
今度こそ本当に解決
そんなことを言いつつ
俺は娘になにより
感謝しなければいけない
実はこっそりと俺
娘へ相談していたんだ
パパ困ってるなら
探偵さんに頼んでみたら?って
そう提案してくれたのは
最近ミステリーにハマっている
この子なんだから