『「おじちゃん、おこづかいちょうだい」』

姉ちゃんから息子の話

つまり甥っ子の話をきいて

俺はびっくりした

今の子は学校で

プログラミングだとか

株や資産運用の勉強だとか

そんなことまでするんだってな

俺が母親に行かされたのは

書道にそろばん

あぁーあ

もうちょい遅く生まれたかったわ

っていうのは置いといて

ひさびさに姉ちゃん家ちに呼ばれて

御馳走になってたわけ

お義兄にいさんがすごく料理上手で

振る舞ってくれて

酒も飲ませてもらってさ

ほろ酔いでいい気分よ

そしたら

頃合いを見計らったように甥っ子が

「おじちゃん、おこづかいちょうだい」

なんていうもんだから

「叔父おじちゃんだけど、まだ二十代おにいさんだぞ」

って諭してみたわけ

甥っ子はきょとんとしてたよ

そのあと我に返ったのか

「ねぇおこづかい！」

って催促されたから俺は

「ＩＴも投資もいいけど、国語もしっかり勉強な」

って言いながら

しぶしぶ小遣いを渡すことにした

「おじちゃんはやく、はやく」

「待ってろ今渡すよ」

甥っ子の目をじっと見る俺

またしてもきょとんとする甥っ子

「どうしたの？おこづかいまだ？」

「いまテレパシーで送金したぞ」

「え、どういうこと？」

「受け取れよ、俺の作った仮想通貨」

それから俺はいっさい

姉ちゃん家に呼ばれなくなった