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『「そう、で、カプセルの真ん中にあるボタンを押すだけぇ」』


チャラい博士がエグい発明をした


光の速さで何万年もかかる星に

わずか30分ほどでたどり着けるという


特別な装備はいらず

裸一貫

そのままライドオン!

というから素敵だ


助手には詳細を明かすことなく

設計から開発

組み立てまでを博士は一人で遂行し

臨床実験も自ら行っている


仮にXと名付けられた目的の星は

全体が地球でいうところの常夏の島のような

白い砂のビーチと青い海に恵まれているらしい


博士はすでに地球とX星を何往復もし

耐久性や実用性も問題ないことを証明している


「博士、私にも行かせてください」

「おう助手っち!そうだな、そろそろおまえも」

「装備や操作方法など教えていただけますか?」

「うん、まず、全裸になりますぅ」

「ぜ、全裸?」

「そう、で、カプセルの真ん中にあるボタンを押すだけぇ」

「それだけ、ですか?」

「それだけでX星に着くし、いい感じに焼けてるぅ」

「焼けてるって、このカプセル内の蛍光灯で、ですか?」

「そうそう日焼けマシン付き、やばくね?」

「これも発射スイッチと同時に光るんですか?」

「当たり前」

「その…私は別に日焼けはしたくないんですが…」

「いや無理よ、それありきで設計してるから、日焼け必須だし」


人類史に名を刻む偉大な発明は

あるものにとっては最高の

あるものにとっては余計な

そんな機能と共に完成された





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