『漢文の本のいくつかが』

頭が良いと思われたくて

若い頃は

読みもしない難しそうな本を買っては

本棚に並べていた

あぁそう

未だに

有識者のインタビューとなると

背景になりがちな

あぁいう感じ

書店に行ったらもちろん

ジャケ買いならぬ

背表紙買い

難しそうならオーケー

ジャンルすらよくわからない

ワンルームのくせに

書斎気取りで飾って

日夜本棚を眺める

友達をそれとなく呼んで

すごいじゃんって言われて

言ってくれない場合は

それとなく促して

悦に浸っていたわけ

なんかそういう時期あるでしょ

ただそんな時期も卒業

ある日

自分の見栄のためだけに

並べられた本の数々を

改めて眺めていたら

漢文の本のいくつかが

逆さだって気づいたんだ

ちょっとだけ

賢くなったのかな

本は全部

売り払ったよ