『「サプライズですよ」』
中東でいちど乗り継いで延べ二十数時間のフライトの末、国際空港に降り立った。僕は雲一つない春の晴天に感謝しつつ大きく深呼吸をする。
途中にスラム街があることは知っていたので、市街地までは地下鉄を利用せずにタクシーを使うことにする。
ただし客引きをしているドライバーは信用ならないので、カウンターで紹介してもらい事前に価格を確認のうえで乗車する。
ハイウェイを少し走ったあと、時期にビル群が見えてきた。都会的な風景の合間に、神々しいオーラを感じたと思ったら、天空の大聖堂じゃないか。
今回僕が高校の卒業旅行にこの地を選んだのは、この大聖堂の存在が大きい。あとでゆっくりと観光させてもらおう。
待ちの中心部をやや通り過ぎ、タクシーは目的の宿に着いた。チップ文化だと聞いていたので、カードで支払った乗車料金とは別で現金をいくらか。
この土地のひとは母国語とは別に、英語を話す。そして観光客慣れをしていることもあり、僕の拙い語学力でもなんとかなるわけ。
正午を過ぎている。荷物を預けたら、さっそく昼食をとることにしよう。
僕はほかの同世代よりも旅慣れているほうだろう。
ほんとうは大好きなア
「ちょっと、ちょっと」
「なんですか教頭先生」
「練習ではそんなんじゃなかったでしょ!?」
「サプライズですよ」
「あのさ、これ卒業式、わかってる?」
僕の一世一代の晴れ舞台
卒業生代表のスピーチと
それから
アンナちゃんへの公開告白は
空気を読まない教頭のひと言で
台無しになったわけ