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『甘枝大サーカスの大英断 ~そんなもんかねぇ!~』


甘枝大サーカスが

興行をしているテントが

火の不始末によって

燃えてしまって


その原因となった

火の輪くぐりのライオンは逃げ

街なかを暴れまわっている


玉乗りのゾウも同様に

パオーンと飛出し

高速道路を封鎖しているようだ


子供たちに人気のポニーも

餌のニンジンが焼け焦げたから

あちこちの八百屋やスーパーに

出向く始末


彼らを捕まえようにも

どうにもこうにも


甘枝団長

困ってしまって


サーカスの動物たちというのは

およそ人間技ならぬ動物技を離れた

究極の芸を身につけている


逃げ出した連中とて

その例に漏れることはないので

一朝一夕に同じような動物を

調達するのはなかなか難しい

(捕まえるの諦めたのかよ)


そこでどうしたものかと

甘枝団長

腹心の部下たちを集めて

一晩寝ずに考えた


そこはアイディアマンの

甘枝団長


「ひらめいた」


もう動物を集めて

調教して芸を仕込んで

そんなのは面倒だ

コストも馬鹿にならないと

潔く諦めることにした


どうせ動物を使ったサーカスなんて

虐待だなんちゃらって

周りがうるさいんだ


そういうわけで方針転換


時代の流れのせいで

職にあぶれたキレイどころの

レースクイーンやら

キャンギャルやらの

おねぃちゃんたちを集めて


ハイレグとかの際どい服を着せて

そっち目当ての客を呼んだ方が

いろいろ楽だし

儲かるって考えたわけ


もちろんこれだって

世間の目は穏やかじゃないけど

もう背に腹は代えられない


さっそく求人を求めた甘枝団長

応募は殺到


ところが彼女たちの

プロフィールを見て驚いた


そんなはずはないと

何度も何度も見返して

指を折って数えるが

やはり間違いはなく


その応募の過半数が

自分と同じアラフォーで

残りの3割がアラフィフで

あと1割がおとこのこで

ようやくまともに…


「そんなもんかねぇ!」


甘枝団長は

いっそのことそっち方面で

ワンチャン懸けてみるかと思ったが

英断に踏み切ることができず


逃げた動物たちをあらためて

本腰を入れて

探すことにしたってさ






















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