『「いけないわ、いけない…こんなところで」』
「もう僕は我慢ができないよ」
「いけないわ、いけない…こんなところで」
「なにを言ってるんだ、こんなところだからいいんだ」
「だめよ、ゆりちゃんパパ」
「こんなときにその呼び方はやめてくれないかえりちゃんママ、いやアケミ」
「あぁんミツオさんたら…」
「やめやめやめやめやめぇ!!!!」
「やめってなんなんですか会長!」
「これを保護者会でやるんですかあなたがた!」
「えぇいけませんか?大人らしくてよいでしょう?」
「頭沸いてんのか!」
「なんですって?」
「こんなエ口芝居を幼稚園の保護者会でやるのかって言ってんだよ!」
「多様性の時代の情操教育の一環ですから!」
「意味がわかんねぇしそれに田中さんと山田さん、おふたりでこの台本作ったってことは、実際に出来てるんですか?えぇ?」
「そ…それは…」
「なんだそれ、ますます気持ちわりぃな!」
「僕たちは愛し合っているんです!」
「しらねぇよどっかいけ」
「じ、事前のアンケートでは、”観たい”が8割越えてるんですよ!」
「しらねぇよどっかいけ!」
無事に保護者会を追放、社会的に抹殺されたゆりちゃんパパこと田中ミツオと、えりちゃんママこと山田アケミであった。
その後、かけおちしたであろう二人のゆくえを汁物、否、知るものはなかったという。