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shinobuwada
『「おはようございます、失礼します」』
「おはようございます、失礼します…」
山路さんは心が病みがちで
会社に来られないときは
奥さんが出社する
「山路は体調を崩しておりまして…」
コッチ側ももはや手慣れたもので
皆あぁやっぱりといった反応
きのうから二日連続
やっぱり
週初めが多くて
「きのうの続きで、よろしいでしょうか…」
そもそも山路さんには申し訳ないけど
あまり重要な仕事は
お任せしていないし
業界知識がなくても
こなせる雑用を
お願いしている
「みなさんにはご迷惑を、いつも…」
もっとも
口が裂けても
こんなことは言ったらいけないけど
最近では奥さんのほうが
山路さんご本人よりも…
「それでは、きょうは失礼いたします…」
要領がよく
丁寧なので
お任せした仕事はきっちり
なおかつ早めに終えてくださる
「あぁ、ええと…」
当然と言えば当然だが
不平不満は何一つ言わず
ひたすらもくもくと
「あの箇所は、関数を入れておきました…」
それどころか
効率化まで図ってくれるから
重宝している
「エラーになったら、その手順書を…」
完璧すぎて
ぐうの音も出ない
「あしたは主人を、来させますので…」
そろそろ奥さんを
正社員に雇ったほうが
いいんじゃないかな