『「ぼくはカレーとかふりかけとか!」』
「ぼくはカレーとかふりかけとか!」
またワガママを言い出した
「ぼくはそんなもののために!」
うちのレッド
「ヒーローになったんじゃない!」
なにか勘違いしているな
今も昔も
われわれ戦隊ヒーローは
こどもたちの憧れのまと
時代が流れても
画面にかじりつくこどもたちの
無邪気な目の輝きはかわらず
そしてその副産物どころか
大きな収入源である
タイアップ企画商品
つまり
われわれ戦隊ヒーローの
名前を冠した商品たち
これもまた相場が決まっていて
作中に出てくる
武器やアイテムはもちろん
文具やアパレルなど
こどもが持つものはほとんど
そしてレッドが嫌々言っている
カレーだとかふりかけ
こどもたちが好きな食品も
その例にもれない
カレーやふりかけのおかげで
俺たちは給料がもらえているんだよ
戦隊の引き締め役といえば
いちおうの聞こえはいいけど
じっさいいちばん地味な役回りの
グリーンの俺が
レッドの世間知らずをなだめる
「給料なんていらないよ!」
こいつはほんとに
レッドのくせに脳内お花畑
そういえばイイ歳をして
独身実家暮らし彼女なしだった
「ぼくは純粋にたたかいたいんだ!」
ちょっと面倒を見るのが
さいきんだるくなってきた
イエローがメシ行こうっていうので
レッドのおもりを切り上げて
ついて行こうと思う
そういえばブルーとピンクの姿が
さっきから見当たらない
あいつらまた陰で
こちょこちょやってんな
戦隊ヒーローの
グループ内恋愛は
ご法度なんだぞ
(あとがき)
戦隊モノの作中の人なのか、それとも役者としての視点なのか、どう読むかはお任せします。