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『"俺の言うことを聞かず"』


新しモノ好きの俺は

最新の製品やサービスを目にしたり

あるいは勧められたりすると


それなりの値が張っても

つい手を出してしまう


もちろんそれが良い方向へ進むこともあれば

逆もまたしかり


「お客様、ボディが全体的に経年劣化しています。そろそろ…」


店員が本体の交換を勧めてきた

というわけでまずこういった場合

ポジティブに捉えて

最新鋭の機能を問う


「はい、やはり画期的なのはリモート操作でございます」


耳を疑った

いよいよ

リモートで操作ができるようになったのか


専用のアプリケーションをインストールすれば

誰でもかんたんに始められるという


でも問題は操作性なんだよね


「これまでの本体操作と変わりません。ご自身のものでしょう」


言われてみればもっともかもしれない


待てよ?


操作側の機器が壊れたり

それを紛失したり

あとはバッテリー切れや

通信状態が悪いときなんかは…


立て続けに疑問が襲ってくる

さすがに今回は見送りかな


「お客様、百聞は一見に如かず。一日無料でお試ししてみます?」


そういうことならと

俺の身体そのものを

交換してもらった


ものの数分で

記憶もばっちり引き継がれ


ん?

身体が

動かない…


あぁそうだった

本体交換前に

操作用アプリをインストールしてもらうために

俺の端末も店員に渡していたわけで


「お客様、ではまずわたくしが操作してご覧に入れます」


店員の目がきらりと光る


そのまま俺の身体は

”俺の言うことを聞かず”


かんたんな準備体操のようなことをしたと思えば

店のソファに再び腰を下ろされた


「お客様、いったんスリープ状態にさせていただきますね…」


















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