次良丸忍さん『ばーちゃる』
次良丸忍さんの『ばーちゃる』(金の星社)をご紹介。
序盤での、充希の母と、充希(みつき・男の子)のやりとりが印象的です。
「(前略)機械だとしても需要はあるはず。亡くなった人にもう一度会いたい、もう一度話したい。そういう心残りをかかえている人は、世の中にたくさんいるからね。そんな人たちのなぐさめや、心の支えになる存在には、このシップでもなれると思うの」
「ニセモノでも?」
「そう、ニセモノでも」
けれどそのニセモノが、心をもってしまったら……?
ソフトで軽快な筆致にユーモラスな味つけ。
楽しみながら読むうちに読者の胸には、物語のもつ深いメッセージが、じんわりと沁みていくことでしょう。
「ばーちゃる」の変化の過程や、周囲との関係、どんな出来事が起こり、どのような結末をむかえるかは、ぜひ御本を手にとってご覧くださいませ。
あなたには、もう一度会いたい亡き人が、いらっしゃいますか……?