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『火花』

(ネタバレ有)
5年ぶりぐらいに、高校の図書館で本を読みました。
又吉直樹の「火花」。かなり衝撃的。

人が死んだり結婚したりという定番の感動シーンが無いにも関わらず最後の漫才のシーンで涙が止まらなかったですし、登場人物の喋りと情景描写から読者に気持ちを汲み取らせる又吉さんの表現力と人間関係の洞察力に只々驚くばかり。

神谷という芸人の苦しさの全てを体現しているような芸人が登場しますが、強引で暴れ回る彼の芸風と裏腹に、育った環境は至って普通だったというギャップに凄く惹かれました。
きっと私が客として劇場で神谷を観れば、能天気に生きる訳わからん芸人というイメージが付くと思うし、絶対嫌いになるタイプの芸人さんだと思います。でも神谷も1人の人間で、傷つき、悩み、迷いながら生きてる。その生々しさやリアルさが徳永との会話や最後のシーンからひしひしと伝わってきた時、この本の深い所に触れたような感覚に陥りました。

芸人として長く活動されているピースの又吉さんがこの本を書かれているということは、描かれている芸人さんの様子もリアルなんだと思います。スパークスの解散ライブでの2人の言葉を聞いて涙が止まらなくなったのは、紛れもなく私がスパークスや徳永の葛藤を「火花」の読者として1番近くで見てきた証拠であり、それと同時に徳永や神谷が命を賭ける「芸人」という仕事の難しさや素晴らしさを体感した証拠でもありました。

インディアンスのきむさんが、M-1のコメントで「どれだけ命を捧げてやってるか…」と言っていたのが何故か忘れられません。人を笑かすために、悩み、苦しむ。こんな素晴らしい職業は無いと思います。売れている芸人さんも売れていない芸人さんも本当にかっこいい。一生のリスペクトです。

この本で私の人生観は変わりました。高校3年生という選択の多いタイミングでこの本に出会えた事は奇跡に近いと思います。人生を変えたい人、人生を諦めている人、普通の人生に飽き飽きしている人。どんな人にも寄り添ってくれる本です。マジ、読むべき。🫰

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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