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フラッシュバック

もう泣いたり怯えたりしなくていい な話

かつての職場の同僚から連絡が来た。
私が彼女以外の同僚と連絡を絶っていたことが連絡の原因だった。
彼女を通して様々な同僚の顔が浮かんだ。

槇を思って
槇が心配だから

善意からくる行動であることはよく分かる。
本来ならば彼女を通して心配の声を上げる同僚たち一人一人に連絡をし、連絡が途絶えたことを謝罪し、たわいない近況報告をすることが常識なのだろう。

でも、私にはそれができない。
あの職場を思い浮かべる時、わずかにあったであろう楽しい思い出より、思い出すだけで吐き気と胃痛と嗚咽が込み上げる辛い経験の方が圧倒的に多かったからだ。

喉の奥に、ビー玉が詰まったかのような涙を堪えた時特有の身体感覚を久々に体験する。

辛い気持ちを堪え、吐き出す場所がどこにも見出せず職場のトイレで蹲り嗚咽を漏らしていたあの日々を。

涙で目は腫れ、顔は浮腫み、ストレスでいつも身体のどこかしらに蕁麻疹が出てきてしまい、その悲しい斑点を見つけてはため息をつきステロイド軟膏を塗り続けていた時間を。

自身のプライベートを、後輩や学生がいる前で楽しげに語られてしまった時のやるせない気持ちを。

在籍年数がそこそこ長かったのは、退職する気力すら湧かず、退職後の展望もなく、燃えカスのような心身のまま手足だけ動かしていたら月日が経っていただけだ。

真綿で首をゆうるりと締められているかのような毎日を、もう何年も前になるというのにありありと思い出せる。

辛い時ほど、泣くわけにもいかず「あはは…」と力なく笑っていた為、退職したあともその癖がしばらく抜けなかった。

家族や親友がいなければ、最悪の場合死んでいたかもしれない。

誰が嫌で誰が悪かった訳でもない。
ただ、私はあの場所が心底肌に合わなかっただけだ。

当時はどうしたら良いか手立てが浮かばず、立ち止まる時間が長くなるほどに苦しさが増した。

今は、違う。

自分の気持ちに正直になり、直感を信じ指針を立て行動し、様々な明るい感情や居場所を掴み取った。

何があっても貴女の味方だ
伴侶となる彼が力強く言ってくれたお陰で、もう一人で泣かなくてよいのだと心から安堵する。

ほっとひと息つく頃、喉の奥の小さなビー玉はラムネのように静かな泡の中へ消えていった。

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