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世界を「あまねく見る」優しさへ
最近、”明るくポップに突き刺さる”本と出会ったんです📖
読み終わった後しばらく動けなかったし、突き刺さったものと一つひとつ向き合う時間が愛おしいとも思えました。
それが、今回ご紹介する、川内有緒さん『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』です💡
川内有緒さん『目の見えない白鳥さんとアートを見にいく』
”明るくポップに突き刺さる”という表現は、一緒に本書を読んだ方の言葉です。
割と重いテーマを扱い、深い問いを投げかけながらも、それでいて明るさも感じられる本書にピッタリな表現。
これまで、私は「障害や病気に対して、偏見を持ってはいけない」と自分に言い聞かせてきました。
だけど、そうじゃなかった。
「誰しも、自分の中に偏見がある」と、まず自覚することが大切なのかもしれない。
そんなことを教えてくれた、大切な一冊です📖
新しい「まなざし」を獲得する
本書は、川内さんら様々なメンバーが、”目の見えない”白鳥さんと一緒にアートを見に行く、ノンフィクション作品。
川内さんは、みんなで作品を見る目的について、こんな風に述べています。
・・・目的は、正解を見つけることでもなければ、白鳥さんに正しい答えを教えることでもなく、ましてや、全員が同じものを同じように見ることでもない。
では、一体どういうことなのでしょうか?私は、この文章を読んでハッとしました。
異なる人生を生きてきたわたしたちが同じ時間を過ごしながら、お互いの言葉に耳を傾ける。
・・・そうして、ひととひととの間にある境界線を一歩ずつ越えていこうとすることで、私たちは新しい「まなざし」を獲得する。
それによって、世界を「あまねく見る」という優しさに、ほんの少しだけ近づけるのだと思う。
「あまねく」とは、「広く、いきわたる」という意味。
新しい「まなざし」を獲得できるから、世界を広く見渡すことができる。
そのために、まず、目の前の人の言葉を真剣に受け止めることが大切なのだと思いました。
「こうあるべき」が生きづらさへ
私が今回、最も印象に残った作品は『ディスリンピック2680(※)』。
(※紙の書籍では、カバー裏面に掲載。しかも、本文にはあえて掲載しないという、わくわくする仕掛けがほどこされています!)
この作品では、「命の選別」「偏見」「差別」といったテーマで皆さんの会話が繰り広げられます。
私は、白鳥さんのこの言葉が頭から離れませんでした。
差別はダメだ、って言うんじゃなくて、程度の差はあれ、差別や優生思想は自分の中にもある、まずはそこから始めないといけないと俺は思う
私も、「差別はダメだ」と自分に言い聞かせてきた人間でした。
「こうあるべき」と考え、その考えを他者へも向けてきたのだと思います。
だけど、それが結果的に、分断や生きづらさを生み出していたのかもしれません。
ぼくらはほかの誰にもなれない
さらに印象的だったのが、白鳥さんのこの言葉。
「ぼくらはほかの誰にもなれない」
必死に誰かの立場になって想像したとしても、わたしたちは誰かの人生を本当の意味で理解することは出来ません。
同時にわたしたちは、ほかのひとになる必要もなかった。
喜びも苦しみもすべてはその人自身のものだ。
私はこれまで「理解しないといけない」と、思ってきました。
だから、偏見を持ってはいけないと。
だけど、それがそもそも違ったんだと、本書を通じて気付くことができたんです。
絶えず、想像する
最後に、「あまねく見る」について、私が大好きな川内さんの言葉をご紹介します。
唯一できることは、自分がいま見ていないその場所に七七億人の命があり、それぞれ与えられた時を生きていることを絶えず想像することだ。
・・・本を読み、旅をし、美術作品を見て、隣にいる人と話すこともそのひとつだ。
これからも、私は本を読んだり、誰かの話を聞いたりして、新しい知識と想像力を手に入れたい。
そうすることで、自分の中にある「こうあるべき(=固定概念)」を手放していける自分でありたいと思います🍀
最後までお読み頂き、ありがとうございました😊!
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