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ホスピタルアート関連論文まとめ

僕は、大阪でダイビングショップを経営しながら病院で海の写真を展示して癒しの空間を作る「ホスピタルアート」活動をしています。

取り組むホスピタルアート活動について

ホスピタルアートの本場であるスウェーデンでは、病院を建てる時に建設費の1%をホスピタルアートに使用しなければならないと法令で決められ
ている一方、日本では「ホスピタルアート」という言葉の認知すらまだあまりないのが現状です。しかし、スウェーデンのように出来るはずであり、日本中の病院での普及を目指しています。

そこで

今回、ホスピタルアートに関する論文を12本紹介します。

ホスピタルアートに対する患者の鑑賞行動と印象の評価:-外来待合と連絡通路における調査
吉岡 聖美 Yoshioka Kiyomi
       筑波大学 

抄録

本論文では,病院に展示されたホスピタルアートに対する患者の鑑賞行動および印象の評価を調査することによって,ホスピタルアートの有効性を確認することを目的とする。方法は,病院の外来待合および連絡通路のホスピタルアートについて,患者の鑑賞行動と快・不快の印象についての評価,および,通院期間,通院頻度,当日の経過時間,平均的な病院滞在時間について外来患者から回答を求めて分析を行った。外来待合では,待ち時間が長い患者ほど,通院に対するホスピタルアートの鑑賞頻度が大きく,意識的に見て,快さが大きいことが示された。また,連絡通路では,通院期間が長い患者ほど,通院に対するホスピタルアートの観賞頻度が大きく,意識的に見て,快さが大きいことが示された。これにより,病院に展示するために制作されたホスピタルアートについての有効性が示された。

ホスピタルアートの実践と評価:―作品『FOUR SEASONS TREE』を通して―鍬田 徹  広島大学 

抄録

ホスピタルアートに関わる研究は,近年,様々なアプローチで取り組まれるようになってきた。現状ではまだそれが一般的になっているとは言いがたいが,先進的な病院における実践例も報告されている。これはアートによる癒しの効果が,より注目されるようになってきたことに他ならない。その背景には時代が進むにつれて,機能や効率だけではない医療のあり方が問われるようになってきたことがあり,超高齢化社会が進む現代日本にとっても喫緊の課題の一つである。この状況の中で,本論は筆者自身が制作者として取り組んだホスピタルアートの実践(屋外での立体作品制作)に対して,医師・薬剤師・看護師・事務職員・業者・患者等に依頼したアンケート調査の結果に基づき,作品の制作過程や意図と,その受容を検証し,そこから明らかになる成果と課題をもとに,病院におけるアートのあり方について,一つの考察を試みるものである。

子どもの療養環境におけるヘルスケアアートの実践とその意義

髙野 真悟

抄録

医療・福祉施設におけるアートやデザインは患者のストレスを軽減し、気を紛らわせる効果が期待できる。特に子どもの療養環境において心理的な負担を軽減する目的で取り入れられてきた。筆者はそのようなヘルスケアアート(以下HCA)の活動を2011年から現在に至るまで携わってきた。2015年に竣工した富山県リハビリテーション病院・こども支援センターにおけるHCAではアーティストとしてデザインとアートの制作を担当した。本報告では実践内容の報告に加え、壁画制作に参加した学生の意識調査と設置から5年後に職員へのアンケート調査からHCAの意義を考察する。 調査結果として壁画制作を経験した学生は作品が残る喜びと達成感を感じ、楽しみながら社会貢献できると感じていた。設置したHCAについては・癒しや不安軽減など子ども患者にとって望ましい環境を作る・子ども患者のリハビリテーションのモチベーションとなる・子ども患者とその家族、患者と職員のコミュニケーションの助けとなる・目印として場所の認識を助ける・職員の労務軽減、モチベーション向上の可能性・病院に愛着を与え、病院のオリジナリティにつながるといった意義が確認できた。

アート・イン・ホスピタル : 佐賀大学医学部附属病院におけるホスピタルアートの実践 

土屋, 貴哉
柳, 健司

佐賀大学芸術地域デザイン学部研究論文集 / 佐賀大学芸術地域デザイン学部 より

病院空間におけるアートの役割 : 高知大学医学部附属病院におけるアートの活用と教育実践

  吉岡 一洋 土井原 崇浩 玉瀬 友美 中村 るい 野角 孝一 梶原 彰人 野中 陽一朗 松岡 真里 利岡 加奈子

高知大学教育実践研究 より

小児科クリニックにおけるデジタル・ホスピタル・アートの取り組み

慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科
渡邊絵都子 1 吉岡純希 2 吉野友美 1 本田真美

抄録

はじめにデジタル・ホスピタル・アートとは患者や医療者のニーズに合わせたデジタルアートの実践によりケアの支援を目指すものである。背景当クリニックでは、一般診療・発達専門外来などに加え、重症心身障害児の日中ショートステイを実施している。その活動の一部で個々のニーズに合わせたデジタルアートの実践を行っている。方法方法1:楽器の音によってプロジェクションマッピングされた映像が反応したり、児童が選んだカードの模様が投影されることを実施した。方法2:カード型のRFIDを利用し、近づける動作に伴い音やキャラクターが出てくるデジタルアートを実施した。結果症例1:クリスマスイベントとして実施し、児童のプロジェクションマッピングへの注目は高く、カードの選択では首を振ったり、視線を背け明確な意思を示した。症例2:カード型のRFIDによって反応する因果関係は理解し、自分好みの反応を何度も繰り返し楽しむ様子と周囲に共感を求める場面がみられた。症例3:RFIDのカードを保持できない児童には指に引っかけ、上肢を能動的に動かせるよう環境設定することで介助なく、何度も上肢を動かす様子がみられた。まとめ重症心身障害児(者)の多くは、非言語コミュニケーションを使っているが、自身で明確な意思を表出したり、身体的に行動することが難しいことから、受け身的な活動やコミュニケーションになりやすい。自己決定・自己選択がなされるかは、本人の動機を満たすためのどのような選択肢があり、どのようにしてその中から選択をし、選択を行った結果、どのようなことが引き続き起こり、その変化が、自分にとってどのような意味を持つかによって左右される。個々に合わせたデジタルアートを提案することで、自分で操作し、相互が共感し合う活動場面を設定する中に、コミュニケーション行動が発達する重要な要素が期待される。

ホスピタルアートの実践的研究

小橋, 圭介 山口県立大学

抄録

本研究では、文化創造学科生(特にデザインや表現活動を中心に学んでいる)が、山口県立総合医療センターにホスピタルアートの提案及び制作を行った。実施場所になる「NICU(新生児特定集中治療室)」や「GCU(新生児治療回復室)」は、早産児や低出生体重児等の新生児を集中的にあずかる場所である。子どもの誕生を祝うだけでなく治療を受け入れなければならないため、親族は多くの不安を抱えている。そのような心を少しでも和らげるのが本研究の目的である。制作を進めるにあたり、意見集約を重ねながら関係者との合意形成を図った。合意によって得られた意見を元に、ホスピタルアートの意義について考察する。また、医療現場による制作を通して自己表現としての制作活動だけではなく、鑑賞者(利用者や患者)に寄り添う表現活動を実践し、芸術表現の多義性も学んでいった。

「こどものもり」プロジェクト : 岐阜市民病院 小児病棟 壁画制作の取り組み (創立70周年記念特集号)

小川 直茂 奥村 和則 坂本 牧葉

岐阜市立女子短期大学研究紀要 より

ホスピタルアートと病院施設の満足度 : 飲食コーナーにおけるインテリアに関する調査

白石 小百合 白石 賢 吉岡 聖美

横浜市立大学論叢. 社会科学系列 より

ホスピタルアート・プロジェクトによる人材育成の展望と課題

森口 ゆたか 森本 玄 北村 英之  糸井 利幸 

京都造形芸術大学紀要 より

病院におけるヒーリングアート、ホスピタルアートの効果

中村, 萌実 松井, 由美子

新潟医療福祉学会誌 より

医療と癒しのアート ―附属診療所ギャラリー開設に寄せて― 

深間内 文彦  永井 由佳里 荒木 勉 青柳 一正

筑波技術短期大学テクノレポート より

抄録

本学附属診療所は、東洋医学と西洋医学を統合し、病める人それぞれの視点に立ち最も効果的な医療が提供できるようにスタッフ一同努めている。平成14年6月、診療所待合室や廊下の壁を利用してギャラリーがオープンした。本稿では、絵画や音楽などのアートがこころや身体に及ぼす影響やホスピタル・アートについて概説した。

以上。

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