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付録(感銘を受けた『ムーミン谷の彗星』名言・名場面集)

付録として前noteの末尾に付そうと思っていたものの、結構なボリュームだったので別のnoteにまとめた。ほとんどがスナフキンにまつわる内容。

スナフキンのミニマリズム

「そうだな。なんでも自分のものにして、もってかえろうとすると、むずかしいものなんだよ。ぼくは、見るだけしてるんだ。そして、立ち去るときには、それを頭の中へしまっておくのさ。ぼくはそれで、かばんをもち歩くよりも、ずっとたのしいね」(60頁)

ー所有するよりも、記憶に刻むこと。

「ぼくは、新しいズボンが、一ついるんだけど新しすぎちゃ、だめなんだ。ぼくの形になじむズボンでないと、おちつけないんでね」「このズボンは、やっぱり、ここでもっと古くしたほうがいいと思うよ。ぼくには合わないね」(134頁、140頁)

ー新しいものより、古く馴染みやすいもの。

「でも、ぼうしは新しいのがいるでしょ」と、おばあさんはききました。
スナフキンは、緑色の古ぼうしを、いっそう深くかぶって、おびえたようにいいました。
「ありがとう。でも、いまも考えたんだけど、持ち物をふやすというのは、ほんとにおそろしいことですね」(140頁)

ースナフキンともなると、持ち物を増やすのは恐ろしいこと。

(大切さによって三段階に分類した持ち物全部の一覧表が欲しいです、という要望に対して)「ぼくのリストは、いつでもできるよ。ハーモニカが、星三つだ」(210頁)

ー秀逸なミニマリスト・ジョーク。ハーモニカは彼が唯一執着するものなのかも知れない。

学者の狂気

学者「わしの計算したところでは、八月七日の午後八時四十二分に、地球にしょうとつする。四秒おくれるかもしれんが」
スニフ「そしたら、どうなります」
学者「どうなる?そんなことは、考えたことがないね。しかし、その経過はくわしく記録しておくよ」(97頁)

ー手段が目的化した研究への批判的なまなざし。

スナフキンの身体論

ムーミントロール「これは、へんだぞ。針がくるくるまわってばかりいる。きみ、磁石は彗星をこわがっていると思う?」
スナフキン「そういうこともあるかもしれないぞ。ぼくたちは、本能にしたがって歩くのがいいんだ。ぼくは、磁石なんか信用したことがないね。磁石は、方角にたいする人間の自然な感覚を、くるわせるだけさ」(112頁)

ー道具を過信して身体性を軽んじることの警鐘。

議論と喧嘩について

しかも二、三回もスノークとけんかをしましたが、なんのためのけんかか、二人とも、わけがわかりませんでしたっけ。(けんかじゃない、議論していたんだと、二人はいいはりましたが、それは、けんかとおなじ声でした)(187頁)

ー子どもの目にはたいていの大人たちの「議論」なんて喧嘩として映っているかも知れない。


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