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退職の挨拶はしておきなよ、という話

IT、特にWeb界隈は人の流れが激しさを増すばかりです。

最近ではTwitterで最終出社の挨拶で月中を感じ、退職挨拶で月末を感じ、入社の所信表明で月初を感じるサイクルが出来上がっています。

退職の去り際というものは繊細なものですから、人材が流動的になるほど禍根無く気持ちよく去って頂きたいものです。今回はそんな退職時の去り際のお話です。

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残念な退職

退職周りの話が聞こえてくる中で気になったのは「あの人、いつの間にか挨拶もなく居なくなりました」というものでした。リーダーなどもやっていたのですが挨拶もなしに居なくなったようです。

より残念な退職というと難有りの引き継ぎというものがあります。あるところでは引き継ぎ時に実装完了と報告されていたものの、退職後にいざ動かそうとすると設計をまるっと無視されていることに気付き、大幅遅延したプロジェクトというのもありました。元より炎上していたプロジェクトですが、引き継ぎ資料の確認というのは本当に必要なものです。

いかに酷い会社かを書き残す退職エントリというのも定期的に見かけますね。数日で消えがちですが、何か書面が届いたのでしょう。

「Adiós」はスペイン語で「さようなら」ですがニュアンス的には長い別れに使われる挨拶です。残念な退職の裏には「Adiós」のように本人から見て(もう二度と会うもんか)という長い、もしくは永遠の別れを意図して告げている傾向にあります。

ですがIT業界に関しては残念ながら長い別れにはなりにくいのです。次にその事例を見ていきましょう。

世間は狭い:取引先

転職先として取引先が古巣という話は割とよくある話です。取引先の取引先が古巣というパターンも含めると、古巣とすっぱり縁が切れるというパターンは少ないものです。

Facebookなどで「友達の友達」を検索すると結構な人数になるように、母集団が少ない「取引先の取引先」で古巣が出てくる確率というのは高いです。

例え古巣が廃業した場合であってもそこに居た人も消滅するわけではないので無駄な不義理はしないに越したことはありません。

世間は狭い:統合

Zホールディングスの例が象徴的でした。Softbank社やヤフージャパン社からLINE社に転職しても、ZOZO社に転職してもみんなZになってしまいました。

M&Aがどんどんカジュアルになっていく中、「もう顔を合わせることは無いだろう」とヘイトを撒き散らしながら去っても、暫くしてまた同僚になる可能性はあります。

世間は狭い:地理

地方在住エンジニアの方で実際にあった話ですが、何かしらの不満を軽く抱くたびに転職を10数年毎年繰り返した結果、当該地方で有名になってしまったことと、企業の少なさから待遇を据え置いての転職先がなくなった方が居られました。

都内は企業数は多いものの、地理という点では油断なりません。特に古巣も転職先も業績の良い企業であればオフィス移転で同じ「景気の良いビル」に入ったりします。何なら小さい会社に行ったとしても、同じビルのWeWorkに入ったりもします。そんなことは無いと思いますか?スクランブルスクエア17Fオフィスエントランスではありました。退職者とのすれ違いを元同僚は「人間交差点」と称していました。

IT業界は地理的にとても狭いのです。

古巣への営業・コラボ

私の場合、ありがたいことに前職であるレバレジーズ社とウェビナーやコラム執筆についてお声がけ頂いております。

また弊社でも元LIGのそめひこさんとこんな記事を書いたりしています。

現職を去った後も気軽に相談ができる関係性というのはあって損がありません。逆に「前職接触NG」となると現職メンバーからも(大丈夫か?何やらかしたんだ?)となりますよね。実際に前職で懲戒解雇されたのを黙って入社するケースもあったりするので、現職メンバーと気持ちよく仕事をするためにも前職と良好な関係であることのアピールは有意義です。

リファレンスチェック

候補者のことをよく知る同僚や元同僚にアンケートだったり、推薦書を貰ったりするというものです。ちなみに大学院入試や大学教員採用試験では割と目にすることが多く、日本の場合はビジネスのほうが後からついてきたような形です。

私もフィリピンやベトナムでもエンジニア採用をしていますが、海外ですと在籍しているかどうかが既に偽られているケースがあったりするので、一般的だったりします。現職に応募先企業から電話が掛かったりするので、(あ、あの人は転職しようとしているのか)と気づかれることになりますが一般的なので問題にはなりません。

日本でもリファレンスチェックは拡がりつつあります。特にマネージャー以上だと実績や人物面の確からしさを確認するために使われることが多いようです。代表的なプロダクトとしてはASHIATOやback checkなどがあります。どちらのシステムも1-3名程度の推薦者が必要なのですが1通の回答に30-50分掛かるので関係性が良好であっても無茶苦茶嫌がられます。良好であっても頼み込みとリマインドがないと提出すら難しいので、印象が悪い状態だと希望の会社の選考ステップにすらのれない時代がやってきています。

アルムナイの可能性

自分自身が出戻る可能性は考慮しておくべきです。

実際、先のコンテンツでも触れましたが特にSIerから外資コンサル・外資系(というかアクセンチュア、セールスフォースあたり)に行くも、激務や期待されるパフォーマンスとのギャップに耐えかねて出戻るケースは多いようでSIer側の対策が行われています。

また、「友人との起業」についても半年くらいで空中分解しやすいので出戻りもありえそうなものですが、どうも啖呵を切って独立しがちなのか出戻りではなく類似の他社に行っている印象です。

引き継ぎと退職挨拶は人の為ならず

私自身、立つ鳥跡を濁しまくりの酷い退職は多数見てきましたが、退職した瞬間は当人が爽快感に満ち溢れているものの、これまでお話をしてきたように特に自分自身に損はあっても得はありません。他人の為ではなく、自分の為に引き継ぎと退職挨拶はするべきです。

以下の本ではキャリアの生存戦略としての「礼儀正しさ」を問いた一冊です。研修などで使うのも良いですし、特にフリーランスなどは人脈が生命線になってくるのでご一読されると良いでしょう。日本語版を手にとって見たのですが参考文献などが全てすっ飛んでいるので「ある調査では××と言われている(なんの?!)」などの表現があり、個人的には非常に気になりました。英語版で読み直したいと思っている一冊です。

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