デジタル化・DX化と、デジタル人材の新卒採用への期待値と課題
デジタル化・DX化。私もこちらについて組織改善という観点からご支援させて頂いています。採用込でご相談頂く場合、その中でも命題となるのが「デジタル人材の採用が先か、デジタル人材が活躍できる環境が先か」というお話です。世間では(分かりやすくお金やKPIが出ることもあり)採用が先のケースが多いですが、環境の方が先でしょうとお話したのが以前のコンテンツです。
即戦力を期待する中途でデジタル人材を受け入れる場合、特にイノベーションを期待してWEB企業から採用をしようとするとぶち当たる大きな壁。それはまとめて表現をすると文化ギャップです。
・働き方
・就業規則
・福利厚生
・開発手法
・開発言語
・開発体制
・リリース頻度
・ドキュメント化
・キャリアパス
・評価
・賃金
・(昇格・)昇給の速度
・雰囲気
・社内政治
・意思決定フロー など
これに対し、現状を打破するできる中途(先のコンテンツで言うところのモーセ枠)採用は並行するものの、デジタル人材予備軍の新卒採用を実施することで文化ギャップの少ない採用ができるのではないか?というご相談をいただきます。今回は私もトライしているデジタル化・DX化したい企業にとっての新卒デジタル人材(予備軍)採用についてお話します。
利点:「真っ白な新卒を育てる」受け入れの観点
中途の場合、デジタル化に限らず環境について「前職(のWeb系企業)に比べてアレがない、コレもない」と端的に言って「うるさい」ケースがあります。新卒だと基準がフラットに近いケースが殆どなため文化ギャップが産まれにくいことが期待できます。そのため受け入れの観点で言うと中途より優位である可能性があります。
ただしここに胡座をかくのは危険です。課題として後述しますが、内定承諾の直後からデジタル化・DX化人材は引き止めが始まります。それくらい足が速いですし、無茶苦茶横と比較して迷いますし、横から誘惑も来ます。
利点:オヤカクはIT企業に比べて無双できる
詳細は別の回に譲りますが、入社承諾時に「親御さんは内定承諾について承諾してくれていますか?」という確認がありますが、並のベンチャー企業の殆どはここで躓きます。
しかし大手古参企業であれば創業年とか社員数とか言えば多くの場合は難なくクリアできるでしょう。
課題:就活時に新卒の気を引くアップデートが必要
採用コンサルの際に大いにテコ入れさせて頂いているポイントです。
まずは求人票。無骨な買い手市場の求人票ではライバルであるWeb企業の求人票を前に敗れ去ってしまいます。求人票にもトレンドがあるので、良質な求人票を掲げるWeb企業のものを見ながらアップデートしていく必要があります。昨今だと下記要素などは入れるべきでしょう。
・募集の背景
・期待する役割
・働き方
・想定されるキャリアパス
また、優秀なデジタル人材を採用するとなると渋谷六本木界隈のWEB系自社サービス企業とのバッティングもあります。WEB系自社サービスの人たちが展開している採用手法は下記コンテンツにございますのでよろしければ御覧ください。配属先部署、リーダー、先輩社員を巻き込みながら実行しないと厳しいです。
課題:待遇のスタートラインが違う場合は終身雇用で良いのでしょうか?
新卒1000万人材など時折話題になります。私がお会いしたGAFAから内定の出た学生であれば「750万円以上であれば検討しても良い」と話していました。そうでなくても学生時代に自社サービスを持つIT企業でインターンなどをしている新卒ITエンジニアであれば、彼らが入社を検討する水準は概ね400万円スタートのケースが多いです。レベルとしては「もう少しで一人前」というラインです。皆様の企業の新卒待遇と比べていかがでしょうか?
終身雇用がベースとなっている伝統的企業は未経験から真っ白な状態で採用し、研修を積むことが前提の設計になっています。そして定年退職まで長期間在籍することで人生設計ができる形態になっていることも多いです。足りないお金は長期ローンも大手だと組みやすいですね。しかし刹那的とも言える20代の瞬間を切り取るとWEB系企業に比べて待遇などで派手さに欠けます。退職金などの話をしても、目の前の手取りで大きな差がつきやすい傾向にあります。
特定の専門職新卒を厚遇する判断をした場合、他の新卒との線引や、既存社員のやっかみ対策が必要です。新卒採用に限らずですが先行する企業の中には、待遇や制度を線引するためにも部署を分けて扱う、地理的に他職種と分ける、研究・開発部署を別会社にするということもされています。私も一時期地理的に分けることはトライしたことがあります。
他職種への説明責任の観点から、こうした重用方向だけでの施策ではなく、パフォーマンスがそこまでではなかった場合の対応も検討しておくべきでしょう。
定着のためのアップデート、ライバルはWeb企業
避けられないのが他社との比較です。あの手この手で他社での過ごし方についての情報が息を吸うようにある中で、「入社したからには他の職種の人と同様に余程のことがない限りは定年までは居るだろう」という暗黙の前提は危険です。実際のところ、内定承諾された瞬間から引き止めを視野に入れた活動を意識するべきです。
事実として2020年初頭には大手メーカーからの19新卒の流入が多く、AI人材の職務経歴書も多く見かけました。2019年後半からの景気後退で研究開発チームが無くなったケースもありましたが、そうでない理由の転職市場への流出も存在しています。「オヤカクの義理は一社目に入ることによって果たしたので二社目で自分の思うようなところに行く」というケースもあります。
環境の整備なくしては「渋谷六本木界隈のキラキラWeb企業に進んだ同期との比較」でキャリアを見直し始めるのは時間の問題だと考えています。環境のアップデートは採用と並行するべきです。経験からすると環境のアップデートは必ずしも完成させる必要はありません。大切なのは企業が現在進行系でアップデートしているという姿勢を見せ、候補者や社員、採用担当者、社員が実感できることです。仮に組織のアップデートが完成しているというのであれば、それは次第に古くなっていくことを意味します。
DX人材のトリセツセミナーのご案内
私の組織改善からのDXコンサルアプローチは Talent & Organization(TO)と呼ばれるそうです。世間一般では変革対象の組織に対し、何かしらの方やお作法を適応(強制)させるタイプの方式が多いように思います。キリスト教伝来みたいな。私はそれはしません。徹底的に社内の空気を読み、社内政治(パワーバランス)を読み、どのようにすれば全社的に通りやすい納得の行くDXが叶えられるかを推し量りながらお客様と各種施策を考えて実行していきます。
私自身、これまでIT企業でエンジニア組織づくりを何度かしてきましたが、圧倒的に営業職が強い企業ばかりでした。他職種の上げた利益をITエンジニアに投資する以上、そこには様々な思惑があり、適度にクリアしないと逆に障壁になります。現場では良い感触だったけれども経営会議では針のむしろだったりすると一過性の改革になりやすいものです。
こうしたスタンスの私ですが、下記内容にてオンラインセミナーでお話します。採用だけでなく定着・引き止めも渋谷六本木界隈のWEB企業を意識して動く必要があります。デジタル人材の活躍や定着のために何をする必要があるのか、土壌づくりセミナーです。奮ってご参加ください。
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