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退職に向かう感情と行動を整理し、退職ジャーニーマップをつくってみた

 ITエンジニア採用に関わること9年。数多くの採用と共に退職にも関わってきました。昨今のHR界隈では採用や、入社後のエンゲージメントが注目されたり、被雇用者の退職マニュアル・退職代行などは脚光を浴びていますが、退職に向かう行動/感情と引き止めについてはあまり議論されていないように思います。

 先立って開催した「エンジニア引き止めセミナー」でもご紹介しましたが、今回は退職に向かう行動/感情の整理をしましたのでご紹介します。エンジニア以外にも適用できる内容だと考えています。

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退職ジャーニーマップ

 退職に向かう行動/感情を整理した「退職ジャーニーマップ」を作成しました。

 以前のコンテンツでもご紹介しましたが、昨今の加熱するITエンジニア新卒・経験者採用において、マーケティングにおけるカスタマージャーニーマップを応用した採用ジャーニーマップものを作り、内部で持っている企業が増えています。

 今回は採用ジャーニーマップと対をなす退職にフォーカスを当てたものです。作ろうとしたキッカケは2点あります。

 退職を告げられたケースや、引き止められたケースを振り返ってみると傾向があるようだと感じたのが一点。そしてどうにも引き止めが無理な感情の状態があり、それをまとめようと思い立ったのが一点です。

退職ジャーニーマップ全体

序盤)今とは異なるキャリアとの接触

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 息を吸うように他社の働き方や想定年収が入ってくる世の中なので、インターネットに触れている限り認知を防ぐことは不可能です。世の中には「市場価値を見たい」という便利な言い訳もあるので気がつけば深みにハマるのがこの頃合いです。所謂「転職潜在層」です。

 最初はチラ見程度だったのが、スィッチが入る瞬間があります。それが「きっかけ・後押し」です。

 この頃合いの状況を探るには、傾聴に重きを置いた1on1により、今の状況を吸い上げる必要があります。この1on1については関係値が重要です。形式的な1on1だと何も分かりません。

 1on1以外の手立てだと、よく仕事を一緒にする他部署のマネージャー以上と週次ミーティングをし、その中で些細なものでも良いのでヒトに関してきになることを共有する時間を設けていました。序盤で引き止めをする上で幾度となく役に立った会議でした。

中盤)応募から内定

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 実際に本選考に向かってしまうと内定承諾までは次のキャリアで頭が一杯なので取り付く島はまずありません。下手に刺激すると加速します。

 できることと言えば、受けている企業などが類推できればキャリアの中で何を求めているか察知できるケースがあるため、対策が取れるかも知れないというくらいです。

終盤)内定承諾・退職交渉〜退職・アルムナイ

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 経験上、退職交渉の段階で引き止めの最後のチャンスが存在します。内定が出て走り切った安堵と共に、急に次のキャリアへの不安が出てきたり、ふと現職の良いところが急に見えたりします。

・勝手の違う業種
・違いすぎる企業サイズ
・人間関係の構築コスト
・後から見てしまった風評…

 内定が出揃い、承諾に悩むパターンで、現職が混ざっているケースはこうした迷いが含まれています。

 転職活動が「怒り」に基づいている場合は難儀します。先のきっかけ以降は全てがピーキーな状態です。坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。ここではないどこかに行きたい。こうなってしまうと如何に事態を円満に進めるか、気持ちよく引き継いでもらうか、退職エントリーで変なことを書かないかを意識して動く必要があります。

退職が決まってしまった場合に企業がすること

 残念ながら退職に繋がった場合、できることはいくつかあります。

 一つは可能な限り次の会社についてヒアリングをすること。難しい場合は次のキャリアの何が良いのかを聞き出しましょう。残された人たちに対する環境の改善施策に役立ちます。

 一つは次のキャリアの紹介経路をヒアリングすること。昨今ではOBによるリファラルも普通にあります。辞めたCTOがずらずらとリーダーを引き連れていくケースもあります。

 一つは気持ちよく引き継いでもらえること。退職後のちょっとした質問にも応えてくれるような良好な関係性の維持です。

 一つは業務委託やアルムナイ採用などの今後の出戻りの可能性を見据えた関係性の模索です。ただ正社員から1.0人月業務委託はどうかと思いますが、これは話が長くなるのでいずれ。

 そして社外に出ても「いい会社だった」と広めてもらえる送り出しです。退職エントリやら転職SNSやら多いですからね。退職者から紹介があったりするような関係性になれれば御の字です。

引き止めの意義

 何でもかんでも引き止めればいいかというとそうではありません。「職業選択の自由」の前提だけでなく、この時代の流れの早さのなかで一企業が社員を一生涯面倒をみるということは非常に難しい話です。冷静に再検討を促すためのアドバイスはあっても、それ以上踏み込むことは10年20年…と長期的な視点で見ると滅多なことは言えません。

 中途採用をしている多くの企業の場合、受け入れた中途採用人材は前職が引き止められなかった人材です。あまりに続く場合は問題ですが、全力を尽くした上での引き止め失敗はやむ無しです。

 つまるところは引き止めをする際は「働く上での相互理解におけるすれ違いの解消」に重きを置くのが現実的であり、良い落としどころだと考えています。

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