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ITエンジニアを志したらまず最初にやること:未経験エンジニア採用での適性判定

 今回はITエンジニアになろうと思っている方にやってみて欲しいコンテンツのご紹介です。プログラミングスクール入学検討中の方から未経験エンジニア・微経験エンジニアはもちろん、企業側で未経験エンジニアを採用する立場の方もご覧頂ければと思います。

 まずはここのところの未経験エンジニア採用シーンを振り返った後、実際に私が未経験エンジニア採用をしていたときに有用だった本手法についてご紹介します。


未経験エンジニアを取り巻く環境を振り返る

 これまで幾度となく話題にしてきましたが、前回記事から4ヶ月、2020年冬の状況はコロナ禍と相まって更に悲惨な状況になっています。

 プログラミングスクールが一般化することにより、「スクールに課金すればエンジニアになれる」という幻想やビジネスの維持のために煽るオンラインサロンに反し、応募しても応募しても書類が通らないという現実が立ちはだかってます。さながらソーシャルゲームにおけるレアキャラを巡るガチャのようになっています。「600社に送ってようやく採用された」という報告もありましたし、毎週20応募がノルマというスクールもあるそうです。転職保証と毎週20応募という天秤に思うところはありますが、こうしたことが積み重なって各社のコーポレートサイト経由の応募に未経験エンジニアが殺到し続け、企業側は書類審査に疲弊するという状況を作り上げています。

 新卒一括採用でイチから教育という伝統的手法も変化しています。学生時代から何年か経験を積んでいる人と、そうでない人の二極化です。学生サイドから見て「キラキラした自社サービス・メディアを持った企業」には実務としてプログラミングができる人の存在が大きくて入れず、企業サイドから見た「優秀な学生」は業界上位10社で吟味されるのでほとんどの企業は蚊帳の外なのですが、蚊帳の外であることを気付かせない売り方をしている就活・転職支援サービスが多い状況です。チケット制スカウトの形式を取るサービスの厳しさです。

 一方で新卒・転職市場では「できる正社員エンジニア」が不足しています。入ってすぐにキャッチアップして目の前の作りたいものを作って欲しいという願望が渦巻いています。しかし採用はできない。

 となると本来であれば未経験新卒、未経験エンジニア・微経験エンジニアと、「イケてるエンジニア」に選ばれにくい企業はマッチングしても良さそうなはずなのですが、下記の事情でうまくいきません。

入社前
・応募者数は多いがみんな同じに見える
・なんならポートフォリオも同じものが来る
入社後
・(適性がなく)早期で辞めてしまう、早いと数日で辞めてしまう
・(適性に問題があり)試用期間内で契約を終了する
・1年で辞めてフリーランスになる

 こうした事情と少子化が相まって、正社員市場はレアメタルのような「できる正社員」の奪い合いをしています。

エンジニアになるための入り口に課題あり

 根本的に何がまずいのでしょうか。私は2つの教育が問題だと考えています。

 1つは大学。高校を卒業して大学に入学。卒業後に実際にやりたい進路としてのITエンジニアが出てくる。ここに2つのロスがあります。1つは将来ITエンジニアになりたい人が情報系に進まないロス。もう1つは情報系に進んだものの、そうでもなくて他職種に進んでしまうロス。この2つのロスが大きいと考えています。

 2つ目は、大学で情報系に進まなかった人(と一部情報系)に進んだ人の受け口になっているプログラミングスクールの入り口です。多くのプログラミングスクールでは入試がありません。適性も見ていません。地頭も見ていません。その上で下限に合わせたカリキュラムはテキストの書き写しが中心になります。

 プログラミングやエンジニアリングが向いていない人は明らかに居ますし、何なら一日中画面を前にしてキーボードを叩き続けなければ行けないITエンジニア職は、社会的な生き物であるはずのヒトの大多数が向いているものではないと考えています。

 とある社長さんの場合、情報系の大学に進学したものの大学一年のときにC言語の初回授業に出た際にあまりの分からなさに発狂し、その足で事務室に行き転学部届けを出した方が居られます。向いていないと感じたら彼のように他の道を模索するべきです。できれば現職を退職したり課金する前に。

適性を見る

 取り敢えずこのゲームをやってみましょう。JEITA 電子情報技術産業協会が提供しているアルゴロジック2です。本来の用途であるお子様の学校教育にはもちろん、大人にもおすすめできます。まだプログラミング学校が今のようにメジャーではなかった2018年前半頃まで、プログラマになりたいと漠然と思っている方に対して素養を見るためにアルゴロジック2を入社試験として採用していました。アルゴロジック2試験を突破して入社してくれた人達は、皆、3年程度経った今も各社で活躍してくれています。

 次にこのゲームをすることで見えてくるポイントを、過去実績を元にお話します。

アルゴロジック2をポテンシャル採用・社内登用に使う(-2018)

  試験は30分。会議室の大画面にミラーリングされたPCでアルゴロジック2に取り組んでもらっていました。リーダーが同席し、どうしても詰まったときは質問を受け、ヒントを出すという形で運用していました。

 1問程度解いて見せ、その後は候補者に渡します。途中スキップしながら「これは行けそうだな」という雰囲気があれば応用問題に移ります。30分以内にどこまで解けるのか、そしてどうやって到達するのかを見ます。

 素養がある方であれば応用2まで30分以内に到達します。一方、厳しい場合は「06無限ループ」でパニックになります。「08十字回廊」あたりで詰まる方も多いです。

 また、解き方にも傾向があります。ある程度やって分からない場合、とりあえず「リセット」を押してしまう方が一定数居られます。そしてまた同じようなロジックを組む。そしてまた「リセット」を押す。これはなかなか適性としては厳しいものがあります。

 企業側としては質問を受けた際のやり取りの仕方にも注意しましょう。漠然と「分かりません」と言われるのではなく、何が分からないのかを聞けているか。そしてヒントを出した際にそれをどう解釈するかというのも入社後の指導風景に繋がっていきます。

適性を見てからでも遅くはない

 企業側としては、多すぎる自社応募の中から素養があり、定着してくれる人材をピックアップするのは大変な作業だと思います。それでも「育てたい」と思う人材とめぐり逢えたら、こうしたゲームなどで素養を見てみることをオススメします。

 これからエンジニアを目指される方については、自分自身で手軽にジャッジできるものとしてこのアルゴロジック2は練習材料としてオススメできます。その上で本格的にプログラミングの本を買ってやってみる、オンライン教材をやってみる、メンターをつけるなどすれば良いと思いますし、極端な意識付けがないプログラミング学校であればきっかけとして良いと思います。予備校みたいなものだと思えば良いでしょう。ただ履歴書に予備校を書くのは浪人生くらいのものであるのと同様に、プログラミングスクールを履歴書に書いてもウリにはならないというのは現実として覚えておいてください。アンテナの高い採用担当であればスクール名を見て判断材料にしますが、期待薄です。むしろ書いたことで書類で落とされるスクールもあります。どうせならしっかりとした名のある情報系大学に行くのがベストだと考えます。履歴書に書けますし、うまくやれば新卒扱いで就活ができます。長期的に考えた際のポジションや年収を最大化できるのではと思います。

 現在でも継続して読まれているのが下記のコンテンツです。いずれかの方法で基礎を身に着けたらトライしてみることをオススメします。12,500PVほどアクセスいただいているのですが、どうも「やってみました」という声は聞こえないので、毎週20応募が忙しいのかなと思っています。このポートフォリオ例は確実に差別化できるのでオススメなのですけどね。

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