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自分の弱さと、強くあろうとする姿に気付く。360°評価のリーダーシップ開発体験

先日も少し書きましたが、「リーダーシップ・サークル・プロファイル(LCP)」という最先端の360°評価プログラムの認定プラクティショナーになるため、まず自分が実際に360°評価を受けてきました。

これはよくある「人事評価のための360°評価」ではありません。能力開発、リーダーシップ開発のためのプログラムなんですね。

評価を受け取ったあとにはまず自分のためにコーチングを受けます。そしてさらに理論の理解を深めるための学習、仲間とのディスカッションなど、提供サイドになるための訓練もみっちり受けてきました。

自分自身に起きた変化のプロセスも、また中身の理論も面白かったので、簡単にその辺りを記事にしてみます。


業績に良い影響を及ぼす18個のリーダーシップのコンピテンシー、クリエイティブ側面

LCPの面白いところは、バックに蓄積された統計データをもとに、企業の業績と正の相関があるリーダーシップのコンピテンシー(「思いやりある関わり」「勇気ある本質」「目的とビジョン」など)を18個を特定しているところです。そこに最先端の成人発達などに関する西洋思想が導入されており、論理と倫理のバランスをすごくよく取っているな…と思います。

そしてこの業績に好影響をもたらすリーダーシップをクリエイティブ側面と呼び、円グラフの上半分で表示します。これを自己評価、他者評価、そしてグローバルリーダーたちのサンプルデータを基に今の自分がどの程度のコンピテンシーを発揮しているかというパーセンタイル表示が出てきます。

情報量が多く読み解くのに混乱するかもしれませんが、要は「円の上半分、クリエイティブ側面を伸ばしていこうね」という話なんですね。

リーダーシップ発揮のカベにもなり得るリアクティブ側面

一方でその逆、業績に負の相関がある11個の要素も、この評価では出てきます。それがリアクティブ側面で、「他者の喜び優先」「批判」「独裁」といったものがあります。

基本的にこれらはクリエイティブ側面と紙一重な部分もありながら、その発現を抑え業績にも悪影響を及ぼします。

もちろんこのリアクティブ側面を用いることで短期的には成果が出類ケースもあります。例えば、のらりくらり反対する敵を黙らせるために手厳しい批判をするとか、緊急事態に対処するために全てトップダウンで独裁的に指示を出す、ということが必要な場合があるでしょう。

そのためトップ層のグローバルリーダーであっても、このリアクティブ側面を一定程度は持ちながらクリエイティブ側面をより大きく発揮しているのです。

ただし、このリアクティブ側面が常駐すると、中長期的には業績に悪影響を及ぼします。常に批判的だったり独裁的だったりするリーダーのもとでは、メンバーのパフォーマンスが伸びないから成果が出ない…これは感覚的に分かりますよね。

深いところで「弱い自分像」に囚われていた自分自身

一方でリアクティブ側面は、外的な社会環境に適応しようとする基礎的な動きでもあります。つまり、「良くないから」とゴミ箱に送ってしまえばよいというものでなく、誰しもが発達段階の中で身につけて自らの基盤としてきたものでもあるのです。そのため、まず自分自身がリアクティブ側面をどんなナラティブで身につけてきたのか、それを自己理解して受け入れ、少しずつ統合していくことも自分の次なる成長に繋がります。

私の場合ですが、とにかく自己評価が低く、また「批判」のリアクティブ項目が自他共に高く出るという傾向がありました。批判が高いのはともかく、自己評価が低いというのは全く自覚がなくいちばんの驚きだったのです。

ここを入り口にナラティブを辿っていくと、そこには背が低く引っ込み思案だった中学時代、中退というスティグマを背負った高校時代の自分の姿が浮かび上がってきます。あれからたくさんの経験を積んだし、多くの時が流れていてずっと気付かなかったけど、心の深いところではまだこの「弱かった自分像」を握り続けていたのです。

こういうのは、「気付いたから明日から全てが変わる」というものではないかもしれません。「気付いたから、少しずつ変化していくことができる」ものなんだと思います。

「自分の弱さ」と闘ってきた自分を受け入れる

こうして見たときに、自分のリアクティブ側面は、「弱い自分」が社会の中で適応するために活躍してきたわけです。自立して生きていけるように、他人より秀でなくてはならないと、努力するためのエネルギーになっていました。「批判」というのはその副産物みたいなところがないわけでもないのです。

このエネルギー自体は私を押し上げてきてくれて、かつて渇望した多くの武器を与えてくれました。ただ、今ではもう、自分を守るためではなくとも力を発揮することができるーーつまりクリエイティブ側面も育ってきてもいます。

「自分の弱さ」を引き受けて、自分を今まで守って育ててくれたリアクティブ側面。それも大切なものと受け止めながら、次への一歩を踏み出すことになりそうです。


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