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デザイナー目線からビジネスを立ち上げる方法とデザイナーの役割の進化 #heydesignersnight 前編

10/22に開催された hey desiners night Vol.2に参加しました。
圧倒的な誠実さ/優しさ/熱量を持ったTaidoさんのスピーチは、デザイナーとして働いている人もそうでない人も必聴です。
素敵な機会を作ってくださったheyの皆さま、久下さん、Taidoさん、上野さん、ありがとうございました!

このnoteは会場内での流れに近づくよう心がけてつくりました。長くなってしまったので前編です。
一部細かな表現などは編集させていただいた所もあります。ご意見などございましたらぜひコメントください。& お名前は敬称略で失礼します!

キュートなグッズたち。

なぜ hey designers nightを開催するのか?

久下 @kugehajime :
heyのコミュニティ周りのナレッジやノウハウを公開することで、heyの仲間を増やすみたいなことを目的としていて、仲間とは一緒にビジネスするとかだけではなく、我々の事を好きになってくれる人を増やそうということでこのイベントをやっています。

さらっとheyについて紹介。heyはコイニーとストアーズという2つの会社が一緒になってできた会社です。heyそのものはホールディングスで、サービスのレーベルみたいな感じ。

コイニーはクレジットカードの対面決済やwechatでの支払い、あるいは決済ページを簡単に作れるペイジというサービスなど、支払い周りのサービスを提供。
ストアーズは最短2分で簡単にオンラインストアが作れるECのプラットフォームサービス。その他、ポップアップイベントの開催やファッションブランドを作れるようなサービスをやっています。

毎週木曜に "hello hey" というオープンオフィスをやっています。
絶賛仲間募集中!


登壇者紹介

上野 @mikamika59 :
上野美香と申します、今日のなんとなくモデレーターを務めさせていただきます。私はマーケターをしていて、フリーランスでマーケティングや広報、どうやって事業を立ち上げて広めていくかをお手伝いしています。
TaidoとはEvernoteで同僚でした。Evernoteとか日本ではtwitterの立ち上げをしてました。
今はゲームの仕事をしていて、PS4やPCモバイルなどをアジア地域でどうリリースしていくかという仕事をしています。いま水口哲也さんというクリエイターと一緒にやっていて、テトリスを新しくリニューアルするチャレンジをしています。オフィス渋谷なので、やりたい方はぜひ来てください!

Taido @taido :
こんばんは、デザインをしているTaidoです、よろしくお願いします。現在シリコンバレーでデザインリーダーをしています。今日は3つのポイントを話します。
まず自分のこと。
次にデザイナー目線からビジネスを立ち上げる方法・デザイナーの立場の進化について。
最後はバーンナウト(燃え尽き症候群)やインナーボイス(どうやってキャリアや個人のサクセスの道を開いていくか)について。
僕にしてはパーソナルなトピックなので話すのを楽しみにしています。

最初に自己紹介です。
シアトル生まれ育ちで、大学はNYのシラキューズ大学で機械工学を学びました。大学卒業後日本に2年ほどきて初めて日本語を学んで、その後2005年Apple入社。ニューテクノロジーという新規開発部でエンジニアとして入りました。
そこからロールが少しずつ変化していってデザイナーになり、最後はデザインマネージャーとしてプロトタプからipod UI iOS UI ヘルス フィットネス ヘルスキット、Apple watchを担当していました。

8年後 evernoteでAIの担当として入社。今2015年からAirbnbでデザインリードをやっています。担当したものはマッチング、検索、デザインシステム、ローカリゼーションなど。
今年から自分のデザインスタジオもはじめて、Taido & Co. といってサンフランシスコと東京でやっています。

ここにいる方はみなさんクリエイターなのでお会いできることを楽しみにしています。これからもぜひ一緒に楽しいものを作っていきたいと思うのでよろしくお願いします。


デザイナー目線からビジネスを立ち上げる方法について

上野:
デザイナーの役割が進化・変化していて、ビジネスを立ち上げる時に今までのデザイナーとは違う役割を求められてることをお二人は体感していると思います。今やってる仕事の具体的とともに、どういう変化を感じているかを教えてください。

久下:
Coinyはデザイナーの立場が多分他の会社のデザイナーよりもすこし多くて、サービスの体験そのものをプロジェクトが始まる一番最初の段階から経営やビジネスのマネージャー、エンジニアと一緒に作るカルチャーが根付いていて、わりととザ・形を作るだけの役割じゃない。もちろんアウトプットをクオリティ高く出すというのも当然としてあるが、我々自体もデザイナーの役割の定義をアップデートしながらやっていってるという感じです。

Taido:
自分はApple入った2005年、デザインを中心にしたのが2016年、12年くらいやる中で、自分のロールがどんどん変わっているのに気づいている。
Appleではロールの名前はUI designer。担当はそのままの通りインターフェイスのデザインを担当。それは何かというと、IA、インタラクション、ビジュアルデザイン・アイコンデザイン、それをアセットにするプロダクションデザインにうつっていって、数年やっていた。

そこから自分がマネジメントに入って気づいたのが、デザインて "sit at a table(自分の場所を見つける)" という要素がある。
デザイナーは以前までプロダクトやストラテジーに対する意見を持ってなかった。例えば、マーケターやリーダーなど上から指示によってデザインを作っていた。大きな会社だからかもしれないけど。

ここ数年、テーブルではプロダクトやマーケティングだけでなくデザインのリーダーシップが必要になってきており、それによってデザイナーの責任が進化してきているのではないかと思ってる。
ピクセル以上、スペック以上。これからはプロダクトを生んで、その成長と成功の責任をデザイナーが持つべきだと考えている。

久下:
Taido最初メカニカルエンジニアでしょ?そこからデザイナーに移ったわけじゃん、その時点で二つのスキルをまたいだのも、俯瞰的・イーグルアイで見れるようになったのもある?

Taido:
それもあるかもしれない。Appleでメカニカルエンジニアとして入って最初作ったのはiPhoneの指紋認証のプロジェクトで

久下:
それ言って大丈夫なの?

Taido:
いいよ、特許に名前書いてある。プロダクトになってるし、やってから数年経ってるし。

そこから入ってプロトタイプ作っていく上で、ストーリーが必要になってくる。「指紋認証できるようになりました!」「…で何?」「どうすることができるの?」となる。リーダーシップや他の人にもストーリーとジャーニーに一緒についてきてもらわないといけない。

ストーリーが必要なことは、エンジニアとしてAppleに入って数ヶ月で気づいた。Appleではメカニカルエンジニアはプロダクトデザイナーという肩書きだったけど、デザイナーが意見やビジョンを言う席はテーブルになかった。だからもうちょっと声が必要でないかと思った。

そこからストーリーを伝えるためにどうやっていこうか思い、iOSでのプロトタイプを作ってはじめてUIを作って、指紋認証ができてアンロックできるよ、とか支払いができたりショートカットできるものを見せた。
作ったインターフェイスがそこそこ使えるものだったので、ストーリーになった。そしたらもうちょっとデザイン(どうやったらインターフェイスをもっと理解してもらえるか)にフォーカスした。
最初に作ったコンセプトからリーダーシップに見せた時まで、全てのスペクトラムをやっていて、最後はUIに集中しようと思った。

その大きな理由は、ストーリーテリングが一番強い場所だったから。
どれだけ良いものを作っても、そのストーリーやなぜ(why)がないと。

Simon Sinek というスピーカーがいて、彼は "why" "how" "what" という話をしてる。what(なにを)から入ってしまうと、why (なぜ作っているのか?)やhow(どうやって作ってるのか)というミッションが見えなくなってしまう。するとコンテクストがわからなくなってしまう、人がサポートしてくれなくなる。

自分としてジャーニー、ストーリーテリングし始めた理由が「なぜこれをやりたいのか」「なぜ指紋認証なのか?」ということ。
他のプロトタイプもそうだが、why からはじめよう というのがあって、そこからのストーリーテリング。

久下:
Taidoはデザインをデプロイする際のスキルセットは、whyができたあとにインプットしていくという感じでデザインをやってきた?

Taido:
そうだね、whatからはじめてしまうと何もサポートするものがない。次のビジョンが見えない。1歩先ではなくて、100歩先はなんなのか?1年、2年、5年すぎたら何なのかとなってしまう。

そこから始まってEvernoteに入ってから同じような感じでやってたんだけど、Airbnbに入ってデザイナーの立場がやはり進化してると感じた。Airbnbはプロダクトデザイナーというポジションで雇われる。それだけで他にない。
例えばユーザーインタラクションデザイナーとかユーザーインターフェイスデザイナーとかビジュアルデザイナーとかあと何がある?IAデザイナー、UXライターとかコンテンツストラテジストとか。
どんどんわけられてスペシャライズされるけど、airbnbやappleはなかった。
その大きな理由は、当然みんなができるはず、スキルセットとして何か持っているから。道具だから。トレンドと同じで時代によってスキルセットは変わっていく、戻ってこないかと思っても戻ってくる。

ただ、ひとつ変わらないものが特にAirbnbであったのが、デザイナーは「プロダクトリーダー、エンジニアパートナーと一緒に成功の責任をもつ」ということだった。

久下:
そこでいう成功とは、ビジネス的な面での成功ということ?

Taido:
そうだね、ビジネス面もあるし、ビジネスにどうやってポジティブに反映するかということ。

自分はairbnbではラッキーだった。新しいビジネスを何個か立ち上げているし、例えば検索の全プロジェクトをリードしたり、サービスという新しいレストラン予約のビジネスユニットを立ち上げて、それまでのプロセスをプロダクトリードと一緒にブレインストーむから全部1年かけてできた。

久下:
プロダクトリーダーのロールは何なの?

Taido:
プロダクトリーダーのロールとは1つはプロダクトのプランを作っていくこと。どう成功していくのか、数字を出していくか、ビジネスプランも含まれる。
とすると彼にやらしたらいいじゃん?となるけど、彼は実はビジネス面しか見れない。どうやってプロダクトを作るのか、ロードマップ作るのか?実際彼がエンジニアとデザインを作っていくわけではない。どこでMVPにする、どこでバージョン2にする?というのはわからない。
そこはエンジニアのパートナーとしてのデザイナーの責任だと思う。でなければ、勝手にMVPはこれだとして、ただタイムラインを合わせて出すだけになってしまう。

さっき言ったように "sit at a table" テーブルにすわるのは、最初のコンセプションとして「なぜこれをやるべきなのか」理由をつくること。何億円をかけるので、いい理由がなければ損になる。だからこそデザインとしてはそのストーリーを作らなければならない。

例えばairbnbは、最初は部屋を借りるだけだった。ホテル以外の、ローカルにすごせるということだった。次に発表したのがガイドブック。地域にすんでるローカルホストがおすすめした場所だけが出ている、よりローカルに過ごせる感じ。
泊まるというのはtripの少しの部分。その中で新しいTripsというのができて、経験(そこにいる間にアクティビティ)ができるようになった。

あとトラベルしてる間の一番の壁は食べるところが多かった。everybody has to eat ということがあって、そこで何かというとレストラン予約。
言語を話せない、何を食べたらいいのかわからない人がどうやって皆食べるものを食べているのか?というところからビジネスのビジョンを考え、ストーリーを伝えていった。

久下:
そこのアイディアを足していくようなことってデザイナーは割と考えるけど、それがプロジェクトに乗るのは意外にないけど、プロダクトマネージャーとのコミュニケーションのベースができているから?それとも会社がそういう空気をおしてる?それともTaidoがパワーで押してるの?

Taido:
会社の規模にもよるけど、一番は個人とパートナーが一緒に同じ方向におすことが大事。仕事を一緒にする人とコミュニケーションは大事だけど、最初から一緒の方向になるわけではない。正直そんなことは一切なかった!
プロダクトにいる人間もそれぞれ意見やPOVがある。例えばレストランの前にタクシーのほうがいいじゃんとか。それは意見の違い。
そこでデータを集める。プロダクトパートナーはいつも賛成するわけではない、50%もないと思う。

アイディアをおして、壊れるまでおす。アイディアのストーリーやロジックが崩れても押しまくる。もしくはこれでバージョン1が出せるか出せないか、それくらいの関係・お互いの信頼感を持ってることが大事、それによってパートナーが続けていける。だからテーブルの席が与えられる。
それは誰かが席を譲ってくれるわけじゃない、自分からとりに行かないと。

デザイナーとして一番簡単なのは渡されたタスクをこなすこと。一番lowレベルなところ。
次にプロジェクト、そしてレベルが上がるに連れて不明なこと、確認されてないことが多くなっていく。デザイナーとしてそこを目指さなければならないと思う。

デザイナーほどいい立場はないと思う。ストーリーテリングできて、ストーリーをおして人の意見や考えを変えていけるのは滅多にないポジション。

久下:
それはAirbnbに入って教えてもらったわけではない?Taidoが自分でこういうやり方がいいと思ってやってるアクション?

Taido:
そうかも。

久下:
他のメンバーが全員そういう行動をしてる?

Taido:
されてる方もいる。Airbnbの場合コアバリューが「自分でできることをやろう」だから誰でもデザイナーじゃなくても、プロジェクトマネージャーやQA、プロダクト関係ない方も権利がある。
でも、自分自身の権利は何かって他人に言われて理解したりするものじゃない。それはパーミッションを相手に渡してしまってるのかな。
自分のコアバリューは何か、自分は何をしたいのかを合わせてコミュニケーションして進むべきだと思う。

久下:
自分が何をやるべきかと考えて、プロダクトのプランをやるときにデータを集めたりするという話をしていたけど、それって時間もリソースもくうでしょ、でもそれをきちんとやるのはサービスをローンチするには大事?

Taido:
必要なものだと思う。世の中と同じで、会社の外でも人と接する時に同じ方法では人と話せない。久下さんとは長い付き合いがあるからため言葉で冗談も言えるけど、初めてお会いする人とはそこまでの繋がり・信頼感がない。
じゃあどうやって信頼感を作るのか、会ったことない人にどうやってアイディアを伝えるのか、受け入れるのか、納得するのか?と言ったらやっぱり個人のニーズに応えてあげなければならない。
データは自分のためじゃない。データを見て「ああ、やっぱそうだったな」ということはあるが、何よりも一緒に仕事していく方のため。自分のストーリーを伝えるため。
そのデータからその人は違う言語・方法で理解する。それをやらなければならない

・・・ 前編おわり ・・・

次編はこちら↓

・・・ ・・・

おまけ:豚がいたり顔認証があったり個性がキラリ光るheyさんのオフィス

とても密度の濃いイベントでレポートに時間がかかってしまっていますが後編も頑張ってまとめています。もしよかったら♡スキお願いします!

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