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枠に収まる準備中~就活から逃げる若者、ここにあり~

「俺は銀行に就職する」
友人とカフェで世間話をしているときだった。

就活の話になり、私はそう宣言された。
「へぇ〜、でもどうして?」と聞くと、
「給料いいからね。いろんな企業説明会行ったけど、俺は銀行かなって」
彼に興味ある仕事なのかと聞くと、さっぱりと無いと答えた。

私は彼をすごいと思った。どうして興味もない仕事をやろうと思えるんだろう。
この先何十年もその業界に居ようと思えるんだろう。

また自分の未熟な部分が露見されていくようだった。

大学生活も終わりが見え始め、周りは着々と就活を進めている。
一方私は何もしていない。
やらなきゃいけないんだろうなとは思いつつ、動かないでいる。
まだ何も決まっていないけれどまだ何にでもなれると思い込んでいる。

パートで働く母にこんなことを聞いたことがある。
「なんでやりたくないことするの?幸せなの?」
母はこう言った。
「やりたいことを仕事にしてる人なんてほんの一握り。みんな生活のために、働いているんだよ」
「でも週に5日もやりたくないことに時間を費やすって幸せなの?お母さんは土日も疲れてるし...」
「そうねぇ、でも働かないと生活できないじゃない。あなたたちもご飯が食べられなくなるよ」

生活するために働く、生きるために働く。
それなら幸せなるためにはどうしたらいいのだろうか。
人生の最終的なものって幸せになることではないのだろうか。

焦りはない。
なんならフリーターでも構わない。
働かなければならないらしいことは理解しつつも、就職という簡単には逃げられない枠に、興味もないのに自分から飛び込んで収まることに違和感がある。

おそらくこれからもっとヒートアップする就活戦争に今よりも巻き込まれれば私も同じように動かざるを得なくなるだろう。
これまでの義務教育で培われた協調性には抗えそうにない。
けれど、どうせそのうち来るであろう働かなければならないという波に飲み込まれるまでは子供のままでいようと思う。


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