見出し画像

最初に座った席が好き アロマ珈琲

八重洲地下のかなり端。
東京駅という場所柄、平日は7:00という早朝からもてなしてくれる(以前はもっと早くて6:30だった)。
スーツケースを引いた人がスマホを見ながら、給水所みたいに歩くルートを偏らせて吸い込まれていく。

わずかに数段下るだけでアロマの部屋が出現する。
おはよー朝ごはん食べ来たーって言いたくなる。

アロマはどうぞお好きな席へ、のスタイルだ。
はじめて入ったときも同じように声をかけられ、やったどうしよと素早く店内を見渡し、レジ横に潜んだ角席を見つけ歩み寄った。
ここは構造上反対側にも入口があり、そちらからも入店者が現れる。小さな鞄を下げたムッシュお一人様も同じく角好きの匂いを漂わせて席定めをしているように見えたので、すみません今日はお先にとそそくさと着席。
新聞や雑誌を読みたい方は入店して左サイドバックをおすすめする。そっちは明るめで、オーダーは「いつもの」常連さまが多いように勝手に思っている。独自スタイルの注文を聞くのもおもしろいので、たまにそっちサイドにポジションを取り、盗み聞きBGMをたのしむ。

席定めを終え、朝早いくせに朝から全部オーダー可能な懐広すぎメニューを読む。別紙が3枚ほどあるのも危。見落し危。
シナモントーストのビジュアルは大ボスレベルに見え、一度目の訪問で挑むのは装備が整っていない気がして、それでも十分つよそうなチーズトーストとラムオーレをお願いする。ラムオーレはお酒が入っておりますが大丈夫でしょうかと朝7:00から心配してもらった優しいね。大丈夫です。私はラム酒が大好き。

たくさんのスーツケースがぶつからない程度に間隔の取られたテーブル。結構お一人の方も多く、旅立ち前、帰宅前、いろいろな風情が交差しまくって異国情緒も溢れまくって、朝からどんどんお客様が入って出て、東京!ここは東京!と叫びたくなる。山手線が休みなく来る光景が好きで、アロマはちょっとそれを思い出す。切ない。

ラムオーレは運ばれて来たときからふんわり香っていて、そうか確認したほうがいいくらいの酒だ。なんとよい朝。とろとろ味わっていると、チーズトーストインバスケットが登場した。いや、お隣様にモーニングが運ばれた際にバスケットの存在確認はしていたので、セットでない私にもあのバスケットに入れてもらえたと俄然盛り上がりをみせた。そしてテーブルに置かれたトーストをみて納得する。大変に厚い。4枚切り超えて3枚切りではという物量。これ、だから平皿は似合わないんだ、満を持してのバスケットだ。
厚みはあるけれどイギリス系山型パンはさくさく中ふんわりの極軽で、しっかりチーズびよーんも行われ、おいしさ以外存在していない空間に篭れる。幸。
塩気のあるトーストとミルクの甘いラムオーレの相性が良すぎる。巨大に見えたトーストはサクサクなくなっていく。お隣の人が大きな荷物を持ち旅立つのを見て、いってらっしゃいと心の中で挨拶する。いい朝ごはんだったよね。角席からは入店と退店を繰り返す店内が見え、みんな今からどこへ行くんだろうと想像するのが楽しい。

会計を済ませ、数段の階段を上がって現実に返る。私も行ってきまーす、またくるねって小さく思う。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?