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Short messages to D
Thank you so much for your beautiful words and photos💗
I love Iceland💗 I wish I could visit there again sometime.
It was funny but since the new moon in cancer on July 18, I have regained my energ
サビアン小説 1-6
遥か遠い星からやってきた7人の生命体が夜の海を航海していた。一人は水先案内人であり、一人は船そのものであり、そして残る五人は客として招かれた船の乗客だ。海は至るところで渦を巻いている。この渦に飲み込まれると船は沈没してしまうわけだが、水先案内人と船は上手に渦を避けながら夜の海を航海した。
空はとても明るい。青い流星群が次々と光っては消え、遠くに見える穴から白い雷が海に向かって落ちる。赤、黄色、紫
サビアン小説 1-5
夏の終わりの夜、首都高を自動二輪車で走った。私の望みはなんだろう。この夜がずっと続けば良いと思った。遠いビルとビルの間に、小さく花火が見えた。まる、ほし、まる、二重まる、さんかく、ほし、まる、さんかく、さんかく。かすかに花火の音が聞こえる。視界の先に映る小さな形を眺めながら、そうだ、今日は花火大会の日だ、と気がついた。一昨年まで、あの川沿いの家に住んでいたから、花火大会の日には毎年必ずビルの屋上で
もっとみるサビアン小説 1-4
人けのない路地裏に建つ、3階建てのアパートの屋根裏部屋に住む老人は、毎日飽きもせず、小さな窓から外の景色を眺めていた。新月の夜、普段以上に暗闇が立ち込める路地裏では、いつも奇妙なことが起きた。ある日は、目から光線を放つこの辺りで見慣れない黒猫4匹が、パトロールをするみたいに列をなし、四方八方に光を放っていた。またある日は、象の大群が路地裏を埋め尽くし、お互いの体を擦り付けあって、今晩食べる晩御飯に
もっとみるサビアン小説 1-3
彼の祖国は、南太平洋に浮かぶマンゴーの形をした孤島だった。彼はその国で一番栄えていた村の漁師の息子だった。両親は、自分達の息子が漁師の後継ぎになると信じて疑わなかったが、彼はというと、幼い頃は海にはあまり興味を示さず、その代わり、村で唯一の図書室に通っては考古学の本を一日中読み続けた。島が所持する考古学の本を一冊残らず読み終えるほど、古代の叡智に入れ込んでいた。
しかしその後、島の人々は近くの大
サビアン小説 1-2
幼い頃から、人の前に立って芸をしたい衝動があった。ある時は美しい音楽を演奏すること、ある時はピエロのようにおどけること。
小学生の頃、当時学年で一番やんちゃだった牛尾君を誘って、学芸会で同じ役を立候補しようと誘った。じゃま草隊という、ただひたすらに主人公の道を阻む、草の役だ。黄緑色、緑色、茶色の服を身に着けて、顔を泥色に塗って、じゃま草隊は踊って歌を歌う。やんちゃな牛尾君は、私の誘いに二つ返事で
サビアン小説 1-1
女は海の中では自由でいられた。女は地球上で唯一のえら呼吸ができる人間だったが、その事実を女は誰にも打ち明けることはできなかった。もし誰かに自分が二種類の呼吸ができると打ち明けてしまったら、命を狙われるだろうことは誰の目にも明らかだった。
マダガスカルから少し離れた海で、女はいつものように泳いでいた。穏やかな波が心地良い。ぷかぷかと波に乗りながら、思うがままに水中を泳いだ。いつまでもこの時間が続け
そこまで悲しくなかった
それは、中三の先輩が最後に演奏する時間だった。この演奏会に向けて、一生懸命練習して、ようやく披露する日を迎えたのだった。たった一人の打楽器奏者である私は、一番後方で全体が見える位置にいた。指揮者の顧問の先生が、演奏の途中で指揮をするのを止めた。そして、隣に置いてあった椅子を放り投げて、あばれだした。先輩たちは全員泣き出した。同級生も泣き始めた。