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家を買う

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中古マンションを買ってリノベーション。幸せな暮らしが待っていたはずが、幾多の困難に直面する羽目になった女の実録記。
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家を買う(23) マンションは焦って買うな

 わたしは賃貸暮らしから一刻も早く解放されたかったので、契約の更新時期に間に合うように今のマンションを買ったわけだけれども、購入を焦ったことは一番のミスだったと思ってる。賃貸は契約期間の途中で出ると敷金が返ってこない。敷金ったって家賃の一ヶ月分と同額なんだから大したことないのに、ちょっとでも無駄を出さない為に「なんとしても更新までに出ていく」と退路を絶ってしまった。  これから何百万もするもの買うってのにたったウン万をケチった結果、マンションを吟味する時間が充分に取れず、期

家を買う(ヨリミチ3) 電気温水器の恩恵

 新居に越してから、生活コストの面でちょっといいことがあった。  以前、賃貸マンションに住んでいたときは、光熱費の中でいちばんのウェイトをしめていたのがガス代だった。湯沸かしとガスコンロに使うガスはプロパンだったのでいちばん高い。月の請求はひどいときで15000円ほど。  逆に電気代は安いものだった。ひとり暮らしで部屋もそんなに広くなく、エアコンもないし、電気つけっぱなしじゃなきゃ寝られないってことでもなかったので、だいたい月3000円くらい。水道は一番最低ラインの分量し

家を買う(序) ジャングルからの脱却

 郵便受けに新築分譲マンションの紹介チラシが入っていた。  戸建てやマンションのチラシなんて、自分には縁のないものだと思っていた。ただ、間取りや仕様なんかは見てて楽しいので、ゴミ箱に捨てる前にざっと見て「ほほう」と感心するくらい。  今の賃貸マンションに住み始めてもうすぐ10年になる。この部屋に不満がないわけじゃないし、引っ越すことはもうしんどい。  引っ越しというのはお金というより体力の問題だ。20代の頃はそれこそ2年毎の契約更新のたびに、ひどいときはそれを待たずに住

家を買う(2) 新築モデルルームを見る

【今回関わる人】 新家さん・・・件の新築マンションを売り出しているデベロッパー「フロント開発」の営業担当者(社名・個人名は今後全てテキトーにつけます) 「そうですか。隣の話し声まで聞こえるなんてありえないですよ。壁が薄いんですかねー。その点、分譲マンションは壁の厚さが違いますよ」  資料取り寄せのあとすぐさま予約をして駆け込んだ見学会場のブースで、担当営業の新家さんがたいへん親身に話を聞いてくれた。モデルルーム見学って言ったって、マンションはまだ建設も始まっていない状態な

家を買う(3) 新築を買うのか

【今回関わる人】 新家さん・・・新築マンション販売企業「フロント開発」の営業担当 古路さん・・・中古マンション仲介やリノベーションをまるっと面倒見てくれる「すまいクリエイト」の営業担当 ※企業名・個人名はすべて仮名です。  モデルルーム見学から帰ったわたしは、もらった資料と電卓を机に広げて、ウンウン唸りながら大いに悩んだ。  新築はいい。新しければ新しいほど土台も造りもしっかりしてると思うし、災害にも強いだろう。資産としても価値が高い。そのぶん高いのはしょうがない。  

家を買う(4) 中古を買うという選択

【今回関わる人】 古路さん・・・中古マンション仲介やリノベーションをまるっと面倒見てくれる「すまいクリエイト」の営業担当。元気。 ※企業名・個人名はすべて仮名です。  だいぶ前に、中古マンションを自分好みにリノベーションして住んでいる知人から話を聞いたことがあって、自分もマンションを買うことがあったらこの方法にしようと思っていたのに、新築の見学会にフラフラ行ってしまったわたしだ。  でも、いざ行ってみるとやはり自分の好みに合わないところや、お金をかけただけの満足感は得られ

家を買う(5) 夢ふくらむオープンルーム見学

【今回関わる人】 古路さん・・・中古マンション仲介やリノベーションをまるっと面倒見てくれる「すまいクリエイト」の営業担当。元気。 ※企業名・個人名はすべて仮名です。  リノベの話を聞きに行った翌週くらいかな、オープンルームをいくつか見に行った。リノベで何が出来て何が出来ないのかをちゃんと知りたいし、自分がやりたいことというのもある程度イメージしたい。  お邪魔したモデルルームはそれぞれオーナーのこだわりが見える素敵な部屋だった。だいたいがリビングと隣の部屋の仕切り壁を抜い

家を買う(6) 中古物件内見の旅

【今回関わる人】 古路さん・・・中古マンション仲介やリノベーションをまるっと面倒見てくれる「すまいクリエイト」の営業担当。テンション高め。 ※企業名・個人名はすべて仮名です。  オープンルーム見学で「どんな部屋に暮らしたいか」というイメージを育みつつ、いよいよ自分が住む中古マンションを探しに行く段階になった。 ①駅近物件(約800万円)  最初に見に行ったのは、今住んでいる賃貸からほど近い場所にあった。メインストリートに面していて、最寄り駅から徒歩5分。スーパーも病院も近

家を買う(7) 両親に話す

 中古マンションの購入意思は固めたものの、実はわたし、これまで誰にも相談せずひとりで突っ走っていた。せめて田舎の両親にはいつか言わなきゃと思っていたけど、どんどん先延ばしに。悪い言い方すると、だいぶ離れたところに住んでいるので、黙って買っちゃったとしてもバレないんだけど、やっぱりね・・・なので一旦古路さんには物件探しをストップしてもらい、正月帰省したときに両親に話すことにした。  報告が後手後手になってしまったのは、やっぱり話しにくかったからだ。独り暮らしの娘がマンションを

家を買う(8) 住みたいエリアの考え方

 2019年が始まり、再び物件選びスタート。古路さんにめぼしい物件がないかどうか探して欲しいとお願いした。  ところで、マンションはもちろん吟味したいが、わたしにとってはもうひとつ、吟味したい大事な点があった。それは「住むエリア」のこと。  買い物に便利なエリアに住みたいとか、お洒落なエリアに住みたいとか、考え方は人それぞれだけど、今のわたしにとって、一番大事なのは「災害に強い」ことだった。  昨年秋の胆振東部地震。道内全域がブラックアウトしたことは記憶に新しい。  

家を買う(9) 進むも辛し戻るも辛し

 わたしはこの中古リノベーションにリミットを決めていた。今住んでる賃貸の契約更新まで。1月の時点で残り7ヶ月しかなかった。リノベーションの工事期間(およそ2〜3か月)を差し引くともうあまりのんびりしていられない。  もちろん、契約更新をして、物件探しの時間を確保することもてきたけど、更新したところで物件決まり次第すぐ出ちゃうんだから敷金の無駄になるし、何よりこの賃貸を一刻も早く出たかった。思い出してほしい。わたしが分譲マンションを考え始めたそもそもの発端は騒音だ。隣が夜中度

家を買う(10) その物件に出会ったときのこと

【今回関わる人】 古路さん・・・中古マンション仲介やリノベーションをまるっと面倒見てくれる「すまいクリエイト」の営業担当。笑顔。 ※企業名・個人名はすべて仮名です。  2019年になり、物件探しを再開して間もなく、古路さんから「迷子さんにぴったりの物件を見つけました!」という連絡があったので見に行くことに。  現地に向かう車中で物件の詳細が記された書類を渡されるのだけど、それを見て「えっ? これがわたしにぴったりの物件?」と首をかしげてしまった。事前に伝えていた「住みたい

家を買う(ヨリミチ1) 「日当たり良好」は正義か

※本編に書ききれなかったことをここからはヨリミチとして小出ししていきます。  リノベーションしたオープンルームをいろいろ見学していて、あるとき日当たりがすっごい悪い物件を見たことがあった。  中はもちろんリノベーションされているからお洒落で、間接照明が効いて大人っぽいムードのある部屋だったんだけど、窓が大きくないせいか、もともとの日当たりが悪かった。しかもその窓から入る日光を遮るような位置に平行に仕切り壁を作っているので、隣のベッドルームは灯りを点けなければ真っ暗だ。

家を買う(11) スケジュールの確認

【今回関わる人】 古路さん・・・中古マンション仲介やリノベーションをまるっと面倒見てくれる「すまいクリエイト」の営業担当。テンション高め。 ※企業名・個人名はすべて仮名です。  物件探しをしている間、裏ではもうひとつの事が進行していた。それは、住宅ローンの事前審査。  住宅ローンを借りる際に必要になる審査はなんと二回ある。「事前審査」と「本審査」だ。事前審査というのは銀行が、わたしの求める額を出せるかどうか、そして、債務者(つまりわたし)が、信用できる相手なのかどうかを調