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家を買う(2) 新築モデルルームを見る

【今回関わる人】
新家さん・・・件の新築マンションを売り出しているデベロッパー「フロント開発」の営業担当者(社名・個人名は今後全てテキトーにつけます)

「そうですか。隣の話し声まで聞こえるなんてありえないですよ。壁が薄いんですかねー。その点、分譲マンションは壁の厚さが違いますよ」

 資料取り寄せのあとすぐさま予約をして駆け込んだ見学会場のブースで、担当営業の新家さんがたいへん親身に話を聞いてくれた。モデルルーム見学って言ったって、マンションはまだ建設も始まっていない状態なので、駆け込んだのは建設予定地とは別の場所にある「特設会場」だ。ここでモデルルームを見ることや、物件についてのよる突っ込んだ話をすることができる。
 
「それにお客様、今お住まいのエリアでその広さでは、そのお家賃は高すぎます。それで騒音も我慢しなきゃいけないなんて、ちょっとお金の無駄しちゃいましたね・・・」

 えっ? そうなの? 1LDKで日当たりもそこそこ良くて、さほど古くもなくて狭くもないのに45000円ってむしろ安いわラッキー! ぐらいに思ってたのに高いの?

「賃貸はやっぱり、家賃を払い続けてもその部屋は自分のものにはなりません。支払いは一生続くのにです。その点分譲は支払いが終わってしまえば部屋は自分のものになるので家賃を払う必要もないですし、売りに出すことだってできます」

 まあ、そうでしょうけど、住宅購入するのってよほどの金持ちでもない限り、35年くらいの住宅ローンを組むわけでしょう? わたし40超えてるのに遅すぎやしませんかね?

「そんなことないですよ、40歳より上のシングルの方も、もっと上の年齢層のファミリーの方もいらっしゃいます。やはり欲しいと思ったときが買い時なので。お客様は全然大丈夫ですよ」

 あらかじめ年収や会社の勤続年数などを書きこんだ用紙を机上に広げ、次は具体的なお金のハナシに移っていった。

「新築ですから今よりは支払い金額はやはり上がりますが、今のお家賃に少しプラスするだけで、一番リーズナブルなタイプの部屋が買えますよ。お客様の年収であればローンの審査も間違いなく通ります」

 へえ、そうかぁ。そんなに年収多い方じゃないんだけど、銀行はお金貸してくれるのか。と新家さんが提示した価格一覧表を見て、わたしは言葉を失った。

 あれ…この価格、チラシに載ってたのと全然違うじゃん。なんでこんな高いの?

 郵便受けに入ってたチラシには月々50000円と書いてあった。今の家賃から5000円ちょい上がるくらいなら「買える」と思ってここまで来たのに話が違うじゃないか。もう一度、価格表をじっくり見る。月々の支払い金額合計が大きく載っていて、金額は60000円ちょい。よく見るとその枠外に管理費・修繕費の記載が。なにこれ? 知らない・・・。

 つまり、50000円というのは建物のみ(つまりローンの返済額のみ)のお金で、その他に月々管理費と修繕費がかかるということ。全部ひっくるめると60000円を超える。なんでコレチラシに載せなかった・・・。これはテンションだだ下がり。

 だけど、新家さんが「モデルルーム、見てみますか?」と言うので、このまま帰ってしまうわけにも行かず、一応見ることに。

 通されたエリアには、一番下のタイプのモデルルームじゃなくて、高くもなく安くもない中間タイプのモデルルームがあった。広いリビング、ウォークインクローゼット、小さな収納もたくさん。ああ、これいいなー。収納が多いの。持ち物は多い方じゃないけど、それでも今の部屋じゃ全部きれいにしまえないもんなぁ。

 それに、新しくて使いやすそうなシステムキッチン、キレイなバスルームや洗浄機能付きトイレ。「お客様がお考えのタイプにも同じものが入りますよ」と言われると気持ちが揺れた。このキレイな部屋でくつろいだり料理したりする自分の姿を想像してしまう(料理そんなにしないくせに)。

 15000円かぁー。頑張ればなんとかなるのかなあ・・・。いや、でもなぁー。欲しいっちゃ欲しいけどなぁー。としばし悩む。このタイミングで新家さんも「壁が厚いから静かですよ」とか「入居者様用のサービスもいろいろありますよ」とか「資産としても価値が高いですよ」とかいろいろ言うわけ。逆に「すぐに埋まっちゃいますよ」とか揺さぶりもかけてくるし、これはすぐに買わなければという気持ちになってきちゃう。

 幸い「今すぐ決めろ」っていう感じではなくて、数日は待ってくれるようだったので、一度持ち帰ることに。後日、また打ち合わせの予定を入れてその日は解散となった。

 2回目の打ち合わせの様子はまた次回。

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