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ファッション観~父と娘の思い出話~

ファッションについての捉え方

むかしから、何を着るかを考えるのが好きだ。

年齢によって身に纏うテイストは異なってくるのだが、どうすれば少しでも魅力的に見えるかということを服装でよく考えていた。

姿見に移って、全体のバランスを見る。うまく決まっていればその日はご機嫌。

別にファッション関係の仕事についているわけではない。それに関してプロなのだと言わない。
ただ、好きなのだ。


父との思い出話 幼少期編

今は店を閉めてしまっているが、昔、父は婦人服のお店をやっていた。
お店をするまえは会社員だったようだが、私は幼く、その記憶がない。
記憶と言えば、自営業になって、いつもラフな服装の父と、まわりに大量の婦人服、あと夜中に会いたくないなと思うマネキン。
父の店に遊びにいったとき、その婦人服もマダムと呼ばれるのにふさわしい年代の女性達が着るものを扱っていたせいか、少女の私にとってはあまりときめかなかった記憶がある。
デザインやシルエット、色味が、少女にとっては、ババくさく、あまりときめかず。

マダムの洋服を扱っていたとはいえ、父は衣料品を扱うプロだったので
家族でショッピングセンターで服を買うときや、買った服をもとある服とどう組み合わせたらいいななんてことはよく父にアドバイスをもらっていた気がする。
色味が合うだとか、シルエットのバランスがとか。

買ったばかりの服からタグをとって、リヴィングで即席ファッションショーをしていたような少女だった。
私の中の家族の記憶の一コマの中に洋服を囲んでのイメージは結構強い。
いま、実家から離れているからこそ、よく実家で暮らしていたころのことをよく思い出す。
考えると自分の中でのファッション観というものは幼少期のころからの影響が強いなと思う。
ハイブランドのファッションが身近にあったというわけでなく、ごく一般家庭が、身近なところで買うところでそろえた洋服達でも、どうすれば可愛く、恰好よく着こなせるかを考えていた幼少期だったと思う。
リヴィングファッションショーをしながら、父は
「それええなあ、似合ってる」、「それ父さん好みやな」とかコメントをしてくれていた。
ファッションに関しての父のセンスは、結構、信頼を置いていた。父も娘が手にとる服や組み合わせが自分のセンスに会っていたりすると嬉しそうでもあった。

父との思い出話 娘が大人になる編

父が得意そうに話すエピソード
「近所の人に、身に着けているもの褒められた。奥さんのセンスがいいんですねって言われたけど、これ自分で選んでるんですよって言ったんよ」
鼻高々そうだった。
一般的に、ファッションとかそういうのは、男性よりも女性のほうがセンスいい場合が多いと言われているし。
お洒落な男性は裏方で奥さんのセンスが光っていることも多いから、そんなことを言われたようだ。
父は年齢を重ねていても、いつでもファッションに遊び心を忘れていない人だ。年齢的にこれを身に着けておいたほうが無難だとか、そういう考え方をしない。たぶん、単純に好きだから、気に入っているから、それが似合うと思うから身に着けるっていう感覚なんだと思う。
年齢を重ねても、そういうファッションに主体性がある姿勢はいつもいいなと思う。

少女のリヴィングファッションショーは思春期や大学生になって続くわけでもない。
親への反発とかそういう大人になるための通過儀礼的なものがあるから、親の影響じゃない、同世代の影響や、はたまた好きになった男の子の影響などもあったなあと思う。
いつまでも親の影響下にいたくはないと思うこともあった。
子どもの自我というもの。

なんだけど、改めて、親へ感謝するための通過儀礼がある。成人式。
成人式の準備の日々。そこで、振袖を選ぶとき、
私が選んだのは紫色の振袖で、それに合わせる帯をどうするかと、呉服屋さんが広げた振袖に、いくつかの帯を添えて見せてくれる。
その場には父と母が同席していたのだが、私がこれと言って、選んだのは白と黒の市松紋様の帯だった。
それを傍で見ていた、父が
「うん、父さんもそれが一番ええと思った」
その一言を聞いたとき、父の娘なんだなあと感慨深く思い、幼少期のリヴィングファッションショーで、娘のファッションを褒める姿と重なった。


追憶しながら考えること アラサー女リアル編

成人式からもう何年もたって、いわゆるアラサーになって、パートナーとはいかにしてと、考えるようになって、
失敗する恋愛は増えていて。
よく言われるのは娘は父親を基準に選ぶという。
父親似なのか、反面教師で父親とは別タイプなのか、選択の仕方はそれぞれとしてもやはり異性親の存在は意識するらしい。

まあ、伴侶、パートナー。未確定事項はともかくとして。
これまで好きになってきた男達の傾向を考えてみた。
性格とか顔だちとか、そういうのは父に似てないなと思っていたし、そんな風に父を意識して、男を好きになったことなどないわと思いながら。
はっと気が付いた。

唯一の共通項。
男達はみな、ファッションにおいて魅せるのがうまかったなあと。
特定のファッションとかテイストというわけでないから、共通項として長年見出すことはできなかった。
ただ感想として「センスいいやん」って思ったこと多かったなあ。
そのセンスを持ちえている男の魅力に魅了されていたのだと。
自分がどのような恰好をしたら様になるのかを分かっていた男達だった。

ただ、そういう男達は
なかなかにモテたり、思わせぶりで、惑わせる輩も多く混じっているがゆえ私はいつも悩まされているのである。

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